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違和感
しおりを挟むあー、やめだやめ!
せっかくレイと過ごす休日に、なんでクソ士官の事を考えてんだ、俺は。
身体を拭き、クローゼットから着替えを出して、楽な部屋着になる。
一方のレイは着替えもせずに、タオル一枚羽織っただけで、自分のベットにあぐらをかいて座ってる。
いつもの事だが、せめて下着くらいは履いて欲しい。目に毒だ。
レイの視線の先には、壁に貼られたショップカードやフライヤー、あと仕事で関わった子供からもらったお守りなんかが飾ってある。
「なにか新しく貼ったのか、レイ?」
屈んで、レイと同じ視線になる。
「コレ」
レイが指差した場所には、新しく画用紙が一枚貼られていた。
「野菜が煮えるのを待ってる間に、みんなで描いたんだ」
みんな…レイとラシュウル、あとは双子達と料理担当の少年だろうか。
クレヨンの柔らかな曲線で、花や動物や手を繋ぐ子供なんかがカラフルに描かれている。
「全員画伯だな」
「がはく?」
「素晴らしく独創的に上手い」
ふっ、と顔の筋肉を緩めてレイが笑う。
「楽しかった」
レイは、そおっと紙の表面をなでた。
また行けるように。また会えるように。
レイにとって、ここに飾る事は、願掛けみたいなものなんだろう。
と、すぐ横にあったレイの顔がこちらを向いて、その唇が俺の頬に触れた。
ーん?
「寝る時間だろ?アンタのベットに行く。いつもみたいにしてくれ」
「あ?」
ー俺は。
レイはそのまま自分のベットで眠るのだと思っていた。
なのに、せっかく一人で眠れるようになったのに、俺のベットに来る?
ヤらなくても眠れるようになったのに、いつもみたいにしてくれ?
それは……わずかな時間だったと思う。
レイの言動に違和感を感じて、ほんの数秒逡巡した。
それがマズかった。
俺が戸惑う様子に、レイは酷く歪んだ解釈をしたらしい。
グイッと両手で俺を押し退けカーテンを閉めた。
「スラム上がりの男の身体なんか嫌になったか?」
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