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第五章 五国統一
第23話 それがサガというものだ
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「これにて、本日の試合は全て終了となります! 明日はCグループとDグループの予選が行なわれます! その他にも色々イベントが予定されていますので、皆様のご来場をお待ちしております! それではまた明日、お会いしましょう!」
宿に戻って来たユーキ達。
しかし、何故かアイバーンにベッタリのユーキ。
「ええ~、別にザウスとはなんにも無いよ~」
「そうなのか? いや、妙に息が合っていたものでね」
「あ、あんた達、何でそんなに仲良くなってんのよ!? ユーキ、散々アイ君の口車に踊らされてたのに!?」
「え!? あ、いやあ……結局僕、最後は0ポイントになっちゃったから、レトロゲーム機は諦めてたんだけど、アイ君が自分のポイントを使ってゲットしてくれたんだ!」
「アイバーン様がプレゼントしてくれたんですか? 良かったですね、ユーキさん」
「うん!」
「なるほど……アイ君、そこまで計算づくだった訳ね」
「ん? 何の事かな? 私はただユーキ君の喜ぶ顔が見たかっただけだが?」
「ふ~ん……まあいいわ! あたしとしては、ユーキが喜んでるのが1番だし……それはそうと、明日はいよいよアイ君とメル君の直接対決ね」
「うう……胃が痛いです……」
「まあ、試合形式次第、といった所か」
「他にはどんな試合形式があるの?」
「ふむ……私も全てを把握している訳ではないので分からないが、観客を飽きさせないよう、色々趣向を凝らしている筈だ。だが、どんな試合形式であろうと、私は全力で勝ちに行く!」
「ぼ、僕だって全力で行きますからね! アイバーン様!」
「ふむ……受けて立とう!」
そして翌日。
前座の各種イベントや試合が終わった後、Cグループの予選試合が開始される。
「さあ皆様、お待たせしました!! ただ今より、五国統一大武闘大会、Cグループの予選試合を行いたいと思います!! このCグループの注目選手は何と言っても、昨日のBグループの予選試合に、同じ王国騎士団の盟友であるブレン選手のパートナーとして出場し、見事ブレン選手を勝利へと導いた、王国騎士団団長にして最強の氷使い! アイバーン・サン・クルセイドだー!!」
「キャー!! アイバーン様ー!!」
「団長ー!! カッコイイー!!」
「団長さんだけあって、やっぱりアイ君って人気あるんだね? 変態だけど」
「まあ、確かに顔はいいからね。変態だけど」
「強さも申し分無いですぅ。変態ですけどぉ」
「頭もいい……変態だけど……」
「スタイルもいいのです。でも変態なのです」
「これ程みんなから変態と言われるとは、アイバーン! 何てうらやましいんだ!!」
「うらやましいのかよっ!」
レフェリーがボックスの中から引いた紙が、巨大モニターに映し出される。
「決まりました!! Cグループの試合形式は、ビーチフラッグスだー!!」
「ビーチフラッグス? 走って旗を取るやつだよね?」
「勿論普通の形式じゃないでしょうけどね」
「ビーチフラッグスって言っても、海じゃありませんからねー‼︎」
「試合中に脱がないでくださいよー‼︎」
「む⁉︎ それは、フリ……」
「フリじゃありませんからねー‼︎」
「それでは、ルール説明をさせて頂きます! 全員うつ伏せの状態からスタートして、100メートル先にある旗を取って頂きます! 普通のビーチフラッグスならこれで決まりですが、この試合はそこから更に、最初のスタート地点に旗を持ってゴールした選手が勝利となります! 当然その間、他の選手への妨害、旗を奪う等、何でもオーケーです! 尚、このレースは順位を付けるのが困難な為、行うのは1レース限りとさせて頂きます!」
「一発勝負……最後に旗を持ってゴールした人が、そのまま決勝進出になるんだ?」
「分かりやすくていいんじゃない」
「アイ君とメル君、どっちが勝つかな?」
「ユウちゃん的にはぁ、どっちに勝ってほしいですかぁ?」
「ええ!? い、いや別に、どっちっていうのは無いよ!? 2人とも頑張ってほしいし!」
「そんな事言ってたら、案外関係無い人が勝ったりするのよね~」
「もう! 変なフラグ立てないでよ、パティ!」
パティがフラグを立てた頃、参加選手達が旗に背を向け、うつ伏せになってスタンバイする。
そして、試合開始の号砲が鳴り響く。
「さあ、始まりました! ビーチフラッ……あ、いや! 始まっていない!?」
スタートの合図が鳴ったにもかかわらず、何故かみんな立ち上がろうとしなかった。
「ああいえ! 始まっています!! 合図が鳴ったと同時に、すでに妨害が始まっています!!」
「何だこれ!? う、動けない!?」
「体に氷がまとわりついて!」
「氷だー!! 選手と地面が氷でくっついています!! これはやはり、彼の仕業かー!?」
「悪く思わないでくれ! 合図が鳴ったと同時に試合は始まっているんだからな!」
「やはり仕掛けたのは、ゼッケン18番! 王国騎士団団長、アイバーン選手だー!! どうやらスタートの合図と同時に、他の選手を氷で地面に磔にした模様です!」
独走状態のアイバーンの背後から、誰かが大声で叫ぶ。
「ああー!! 客席でユーキちゃんがいきなり脱ぎ始めたー!!」
「何だとっ!?」
その声に釣られて、つい立ち止まって客席のユーキを見るアイバーン。
そして他の観客、とBL隊の面々も釣られてユーキを見る。
大勢の視線を一身に浴びるユーキ。
「な、な、何言ってんだよメル君!! バカー!!」
「何っ!? メルクだと!?」
「すみません! ユーキさん! アイバーン様!」
いつの間にかアイバーンを抜き去っていたメルクが、謝りながら先頭を走っていた。
「おのれメルク!! 何て卑劣な作戦を!?」
慌ててメルクを追いかけるアイバーン。
「釣られるかね? 普通……って、ん!?」
他の観客達、そしてBL隊は、まだじっとユーキを見つめたままだった。
「いや、脱がないからねー!!」
宿に戻って来たユーキ達。
しかし、何故かアイバーンにベッタリのユーキ。
「ええ~、別にザウスとはなんにも無いよ~」
「そうなのか? いや、妙に息が合っていたものでね」
「あ、あんた達、何でそんなに仲良くなってんのよ!? ユーキ、散々アイ君の口車に踊らされてたのに!?」
「え!? あ、いやあ……結局僕、最後は0ポイントになっちゃったから、レトロゲーム機は諦めてたんだけど、アイ君が自分のポイントを使ってゲットしてくれたんだ!」
「アイバーン様がプレゼントしてくれたんですか? 良かったですね、ユーキさん」
「うん!」
「なるほど……アイ君、そこまで計算づくだった訳ね」
「ん? 何の事かな? 私はただユーキ君の喜ぶ顔が見たかっただけだが?」
「ふ~ん……まあいいわ! あたしとしては、ユーキが喜んでるのが1番だし……それはそうと、明日はいよいよアイ君とメル君の直接対決ね」
「うう……胃が痛いです……」
「まあ、試合形式次第、といった所か」
「他にはどんな試合形式があるの?」
「ふむ……私も全てを把握している訳ではないので分からないが、観客を飽きさせないよう、色々趣向を凝らしている筈だ。だが、どんな試合形式であろうと、私は全力で勝ちに行く!」
「ぼ、僕だって全力で行きますからね! アイバーン様!」
「ふむ……受けて立とう!」
そして翌日。
前座の各種イベントや試合が終わった後、Cグループの予選試合が開始される。
「さあ皆様、お待たせしました!! ただ今より、五国統一大武闘大会、Cグループの予選試合を行いたいと思います!! このCグループの注目選手は何と言っても、昨日のBグループの予選試合に、同じ王国騎士団の盟友であるブレン選手のパートナーとして出場し、見事ブレン選手を勝利へと導いた、王国騎士団団長にして最強の氷使い! アイバーン・サン・クルセイドだー!!」
「キャー!! アイバーン様ー!!」
「団長ー!! カッコイイー!!」
「団長さんだけあって、やっぱりアイ君って人気あるんだね? 変態だけど」
「まあ、確かに顔はいいからね。変態だけど」
「強さも申し分無いですぅ。変態ですけどぉ」
「頭もいい……変態だけど……」
「スタイルもいいのです。でも変態なのです」
「これ程みんなから変態と言われるとは、アイバーン! 何てうらやましいんだ!!」
「うらやましいのかよっ!」
レフェリーがボックスの中から引いた紙が、巨大モニターに映し出される。
「決まりました!! Cグループの試合形式は、ビーチフラッグスだー!!」
「ビーチフラッグス? 走って旗を取るやつだよね?」
「勿論普通の形式じゃないでしょうけどね」
「ビーチフラッグスって言っても、海じゃありませんからねー‼︎」
「試合中に脱がないでくださいよー‼︎」
「む⁉︎ それは、フリ……」
「フリじゃありませんからねー‼︎」
「それでは、ルール説明をさせて頂きます! 全員うつ伏せの状態からスタートして、100メートル先にある旗を取って頂きます! 普通のビーチフラッグスならこれで決まりですが、この試合はそこから更に、最初のスタート地点に旗を持ってゴールした選手が勝利となります! 当然その間、他の選手への妨害、旗を奪う等、何でもオーケーです! 尚、このレースは順位を付けるのが困難な為、行うのは1レース限りとさせて頂きます!」
「一発勝負……最後に旗を持ってゴールした人が、そのまま決勝進出になるんだ?」
「分かりやすくていいんじゃない」
「アイ君とメル君、どっちが勝つかな?」
「ユウちゃん的にはぁ、どっちに勝ってほしいですかぁ?」
「ええ!? い、いや別に、どっちっていうのは無いよ!? 2人とも頑張ってほしいし!」
「そんな事言ってたら、案外関係無い人が勝ったりするのよね~」
「もう! 変なフラグ立てないでよ、パティ!」
パティがフラグを立てた頃、参加選手達が旗に背を向け、うつ伏せになってスタンバイする。
そして、試合開始の号砲が鳴り響く。
「さあ、始まりました! ビーチフラッ……あ、いや! 始まっていない!?」
スタートの合図が鳴ったにもかかわらず、何故かみんな立ち上がろうとしなかった。
「ああいえ! 始まっています!! 合図が鳴ったと同時に、すでに妨害が始まっています!!」
「何だこれ!? う、動けない!?」
「体に氷がまとわりついて!」
「氷だー!! 選手と地面が氷でくっついています!! これはやはり、彼の仕業かー!?」
「悪く思わないでくれ! 合図が鳴ったと同時に試合は始まっているんだからな!」
「やはり仕掛けたのは、ゼッケン18番! 王国騎士団団長、アイバーン選手だー!! どうやらスタートの合図と同時に、他の選手を氷で地面に磔にした模様です!」
独走状態のアイバーンの背後から、誰かが大声で叫ぶ。
「ああー!! 客席でユーキちゃんがいきなり脱ぎ始めたー!!」
「何だとっ!?」
その声に釣られて、つい立ち止まって客席のユーキを見るアイバーン。
そして他の観客、とBL隊の面々も釣られてユーキを見る。
大勢の視線を一身に浴びるユーキ。
「な、な、何言ってんだよメル君!! バカー!!」
「何っ!? メルクだと!?」
「すみません! ユーキさん! アイバーン様!」
いつの間にかアイバーンを抜き去っていたメルクが、謝りながら先頭を走っていた。
「おのれメルク!! 何て卑劣な作戦を!?」
慌ててメルクを追いかけるアイバーン。
「釣られるかね? 普通……って、ん!?」
他の観客達、そしてBL隊は、まだじっとユーキを見つめたままだった。
「いや、脱がないからねー!!」
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