101 / 298
第四章 某国の姫君
第19話 マルマルマ~ル~マルマ~ル~
しおりを挟む
レノを抱えたキスパーが、リーゼルの城に帰って来る。
「ただいまでフ、レノを捕まえて来たでフ」
「キスパー!? あの時消滅しちゃった訳じゃないんだね?」
「僕も召喚獣だから、たとえ消えても何度でも召喚できるんでフ」
「そうなんだ!? ところで、口調がキスパーになってるけど、キスパーもロロみたいに自我があるの?」
「キスパーには自我は無いわ……中でネムがキャラを演じてるだけ……」
いきなりネムの口調で喋り出すキスパー。
「おおぅ! そうなんだ? でも確かにその姿でその口調だと、ちょっと違和感あり過ぎるね……」
「じゃあ、元に戻るね……」
キスパーの姿が光になって消えたその後に、宙に浮いたネムが現れ、タタンッ! と地に降り立つ。
「ネム、お疲れ様!」
「ありがとうございます、ユーキ姉様……あ、マナ姉様って言った方がいい?」
「別にユーキでいいよ、マナって呼ばれると、どうもまだこそばゆいから」
「うん……分かった、ユーキ姉様……」
「そうなんですかぁ? じゃあ私も、マナちゃんの記憶が戻るまではぁ、今まで通り穂乃果ちゃんって呼びますねぇ」
「いや、呼ばれた事ねーわっ! 誰だよ、穂乃果って? ラブラ○ブかっ!?」
「ほら! 漫才やってる場合じゃないでしょ!? もうじきマルス国王がヴェルン軍へ降伏勧告を出すんじゃないの!?」
「そうでしたぁ、ここからが本番なんでしたぁ」
パティの言葉通り、マルス国王がヴェルン兵に向けて、全島放送で降伏勧告を出す。
「あー、あー! ヴェルン兵に告ぐ! ヴェルン兵に告ぐ!」
「始まった!」
「私はリーゼル国国王の、マルマルマ~ル~マルマ~ルである!」
ポカッ!! ガガーッ! ピーッ!!
何やらノイズが入り、一旦放送が切れる。
「何やってんだ? あのオヤジ……」
「痛い! ま、待てレナ! ほんの冗談じゃないか!? わ、分かった! 真面目にやるからっ!!」
王妃にお仕置きされたマルス国王が、再び放送を始める。
「オホンッ! 失礼した……ヴェルン兵に告げる! 私はリーゼル国国王の、マルス・フリードである! 先程我が国の精鋭が貴国のレノ王子並びにセラ王女を打ち破り、その身柄を保護している」
その放送を聞いているバートラー。
「レノ様とセラ様が捕まりましたか……ではいよいよですな……」
「2人を助けたくば、ただちに戦闘をやめ投降せよ!! 繰り返す! ただちに戦闘をやめ投降せよ!! そうすればレノ王子セラ王女、並びに来君らの身の安全は保証する!」
徐々に動きが止まって行く両軍。
「我々リーゼルとヴェルンは、昔から友好関係を保って来た……私はこんな事で友を失いたくない! 我々はこれ以上の戦闘は望まない! どうか、賢明な判断を期待する……以上だ!」
「レノ様とセラ様が人質に取られたとあらば、我々はもう戦えない!! みな、リーゼルに投降しよう!!」
ヴェルン兵に訴えると言うよりは、どこかに潜んでいるであろうパラスの監視員に聞こえるように叫ぶバートラー。
「お二人の命がかかってるんだ、俺は投降するぞー!!」
「俺も投降する!」
「俺もだ!」
「やっぱりリーゼルと戦うのはイヤだ!!」
「マナちゃんを傷付ける事なんて出来ねぇ!!」
「そうだ!! みんな投降しよう!!」
「マルス様は俺達の命を奪ったりはしない!」
「戦争なんかやめだー!!」
至る所で、武器を捨ててリーゼルに投降を始めるヴェルン兵。
その様子を隠れて見ているパラスの監視員。
(な、何なんだこれは!? 早くバーダ様に報告しなければ!)
投降したヴェルン兵が、続々とリーゼル城に入って来る。
「みんなご苦労様です!! 辛い戦いだったでしょうが、よく耐えてくれました……ありがとう!!」
ヴェルン兵達の労をねぎらうセラ。
「そんな! 頭を上げてください、セラ様!!」
「そうです! 我々はみなパラスのやり方には我慢ならなかったんですから!」
「みんな今回のセラ様の計画に大賛成なんです! 共にパラスの奴等にひと泡吹かせてやりましょう!!」
「そうだそうだー!!」
「こっちは賑やかだね!?」
ヴェルン兵達の様子を見に降りて来たユーキ。
「……マナ様……」
「マナ様だっ!」
「ウオオオオッ!! 本当にマナ様が帰って来られたんだー!!」
「マナ様ー!!」
「お久しぶりですマナ様ー!!」
「相変わらずお美しいー!!」
「ア、アハハハ! ヴェルンの人達とも面識あったんだ? 僕……」
「マナちゃんがヴェルンに来た事があるのはほんの数回でしたがぁ、その度に大騒ぎでしたよぉ。それにしても……同じ2年ぶりに会うのに、みんな私の時よりも喜んでませんかぁ!?」
「き、気のせいですよぉ! セラ様ぁ!」
「俺達みんな、セラ様の事も大好きですからぁ!!」
「まったく……調子いいですねぇ」
そこへパティがやって来る。
「ユーキ、あたし達はそろそろ配置につくわ」
「うん、分かった! じゃあ僕も戻るよ」
みんなの元へ戻ろうとしたユーキがヴェルン兵達の方に振り返り。
「怪我した人が居たら後で僕も治療してあげるから、ちょっと待っててねー!!」
「ええ!? マナ様直々に治療してくださるんですか!?」
「マジかー!! くそー! 俺も怪我すりゃよかったー!!」
「オ、オイ! ちょっと俺を殴ってくれないか?」
「お、俺も俺も!!」
ユーキに治療してもらおうと、怪我をしていない者までわざと傷を作ろうとするヴェルン兵。
「言っとくけど、そんなバカな事する人は治してあげないからねっ!?」
「うぐっ!」
しっかりと釘を刺していくユーキだった。
「ただいまでフ、レノを捕まえて来たでフ」
「キスパー!? あの時消滅しちゃった訳じゃないんだね?」
「僕も召喚獣だから、たとえ消えても何度でも召喚できるんでフ」
「そうなんだ!? ところで、口調がキスパーになってるけど、キスパーもロロみたいに自我があるの?」
「キスパーには自我は無いわ……中でネムがキャラを演じてるだけ……」
いきなりネムの口調で喋り出すキスパー。
「おおぅ! そうなんだ? でも確かにその姿でその口調だと、ちょっと違和感あり過ぎるね……」
「じゃあ、元に戻るね……」
キスパーの姿が光になって消えたその後に、宙に浮いたネムが現れ、タタンッ! と地に降り立つ。
「ネム、お疲れ様!」
「ありがとうございます、ユーキ姉様……あ、マナ姉様って言った方がいい?」
「別にユーキでいいよ、マナって呼ばれると、どうもまだこそばゆいから」
「うん……分かった、ユーキ姉様……」
「そうなんですかぁ? じゃあ私も、マナちゃんの記憶が戻るまではぁ、今まで通り穂乃果ちゃんって呼びますねぇ」
「いや、呼ばれた事ねーわっ! 誰だよ、穂乃果って? ラブラ○ブかっ!?」
「ほら! 漫才やってる場合じゃないでしょ!? もうじきマルス国王がヴェルン軍へ降伏勧告を出すんじゃないの!?」
「そうでしたぁ、ここからが本番なんでしたぁ」
パティの言葉通り、マルス国王がヴェルン兵に向けて、全島放送で降伏勧告を出す。
「あー、あー! ヴェルン兵に告ぐ! ヴェルン兵に告ぐ!」
「始まった!」
「私はリーゼル国国王の、マルマルマ~ル~マルマ~ルである!」
ポカッ!! ガガーッ! ピーッ!!
何やらノイズが入り、一旦放送が切れる。
「何やってんだ? あのオヤジ……」
「痛い! ま、待てレナ! ほんの冗談じゃないか!? わ、分かった! 真面目にやるからっ!!」
王妃にお仕置きされたマルス国王が、再び放送を始める。
「オホンッ! 失礼した……ヴェルン兵に告げる! 私はリーゼル国国王の、マルス・フリードである! 先程我が国の精鋭が貴国のレノ王子並びにセラ王女を打ち破り、その身柄を保護している」
その放送を聞いているバートラー。
「レノ様とセラ様が捕まりましたか……ではいよいよですな……」
「2人を助けたくば、ただちに戦闘をやめ投降せよ!! 繰り返す! ただちに戦闘をやめ投降せよ!! そうすればレノ王子セラ王女、並びに来君らの身の安全は保証する!」
徐々に動きが止まって行く両軍。
「我々リーゼルとヴェルンは、昔から友好関係を保って来た……私はこんな事で友を失いたくない! 我々はこれ以上の戦闘は望まない! どうか、賢明な判断を期待する……以上だ!」
「レノ様とセラ様が人質に取られたとあらば、我々はもう戦えない!! みな、リーゼルに投降しよう!!」
ヴェルン兵に訴えると言うよりは、どこかに潜んでいるであろうパラスの監視員に聞こえるように叫ぶバートラー。
「お二人の命がかかってるんだ、俺は投降するぞー!!」
「俺も投降する!」
「俺もだ!」
「やっぱりリーゼルと戦うのはイヤだ!!」
「マナちゃんを傷付ける事なんて出来ねぇ!!」
「そうだ!! みんな投降しよう!!」
「マルス様は俺達の命を奪ったりはしない!」
「戦争なんかやめだー!!」
至る所で、武器を捨ててリーゼルに投降を始めるヴェルン兵。
その様子を隠れて見ているパラスの監視員。
(な、何なんだこれは!? 早くバーダ様に報告しなければ!)
投降したヴェルン兵が、続々とリーゼル城に入って来る。
「みんなご苦労様です!! 辛い戦いだったでしょうが、よく耐えてくれました……ありがとう!!」
ヴェルン兵達の労をねぎらうセラ。
「そんな! 頭を上げてください、セラ様!!」
「そうです! 我々はみなパラスのやり方には我慢ならなかったんですから!」
「みんな今回のセラ様の計画に大賛成なんです! 共にパラスの奴等にひと泡吹かせてやりましょう!!」
「そうだそうだー!!」
「こっちは賑やかだね!?」
ヴェルン兵達の様子を見に降りて来たユーキ。
「……マナ様……」
「マナ様だっ!」
「ウオオオオッ!! 本当にマナ様が帰って来られたんだー!!」
「マナ様ー!!」
「お久しぶりですマナ様ー!!」
「相変わらずお美しいー!!」
「ア、アハハハ! ヴェルンの人達とも面識あったんだ? 僕……」
「マナちゃんがヴェルンに来た事があるのはほんの数回でしたがぁ、その度に大騒ぎでしたよぉ。それにしても……同じ2年ぶりに会うのに、みんな私の時よりも喜んでませんかぁ!?」
「き、気のせいですよぉ! セラ様ぁ!」
「俺達みんな、セラ様の事も大好きですからぁ!!」
「まったく……調子いいですねぇ」
そこへパティがやって来る。
「ユーキ、あたし達はそろそろ配置につくわ」
「うん、分かった! じゃあ僕も戻るよ」
みんなの元へ戻ろうとしたユーキがヴェルン兵達の方に振り返り。
「怪我した人が居たら後で僕も治療してあげるから、ちょっと待っててねー!!」
「ええ!? マナ様直々に治療してくださるんですか!?」
「マジかー!! くそー! 俺も怪我すりゃよかったー!!」
「オ、オイ! ちょっと俺を殴ってくれないか?」
「お、俺も俺も!!」
ユーキに治療してもらおうと、怪我をしていない者までわざと傷を作ろうとするヴェルン兵。
「言っとくけど、そんなバカな事する人は治してあげないからねっ!?」
「うぐっ!」
しっかりと釘を刺していくユーキだった。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
偽りの婚姻
迷い人
ファンタジー
ルーペンス国とその南国に位置する国々との長きに渡る戦争が終わりをつげ、終戦協定が結ばれた祝いの席。
終戦の祝賀会の場で『パーシヴァル・フォン・ヘルムート伯爵』は、10年前に結婚して以来1度も会話をしていない妻『シヴィル』を、祝賀会の会場で探していた。
夫が多大な功績をたてた場で、祝わぬ妻などいるはずがない。
パーシヴァルは妻を探す。
妻の実家から受けた援助を返済し、離婚を申し立てるために。
だが、妻と思っていた相手との間に、婚姻の事実はなかった。
婚姻の事実がないのなら、借金を返す相手がいないのなら、自由になればいいという者もいるが、パーシヴァルは妻と思っていた女性シヴィルを探しそして思いを伝えようとしたのだが……
まじぼらっ! ~魔法奉仕同好会騒動記
ちありや
ファンタジー
芹沢(せりざわ)つばめは恋に恋する普通の女子高生。入学初日に出会った不思議な魔法熟… 少女に脅され… 強く勧誘されて「魔法奉仕(マジックボランティア)同好会」に入る事になる。
これはそんな彼女の恋と青春と冒険とサバイバルのタペストリーである。
1話あたり平均2000〜2500文字なので、サクサク読めますよ!
いわゆるラブコメではなく「ラブ&コメディ」です。いえむしろ「ラブギャグ」です! たまにシリアス展開もあります!
【注意】作中、『部』では無く『同好会』が登場しますが、分かりやすさ重視のために敢えて『部員』『部室』等と表記しています。
ドグラマ2 ―魔人会の五悪党―
小松菜
ファンタジー
※登場人物紹介を追加しました。
悪の秘密結社『ヤゴス』の三幹部は改造人間である。とある目的の為、冷凍睡眠により荒廃した未来の日本で目覚める事となる。
異世界と化した魔境日本で組織再興の為に活動を再開した三人は、今日もモンスターや勇者様一行と悲願達成の為に戦いを繰り広げるのだった。
*前作ドグラマの続編です。
毎日更新を目指しています。
ご指摘やご質問があればお気軽にどうぞ。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる