206 / 298
第五章 五国統一
第82話 カオス、姪っ子に噛まれる
しおりを挟む
「ねえカオス! その魔装具、僕のだから返してよ! そしたら勝負でも何でもしてあげるからさ!」
カオスの持っている、ペンダント状態の魔装具を指差すユーキ。
「フッ、どうやらアイリスの記憶は戻ったみたいだな!? だがこれを返してほしかったら、俺の戦士を全員倒す事だな」
「ぶう~! 戦士って何人居るのさ?」
「我がパラスの最高戦力! 全員がレベル7で構成された13人の戦士! 名付けてサーティーンナンバーズだ!!」
「サーティーンナンバーズ? 何だか宝クジみたいな名前だね?」
「うるせえよ! 気にしてるんだからゆ~な!」
「気にしてるなら変えればいいのに……」
「レベル7ばかりが13人……」
その事実に驚愕するBL隊。
「見た所、お前達の中でレベル7の奴はこちらの半数も居ないだろう? まあ別に試合という訳じゃないからな。そちらの代表戦士は13人じゃなくてもいいし、1人に対し数人がかりでかかって来ても全然構わないぜ?」
「このお、バカにしてえ~」
カオスの挑発的な発言に、怒りを露わにするパティ。
「だがそれは言い換えれば、貴様達パラス軍も律儀に1対1の戦いをするつもりは無いと言う事だろう?」
「フッ」
ハッキリと言葉にはしなかったが、ニヤリと笑うカオス。
「戦闘開始は10日後だ! 俺は必ずパラス城に居ると約束しよう! だが、ナンバーズには各自自由に動くように伝えている。それは、パラスの国内外問わずだ」
「つまりは、いつ奇襲を受けるかも分からないという事か!?」
「そういう事だ。だが例えどこに居ようとも、10日後の戦闘開始までは一切手出ししないように徹底してあるから安心しろ」
「こちらの意思を確認する前に、そちらは既に準備万端という訳か」
「だから10日間の猶予をやった。その間にさっさと統一王を決めて、対策でも考えておく事だな。じゃあな!」
そう言い残して立ち去ろうとしたカオスがふと立ち止まり。
「ああ、ひとつ言い忘れていた! 俺が最終的にアイリスに勝ったなら、この世界は全て俺の物だ! そして、俺の気に入らない奴は片っ端から抹殺してやる」
「ぐっ!」
「あり得ない話だが、逆にもし俺が負けたなら、俺達パラスもお前達の傘下に入ると約束してやろう」
「つまりは、どちらが勝っても世界はひとつになるという事か!?」
「お前達にとっても悪くない話だろう!?」
「貴様が治める国など、願い下げだ!!」
「フッ、それがイヤならせいぜい頑張る事だ」
再び去ろうとするカオスを、パティが呼び止める。
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「ん? 何だ!? 姪っ子」
「姪っ子ゆ~なって言ってるでしょ!! 今のままじゃユーキはまた戦力外の役立たずじゃないのよ!」
「ええ~!? パティ酷い! 僕って戦力外だったの~!?」
慌ててフォローするパティ。
「あっ! ち、違うのよユーキ? 今の魔装具が使えないままのユーキではって意味で、今やユーキはウチらにとって無くてはならない最高戦力なんだから!」
だが、ジトーっとした目でパティを見るユーキ。
「それはつまり、以前はやっぱり役立たずだったって事じゃないか~」
「あいや、初めて会った時からユーキには凄い才能があるって分かってたわ! うん、分かってた!」
「ホントに~?」
呼び止められたままのカオスが痺れを切らす。
「オイ!! また俺はほったらかしかっ!!」
「ああ、忘れてたわ」
「忘れんなっ!!」
「魔装具が無いとユーキはまともに戦えないんだから、その魔装具置いてきなさいよ!!」
「聞いてなかったのか!? お前達がパラスの精鋭13人を全員倒せたら返してやるって言っただろう!?」
「だから~!! 魔装具無しではユーキが危険でしょ!? あんたと戦う前にユーキにもしもの事があったら、あんただって困るでしょ!?」
「器であるマナを揺さぶってやればアイリスが目覚める事が分かったからな。マナにはせいぜい痛い目にあってもらうさ」
「このおお! 返しなさい!!」
瞬時に魔装して、カオスに杖を向けて構えるパティ。
「オイオイ! 戦闘開始は10日後だと言っただろう!? 記憶力無いのか? 姪っ子」
「そんなの関係無いわ!! 大事な妹の為なら、そんな約束なんてクソ食らえよ!!」
だが、逆上したパティをアイバーンが止める。
「待ちたまえパティ君!! こんな狭い空間で魔法なんか放ったら、この宿屋にまで被害が及ぶ! 無関係な宿泊客だって居るのだ! 巻き込むつもりか!?」
「この際だからハッキリ言っておくわ!! あたしは、大事な妹で嫁でもあるユーキの為なら、周りの連中がどうなろうと知ったこっちゃないのよ!!」
「いや、何か増えてたんだけど!?」
「いいね~、その発想。さすがは俺の姪っ子だ」
「あんたも、姪っ子ゆ~なって何度も言ってるでしょ!?」
頭が沸騰したパティが正に魔法を放とうとした時、パティの前に両手を広げて立ち塞がるユーキ。
「ダメだよパティ!!」
「ユーキ!?」
「僕の事を想ってくれるのは凄く嬉しい。だけどどんな理由があれ、無関係な人達を巻き込むのはダメだよ! 僕はそんなパティはキライだよ!?」
「ユ、ユーキいい」
ユーキのキライというひと言で一気に戦意を失い、魔装が解けてへたり込むパティ。
「だそうだ。大人しく開戦を待つんだな、姪っ子。じゃ~な!」
立ち去るカオスをキッと睨みつけるパティ。
「つまり、無関係な人を巻き込まないで取り返せばいい訳よね?」
「パティ?」
そう言いながらゆらりと立ち上がったパティが、背を向けたカオスに襲いかかる。
そして、ユーキの魔装具を持ったカオスの、右腕前腕部に噛み付くパティ。
「痛ええええっ!!」
「はほ~ふはえひあはいいい~(魔装具返しなさいいい~)」
「な、何しやがる姪っ子!?」
「へいっほふ~は~(姪っ子ゆ~な~)」
「あらぁ? パティちゃんも、腕を噛むとダシが出るって気付いたんですねぇ?」
「いえ、違うと思います……」
カオスの持っている、ペンダント状態の魔装具を指差すユーキ。
「フッ、どうやらアイリスの記憶は戻ったみたいだな!? だがこれを返してほしかったら、俺の戦士を全員倒す事だな」
「ぶう~! 戦士って何人居るのさ?」
「我がパラスの最高戦力! 全員がレベル7で構成された13人の戦士! 名付けてサーティーンナンバーズだ!!」
「サーティーンナンバーズ? 何だか宝クジみたいな名前だね?」
「うるせえよ! 気にしてるんだからゆ~な!」
「気にしてるなら変えればいいのに……」
「レベル7ばかりが13人……」
その事実に驚愕するBL隊。
「見た所、お前達の中でレベル7の奴はこちらの半数も居ないだろう? まあ別に試合という訳じゃないからな。そちらの代表戦士は13人じゃなくてもいいし、1人に対し数人がかりでかかって来ても全然構わないぜ?」
「このお、バカにしてえ~」
カオスの挑発的な発言に、怒りを露わにするパティ。
「だがそれは言い換えれば、貴様達パラス軍も律儀に1対1の戦いをするつもりは無いと言う事だろう?」
「フッ」
ハッキリと言葉にはしなかったが、ニヤリと笑うカオス。
「戦闘開始は10日後だ! 俺は必ずパラス城に居ると約束しよう! だが、ナンバーズには各自自由に動くように伝えている。それは、パラスの国内外問わずだ」
「つまりは、いつ奇襲を受けるかも分からないという事か!?」
「そういう事だ。だが例えどこに居ようとも、10日後の戦闘開始までは一切手出ししないように徹底してあるから安心しろ」
「こちらの意思を確認する前に、そちらは既に準備万端という訳か」
「だから10日間の猶予をやった。その間にさっさと統一王を決めて、対策でも考えておく事だな。じゃあな!」
そう言い残して立ち去ろうとしたカオスがふと立ち止まり。
「ああ、ひとつ言い忘れていた! 俺が最終的にアイリスに勝ったなら、この世界は全て俺の物だ! そして、俺の気に入らない奴は片っ端から抹殺してやる」
「ぐっ!」
「あり得ない話だが、逆にもし俺が負けたなら、俺達パラスもお前達の傘下に入ると約束してやろう」
「つまりは、どちらが勝っても世界はひとつになるという事か!?」
「お前達にとっても悪くない話だろう!?」
「貴様が治める国など、願い下げだ!!」
「フッ、それがイヤならせいぜい頑張る事だ」
再び去ろうとするカオスを、パティが呼び止める。
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「ん? 何だ!? 姪っ子」
「姪っ子ゆ~なって言ってるでしょ!! 今のままじゃユーキはまた戦力外の役立たずじゃないのよ!」
「ええ~!? パティ酷い! 僕って戦力外だったの~!?」
慌ててフォローするパティ。
「あっ! ち、違うのよユーキ? 今の魔装具が使えないままのユーキではって意味で、今やユーキはウチらにとって無くてはならない最高戦力なんだから!」
だが、ジトーっとした目でパティを見るユーキ。
「それはつまり、以前はやっぱり役立たずだったって事じゃないか~」
「あいや、初めて会った時からユーキには凄い才能があるって分かってたわ! うん、分かってた!」
「ホントに~?」
呼び止められたままのカオスが痺れを切らす。
「オイ!! また俺はほったらかしかっ!!」
「ああ、忘れてたわ」
「忘れんなっ!!」
「魔装具が無いとユーキはまともに戦えないんだから、その魔装具置いてきなさいよ!!」
「聞いてなかったのか!? お前達がパラスの精鋭13人を全員倒せたら返してやるって言っただろう!?」
「だから~!! 魔装具無しではユーキが危険でしょ!? あんたと戦う前にユーキにもしもの事があったら、あんただって困るでしょ!?」
「器であるマナを揺さぶってやればアイリスが目覚める事が分かったからな。マナにはせいぜい痛い目にあってもらうさ」
「このおお! 返しなさい!!」
瞬時に魔装して、カオスに杖を向けて構えるパティ。
「オイオイ! 戦闘開始は10日後だと言っただろう!? 記憶力無いのか? 姪っ子」
「そんなの関係無いわ!! 大事な妹の為なら、そんな約束なんてクソ食らえよ!!」
だが、逆上したパティをアイバーンが止める。
「待ちたまえパティ君!! こんな狭い空間で魔法なんか放ったら、この宿屋にまで被害が及ぶ! 無関係な宿泊客だって居るのだ! 巻き込むつもりか!?」
「この際だからハッキリ言っておくわ!! あたしは、大事な妹で嫁でもあるユーキの為なら、周りの連中がどうなろうと知ったこっちゃないのよ!!」
「いや、何か増えてたんだけど!?」
「いいね~、その発想。さすがは俺の姪っ子だ」
「あんたも、姪っ子ゆ~なって何度も言ってるでしょ!?」
頭が沸騰したパティが正に魔法を放とうとした時、パティの前に両手を広げて立ち塞がるユーキ。
「ダメだよパティ!!」
「ユーキ!?」
「僕の事を想ってくれるのは凄く嬉しい。だけどどんな理由があれ、無関係な人達を巻き込むのはダメだよ! 僕はそんなパティはキライだよ!?」
「ユ、ユーキいい」
ユーキのキライというひと言で一気に戦意を失い、魔装が解けてへたり込むパティ。
「だそうだ。大人しく開戦を待つんだな、姪っ子。じゃ~な!」
立ち去るカオスをキッと睨みつけるパティ。
「つまり、無関係な人を巻き込まないで取り返せばいい訳よね?」
「パティ?」
そう言いながらゆらりと立ち上がったパティが、背を向けたカオスに襲いかかる。
そして、ユーキの魔装具を持ったカオスの、右腕前腕部に噛み付くパティ。
「痛ええええっ!!」
「はほ~ふはえひあはいいい~(魔装具返しなさいいい~)」
「な、何しやがる姪っ子!?」
「へいっほふ~は~(姪っ子ゆ~な~)」
「あらぁ? パティちゃんも、腕を噛むとダシが出るって気付いたんですねぇ?」
「いえ、違うと思います……」
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
女神の心臓
瑞原チヒロ
ファンタジー
「ねえ、精霊。もしもいるのなら――どうしてお母さんを助けてくれなかったの?」
人間と精霊が共存する世界。森に住む少年アリムには、精霊の姿が見えなかった。
彼を支えていたのは亡き母の「精霊があなたを助けてくれる」という言葉だけ。
そんなアリムはある日、水を汲みに訪れた川で、懐かしい姿を見つける。
一方その頃、町ではとある青年が、風精の囁きに応じ行動を始めていた。
表紙イラスト:いち様 pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=1688339
■小説家になろう、エブリスタ・カクヨムにも掲載。
★現行の「女神の心臓」は、勝手ながら現状の第二話をもって終了となります。
そして、作者に余裕ができたらリニューアルして新「女神の心臓」として復活させます。ちょっと雰囲気変わります。
現行の分を「完結」表示にするかは、まだ決まっておりません。
作者にその余裕ができるのか謎ですが…。現行のお話を読んでくださったみなさま、本当にすみません。そしてありがとうございます。
まじぼらっ! ~魔法奉仕同好会騒動記
ちありや
ファンタジー
芹沢(せりざわ)つばめは恋に恋する普通の女子高生。入学初日に出会った不思議な魔法熟… 少女に脅され… 強く勧誘されて「魔法奉仕(マジックボランティア)同好会」に入る事になる。
これはそんな彼女の恋と青春と冒険とサバイバルのタペストリーである。
1話あたり平均2000〜2500文字なので、サクサク読めますよ!
いわゆるラブコメではなく「ラブ&コメディ」です。いえむしろ「ラブギャグ」です! たまにシリアス展開もあります!
【注意】作中、『部』では無く『同好会』が登場しますが、分かりやすさ重視のために敢えて『部員』『部室』等と表記しています。
ドグラマ2 ―魔人会の五悪党―
小松菜
ファンタジー
※登場人物紹介を追加しました。
悪の秘密結社『ヤゴス』の三幹部は改造人間である。とある目的の為、冷凍睡眠により荒廃した未来の日本で目覚める事となる。
異世界と化した魔境日本で組織再興の為に活動を再開した三人は、今日もモンスターや勇者様一行と悲願達成の為に戦いを繰り広げるのだった。
*前作ドグラマの続編です。
毎日更新を目指しています。
ご指摘やご質問があればお気軽にどうぞ。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる