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因果応報編

帝国軍進行

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 王都に戻って来た。もう変装などすることがない。堂々と街中を歩けるのだ。

「やりましたね」
「皆んなのお陰だ、ありがとう」
「なに言ってるのさ、ウィルの実力だよ」

「そうです。私達こそ感謝しているのです」

「なに照れてるのよ」
「そういじめるなよ、フレア」
「フフ」

「そうは言ってもやる事は山程ありますね」
「その通りです」

「ウィル様、アナサマからお手紙が届きました」
「そうか、何かあったのかな?…………」

「どうしたのウィル?」

「何だって?」
「ガレキーニがアナサマに来たそうだ」

「……そうですか」
「お姉様」

「後でお父様に報告にいきましょう」
「はい」

なんか感慨深い物があるな。


「よし、これで後はバレタ公爵を失脚させれば、大きく情勢は動き出すだろう」

「そうですね」

「何か考えが有るの?ウィル」

「いや、まだこれと言って考えは無いよ。暫くはバレタ公爵の身辺調査ってところかな」


ーー

ガラザス王国へ兵士を送り出す事が決まった為、リベレルのポーションを納める事になり、城へタクトと共に向かう。

爵命式の時、とは言っても国王も居なければ他の貴族も居ない。下っ端の文官から書状をもらっただけなのだが、それ以来初の登城になる。

驚いた事に総指揮はバレタ公爵が取るそうだ。あれでも昔は数々の武勲を立てた、立派な騎士だったそうだ。それで当時の国王に認められ公爵になったらしい。とても信じられない、裏が有りそうな気がしてならない。

「その方か、リベレルのポーションで爵位を買った男と言うのは」

「はい、ウィルと申します。宜しくお願い致します」

「ふっ、解った、解った。早くポーションを置いていくがよい」

犬を追いはらう様に指だけを上下に動かしソッポを向く。

「嫌な奴だったな」
「全くだ。今にみていろ」


「ウィル男爵殿ではないか?今日は何しに来たのだ」

ガレキーニの息子ハイザだ。嫌な奴に会ってしまった。

「ポーションを納めに参りました」

「おやおや、男爵ではなく御用聞きの方がお似合いだな。まっ、せいぜい頑張れよ、男爵殿」


「今日は厄日だな」
「ああ、本当にそうだ」



「やっと見つけた、待ちなさい」

城を出て暫くして後ろから声をかけられる。やれやれ、今度は誰だ?振り返ると、そこにいたのはリリアさんだった。

あいた、また厄介な娘に会ってしまった。久しぶりに顔を見る事が出来て嬉しくもあるけどね。

「証人を見つけたから会ってくださいね」

どうするか、何とか上手く誤魔化さないと。

「解ったよ。ハッキリさせよう。俺の家に来てくれ」

場所を教えて屋敷に急ぐ。

「解ったわ、後で行きます」


「ウィル、どうする気だ?」
「サユリカにお願いしようと思う」
「あっ、成る程」


ーー

「お帰りなさい。ウィル様」

「ただいま。ちょうど良かった、サユリカにお願いがあるんだ」

「何ですか?」
「実はね……」



「ウィル、リリアさんが来たわよ」
「分かった、今行く」


「驚いた。こんな大きなお屋敷に住んでいるのね」
「ええ、まあ。どうぞこちらに」

サユリカに証人の精神操作をしてもらう事になっている。大丈夫だと思うが。

確かにあの時にリリアさん達を運んでと、お願いした冒険者の人だ。サユリカ、頼むぞ。

「さあ、パークさん、彼をよく見て。この人ですよね?」

「ん~、似てるが違うな」

「そ、そんな。私がいった特徴とピッタリって言ったじゃない」

「そうは言っても違うんだから仕方ないだろ」

「リリアさん、これで解ってくれました?」

「……くっ。私、諦めませんから、他の人を探して来ます」

ごめん、リリアさん。



「色男は辛いわね」
「フレア、言い過ぎですよ」

「そうね、ウィルごめん」

「ウィルの気持ちは解りますが、正直に言った方が良いかもしれませんよ」

「そうですね。考えてみます」

ーーーー



帝国とガラザス・アルバウア・キースロイ王国の連合軍との開戦は俺がポーションを城に持っていってから1か月後だった。

大方の予想どおり帝国軍は強かった。対、帝国用に兼ねてから要塞を築いていたのだが、1週間後には国境近くの街の2つを落とされてしまった。

「こうも簡単にバナロンの要塞が落とされてしまうとは……」

「魔法の威力が違うのです。あのような物だとは想定していませんでした」

「何か方法を考えねば。宜しい、この私が本国に帰り策を検討してこよう」

「しかし今、バレタ公の軍が戻られては全体の士気が下がってしまいます」

「なに、心配はいらん。戻るのは私だけだ、兵もポーションも置いていく。ペナット子爵も優秀ゆえ安心なされよ」

こんな戦に付き合っては居られん。早々に戻って身の振り方を考えねば。


☆☆


「ウィル様、サラン公爵の使いの方がいらっしゃっていますよ」

「何だろう?」

使いの執事さんに連れられて、サラン公爵の屋敷に行くとバナー伯爵とレント子爵もいた。2人とも反ガレキーニ派の人達だ。

「実はな、ウィル君にも話を聞いて欲しくて来てもらったのだ」

「はい、何でしょう」

「バレタ公爵が体調不良を理由に先日戻って来た」
「えっ、全軍戻って来たのですか?」

「いや、彼だけだ」

呆れた人だな。この非常時に。大体、体調不良などリベレルのポーションを飲めば一発で治るだろうよ。

「バレタ公爵が戻って来る前にも、従魔による戦況が次々と入って来たのだが、ガラザスの王都の手前の街に帝国軍が到着したとの報告もあった」

「ガラザスの陥落は、ほぼ確定したと言うことですか?」

「そうなるな」

「バレタ公爵にお咎めは無いのですか?」
「残念だが」

なんか弱味でも握られているのか?あのバカ国王の奴。

「そこで我ら3人で王都ビルコンに行こうと思うのだが君も来るかね?」

帝国軍を相手にか……何か策でも有るのかな?ここで手柄を立てれば一気に駆け上がれるのは間違いない、絶好の機会ではある。

「解りました、お供致します」


ーーーー

「それで行くことにしたのですね」

「サラン公爵が無策で帝国と一戦交えるとも思えないんでね。上手くすればアリス様達も復帰する事が出来るのではないですか」

「そうですが……」
「お姉様、やりましょう」
「解りました」

「私達だけでも帝国なんてイチコロですよ」
「フレアもお気楽だな」
「だって本当の事でしょ?」

「まあね」

ガラザスとの国境で迎え撃つ方が良いとの意見も出たが、なぜかバレタ公爵がサラン公爵に味方をしたことにより、正式に俺達の出陣が決定した。

バレタ公爵の奴は、この機会に邪魔者を一掃しようと言う腹
なのだろうが、そうはいくか。後で吠え面をかくなよ。
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