誰かに愛されるなんて、あり得ないと思ってた

まる丸〜

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寝かしつけてくれ

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「あ⁈いや、今のはー」

「俺はこっちにいるから、アンタはゆっくり寝ればいい」

 布一枚隔てて、レイの無感情な声が聞こえる。

「レイ!」

「気分じゃない時だってあるだろ」

「違う違う、レイ、まて!」

 この誤解は早く解かないとヤバい。

 カーテンを開けようとしたが、中からレイも握っている様で開けられない。

「レイ、なぁ勘違いすんな。せっかく自然に眠れる様になったのに、今まで通りでいいのか?」


 俺は、俺はレイにとって必要ないなら、今までしてきたアレヤコレヤを耐える覚悟でいたのに。

 お前はそれで良いのかよ?


「アンタ、なに言ってるんだ。俺は自力で熟睡した事なんかない。したくないなら、嫌だって言えばいいだろ!」

 なんだコレ。
 なんだこの噛み合わなさは! 






 まさか。


「なあレイ、覚えてないのか?
 お前、学園で眠ってた。キヨが用意してくれた部屋で、俺をマクラにして。
 お前は眠ったんだよ。だから」

「そんなの、ありえないだろ」

 ピシャリと言い切った後に、まるで覇気の無い声で続けた。

「まぁ、アンタにメリットはないよな」

 一瞬の内に、怒りにも似た感情が全身を駆け巡る。

 まだ!
 この男は、まだそんな風に捉えているのか!

 この数ヶ月、肌を合わせてきた事をメリットがあるだの無いだのと。
 どうして自分に好意があると思わないんだ!



 力任せに引いたカーテンの、フックが弾けて二、三個飛んだ。カツンカツンと壁や床に当たる乾いた音が室内に響く。

 横向きに座るレイの右手が、カーテンを握ったままの形で宙にある。

 驚いた様に俺を見上げる瞳が、波立つ水面のように、ゆらゆら揺らぐ。

 揺らぎながら、じっと俺を見ている。


 この男は覚えていない。
 セックス無しで眠れたことを。
 覚えていないんだ。




 ーなら、それなら。

「わかった、俺の勘違いだった」

 揺蕩う手を掴み取った。

「来い」

 勢いよくレイを抱き上げる。
 羽織っていたバスタオルが、ぱさりと床に落ちた。


 二人分の体重を受けて、俺のベットがギィと軋む。

 自分の脚の間にレイを座らせて、上着を脱ぐ。
 それから腰を浮かせて、片手で下着とズボンをずり下げ、脚を引き抜いた。

 レイを引き寄せ素肌が触れると、ずっと裸でいたレイの身体がひんやりしているのに気がついた。

 俺は、自分の体温を移すようにレイを抱き込む。

レイは大人しくされるがままになっている。しばらくそうしている内に、レイの身体は熱を取り戻して来た。

 俺は、胡座をかいて自分の上にレイを跨らせ、膝立ちにさせる。


 目の前にある小さなピンク色の突起に口付けるとレイが、あ、と息を呑む気配がした。

 金色の茂みに隠れたレイのペニスが、軽く扱いただけで、ぴくんぴくんと反応して頭を持ち上げる。


 右手でレイのペニスを擦り、左手は筋肉の張りのある尻をもみほぐし、口では左右にある乳首を舐めたり、吸ったりしているうちに、レイの息は上がりガクガクと腰が揺れ始めた。

 俺の肩を掴む手がふるふると震えて、ペニスを握る右手にとろり、と粘液が伝い落ちる。

 俺はソレを指先に満遍なく伸ばして、レイの後孔に指を這わせた。
 縮こまった入り口を少しずつ広げながら、まず一本、中指を滑り込ませる。

 レイはふうふうと口で呼吸しながら、俺に抱きついて体重を預けてくる。身体の力を抜こうとしているようだ。

「ぅあ……ん」

 指を増やす毎に、口から漏れる吐息は甘さを増して、聴覚からゾワゾワと俺を刺激する。

 三本入った指が、なんとか中で動かせる迄にほぐしてから、そおっと引き抜く。

「レイ、ゆっくり」

「ん、うん」

 自分のペニスを掴んで、降りてくるレイの蕾の位置に合わせた。

 柔らかくなった入り口は、ぬめる先端を受け入れると、そのままくぷん、と根元まで飲み込んでしまった。

「おい、ムリするー」

 言い終わらない内に、レイの唇が吸い付いてくる。

 うねる舌が俺の口の中を舐め回す。
 その舌を捕まえて絡め合うと、強烈な快感が広がっていく。

 あぁ、ヤバいなこれ。

 この男の、上の口も下の口も俺で塞いで、粘膜の感触を思う存分堪能する。

 再びレイのペニスに触れると、先程より太さも熱さも増したソレが、気持ちいいのは自分だけではないと教えてくれる。

 レイの中に居る俺自信も、ドクドク脈打っていて、今か今かと射精の瞬間を待っているようだ。

 俺は手の動きを早めてレイの射精を促す。レイのナカも、ギュウギュウと俺を締め付けてくる。

「ンッ!…ア!」

 ビクビク身体を震わせて、口を離したレイが身体をのけ反らせる。

「ッ、あぁ……」

 ビュルル、と精液を吐き出したレイの身体が脱力する。

 抱き止めて寝かせようとすると、レイが嫌だと首を振る。
 汗ばんで熱い身体をそのまま抱きしめていたら、呼吸の落ち着いたレイが、ぽそぽそと話し出した。

「アンタ、俺とヤッて、出した事ないな……」

「ん?」

「俺のカラダだと、ホントは気持ち良くないんだろ?」

「なに言ってんだ」

 俺はレイを寝かしつけることを優先してるだけなんだが、この男にはそんな不安材料になるのか。

「気持ち良くなかったら、こんなに勃たねぇよ」

 レイの中で硬さを保ったままの俺自身を、グリッと内壁に擦り付ける。

「ひぁっ」

 レイは甲高い声で叫んで、潤む瞳で俺を見た。

「アンタ、いじわるだ」

「そうか?」

 レイの背中を支えながらベットに寝かせて、繋がったままのレイを見下ろす。

「眠れそうか?」

「……まだ。ちゃんと寝かしつけてくれ、ハロルド」

「了解」

 ねだるレイの期待に応えよう。















 ……何時だ?

 部屋の電話が鳴る音で目が覚めた。

 横たわるレイの体を跨いで、ベットを降りる。

「はい」

 レイを起こさない様に、最低限の声量で応える。

 受話器の向こうで、ふーっと長く煙を吐く気配がした。


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