誰かに愛されるなんて、あり得ないと思ってた

まる丸〜

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抱きしめて欲しい

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一人分しかない夕食を半分こして済ませた。

満腹になったかと聞かれれば、そんな事はないけど。何だか腹じゃない、別のところが満たされて、食事の量は気にならなかった。

フォークも一つしか貰わなかった、とハロルドは苦笑した。

俺は、大の大人にアーンして食事を食べさせると言う、滅多にない体験をした。

ハロルドも、赤ん坊にでもなった気分だ、と楽しそうだった。


「何時?」 
「まだ21時」

シャワーから出たハロルドに時間を確認される。

「何ですぐ脱ぐのに、一回服着るんだ?」

半袖のTシャツにスウェットという姿を見て、聞いてみる。
俺は先にシャワーを済ませて、ベッドでゴロゴロしていた。なんにも着ないで。

だってホントにすぐ脱ぐんだ。

「こ、れは俺の理性というか、タガというか…」

「ふうん?」
よくわからないけど。

「どうする?いつもより早いけど……」
「いっぱいやって、いっぱい寝る」

あっはっは、とハロルドは楽しげに笑った。 

ベッドに上がってきたハロルドが、俺に覆いかぶさる。
「あ、悪い明かり…」
「このままで良い。アンタの事みてたいから」

俺の言葉に、ハロルドの目尻が下がる。
チュッ、と触れるだけのキスをすると
一度起き上がって、ハロルドが上を脱ぐ。

ホラ、やっぱりすぐ脱ぐだろ。


「なぁ、ちょっと頼みがあって」
「なんだ?」
「俺と一緒に寝る事の……認識が違うのはわかってるつもりだ。だから、抵抗あんならしなくて良い」

「何を?」
「こう、ぎゅっとしてくんねぇかな」

抱きしめろってコトか?
今まで、した事無かったっけ……?

両手をハロルドの背中に回してみる。
ハロルドは、腕の力を抜いて、ゆっくり俺に体重を預けた。

俺だって男なんだから、そんなにそーっとしなくたって、潰れないのに。

耳にハロルドの吐息があたる。
何だかゾワゾワする。

「アンタの背中、こんな風だったんだ」
広くて逞しくて、筋肉の隆起がわかりやすい。

少し力を入れて、ギュッとしてみる。
これで良いんだろうか。

俺はもうちょっと、いろんな場所を触りたくなって、手のひらを下の方に撫でおろした。

俺の手が腰の辺りに差し掛かると、う、とハロルドの口から声が出た。

「なんだ?」
「っ…いや、そっから下は触んなくていい」




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