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因果応報編
潜入
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何とか王宮内の情報を知る手立てを考えたが、いい方法が思いつかない。
「んんん……くそっ」
「荒れているわね」
「ウィル、焦りは禁物ですよ」
「は、はい」
「ウィル様、商業ギルドで面白い話を聞いて来ました」
「なになに?」
「王宮で料理人の欠員が出たそうで、公募するそうです」
「それ、使える」
「ただ、商業ギルドで試験が有りますが」
「問題無し」
「どうするのさ?」
「こうするのさ」
俺はフェイクライフを使って1人の男を創り出す。
「ウィル様、何の御用でしょう?」
「王宮の料理人になって情報を集めて欲しい」
「畏まりました」
「ウィル、誰よ?」
「家で料理長をやっていたベンジャミンだ。腕は俺が保証する」
「素敵ですね」
「丁度いい、皆に料理を作ってあげて」
「お任せ下さい」
ーー
「あ~、こんな美味しいフルコースの食事したのは、いつぶりだろう」
「私は子供の頃の思いでしか無いです」
「私も」
「僕も」
「どう?」
「これなら必ず合格するわ」
「よっしゃ」
予定通りベンジャミンは、商業ギルドの試験に他者に圧倒的な差を付けて合格し、王宮の料理人として働く事になった。
☆☆☆☆☆
私の名前はベンジャミン。ウィル様に創って頂いたフェイクライフです。
私の任務は王宮内の情報集めだ。特にガレキーニ伯爵と関係の深いバレタ公爵の身辺調査と反対勢力を探る事だ。
さて何処から攻めて行こうか?……うむ、噂と言えば女性か、宜しいメイドから攻めて行こう。
料理作りと女性を歓ばせる事に対して、ゴールドフィンガーと呼ばれた私の名に懸けて必ず成功させて見せますぞ、ウィル様。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「王宮の情報が集まるまで時間がかかるだろうから、アナサマの様子を見に行ってからアリスとタクトのレベルを上をげにダンジョンに行こう」
「賛成」
「「解りました」」
アナサマでやる事は多い、病気を治したのはごく少数で、まだまだ先は長い。ダンジョンの魔法陣を経由してアナサマへ転移する。
「きゃっ!」
「あっ、すいません」
「い、いえ、いらっしゃいませ」
「掃除して下さってたんですね」
「はい、ウィル様達はこの地の恩人ですので」
「それは大げさですよ」
「おや、いらしてたのですね」
「テレスさん」
ーー
「それで帝国の様子は?」
「あれ以来姿を見せません」
「そうですか、良かった」
「しかし、今度来る時は厄介かもしれません」
「帝国もバカじゃないって事か」
「はい」
「それなりに準備が必要ですね」
「その様です」
アナサマに手を出そうなんて言う奴は今までいなかったけど、これからはそうはいかないらしい。
ーーーー
「……帝国がな」
「はい。師匠はアナサマの事を前から知っていたのでしょう?」
「ふむ、少しは頭が回るようになったではないか」
「はい、俺の師匠は優秀な方ですので」
「ふっ。この本を長に渡してやれ」
「はい、師匠」
ーー
「この本をザラスト様が」
「はい役に立てて下さい」
「ありがとう御座います」
それから俺達はこのダンジョン、つまり赤のダンジョンでレベルアップを始めた。
10日も立てばアリスとタクトも魔法とスキルを使いこなせるようになってきた。これなら何かあっても自分で対応出来ると言う事で、少しずつエドオリオの街を探索するようになった。
☆☆☆☆☆
今日は初めての1人歩きになる。少し不安だけど、こんな開放的な気持ちを味わう事が出来るとは思ってもいなかった。ウィルにあえて良かった、心からそう思う。
「何をするんです!止めて下さい」
「お前達は臭いんだよ」
「そうだ、そうだ」
女の子と小さな子達が、意地の悪そうな男の子達に絡まれている。
小さい子達を庇っている女の子が突き飛ばされた。
「きゃっ」 「お姉ちゃん」
泣き出した子供達を見て僕は飛び出していた。
「止めろ!」
「何だお前」
「この辺じゃ見ない顔だな」
「引っ込んでろよ!」
最後に僕に悪態をついた奴が肩を突こうと向かって来たので、身体強化の魔法をかける。突かれても僕はびくともしなかった。
「いて……っ」
「くそっ、やっちまえ!」
ウィルに教えて貰ったように、口には出さず土魔法を使い連中の足下に穴ぼこを仕掛ける。
女の子をいじめるしょうもない連中は、簡単に引っ掛かり全員コケて転がった。
「止めないと今度は身体に穴が空くぞ」
側に有った石ころにストーンバレットを撃つ。石ころは砕け散った。
「わ、解った。行くよ」
「大丈夫ですか?」
「ありがとう御座います。いつもの事なので大丈夫です」
よく観ると女の子は獣人だった。可愛い耳がちょこんと出ている。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。でも、いつもあんな事を?」
「あの人達は、孤児院の事をよく思っていないんです」
「孤児院ですか」
「はい、あの角を曲がった所に在るんです。よかったら、お礼にお茶でも」
「お兄ちゃん行こ!」
「じゃ、少しだけね」
ーー
「タクト、お帰りなさい」
「お姉様、ただいま戻りました」
「あら、何か良いことでも有ったのかしら?タクト」
「えっ、ベ、別に何も無いです」
「そうですか?」
「怪しいわね」
「本当ですね」
「何を言っているのですか皆さん。何も有りませんよ」
俺が見てもかなり怪しいが、ここは男同士なので知らないふりをしておこう。
「んんん……くそっ」
「荒れているわね」
「ウィル、焦りは禁物ですよ」
「は、はい」
「ウィル様、商業ギルドで面白い話を聞いて来ました」
「なになに?」
「王宮で料理人の欠員が出たそうで、公募するそうです」
「それ、使える」
「ただ、商業ギルドで試験が有りますが」
「問題無し」
「どうするのさ?」
「こうするのさ」
俺はフェイクライフを使って1人の男を創り出す。
「ウィル様、何の御用でしょう?」
「王宮の料理人になって情報を集めて欲しい」
「畏まりました」
「ウィル、誰よ?」
「家で料理長をやっていたベンジャミンだ。腕は俺が保証する」
「素敵ですね」
「丁度いい、皆に料理を作ってあげて」
「お任せ下さい」
ーー
「あ~、こんな美味しいフルコースの食事したのは、いつぶりだろう」
「私は子供の頃の思いでしか無いです」
「私も」
「僕も」
「どう?」
「これなら必ず合格するわ」
「よっしゃ」
予定通りベンジャミンは、商業ギルドの試験に他者に圧倒的な差を付けて合格し、王宮の料理人として働く事になった。
☆☆☆☆☆
私の名前はベンジャミン。ウィル様に創って頂いたフェイクライフです。
私の任務は王宮内の情報集めだ。特にガレキーニ伯爵と関係の深いバレタ公爵の身辺調査と反対勢力を探る事だ。
さて何処から攻めて行こうか?……うむ、噂と言えば女性か、宜しいメイドから攻めて行こう。
料理作りと女性を歓ばせる事に対して、ゴールドフィンガーと呼ばれた私の名に懸けて必ず成功させて見せますぞ、ウィル様。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「王宮の情報が集まるまで時間がかかるだろうから、アナサマの様子を見に行ってからアリスとタクトのレベルを上をげにダンジョンに行こう」
「賛成」
「「解りました」」
アナサマでやる事は多い、病気を治したのはごく少数で、まだまだ先は長い。ダンジョンの魔法陣を経由してアナサマへ転移する。
「きゃっ!」
「あっ、すいません」
「い、いえ、いらっしゃいませ」
「掃除して下さってたんですね」
「はい、ウィル様達はこの地の恩人ですので」
「それは大げさですよ」
「おや、いらしてたのですね」
「テレスさん」
ーー
「それで帝国の様子は?」
「あれ以来姿を見せません」
「そうですか、良かった」
「しかし、今度来る時は厄介かもしれません」
「帝国もバカじゃないって事か」
「はい」
「それなりに準備が必要ですね」
「その様です」
アナサマに手を出そうなんて言う奴は今までいなかったけど、これからはそうはいかないらしい。
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「……帝国がな」
「はい。師匠はアナサマの事を前から知っていたのでしょう?」
「ふむ、少しは頭が回るようになったではないか」
「はい、俺の師匠は優秀な方ですので」
「ふっ。この本を長に渡してやれ」
「はい、師匠」
ーー
「この本をザラスト様が」
「はい役に立てて下さい」
「ありがとう御座います」
それから俺達はこのダンジョン、つまり赤のダンジョンでレベルアップを始めた。
10日も立てばアリスとタクトも魔法とスキルを使いこなせるようになってきた。これなら何かあっても自分で対応出来ると言う事で、少しずつエドオリオの街を探索するようになった。
☆☆☆☆☆
今日は初めての1人歩きになる。少し不安だけど、こんな開放的な気持ちを味わう事が出来るとは思ってもいなかった。ウィルにあえて良かった、心からそう思う。
「何をするんです!止めて下さい」
「お前達は臭いんだよ」
「そうだ、そうだ」
女の子と小さな子達が、意地の悪そうな男の子達に絡まれている。
小さい子達を庇っている女の子が突き飛ばされた。
「きゃっ」 「お姉ちゃん」
泣き出した子供達を見て僕は飛び出していた。
「止めろ!」
「何だお前」
「この辺じゃ見ない顔だな」
「引っ込んでろよ!」
最後に僕に悪態をついた奴が肩を突こうと向かって来たので、身体強化の魔法をかける。突かれても僕はびくともしなかった。
「いて……っ」
「くそっ、やっちまえ!」
ウィルに教えて貰ったように、口には出さず土魔法を使い連中の足下に穴ぼこを仕掛ける。
女の子をいじめるしょうもない連中は、簡単に引っ掛かり全員コケて転がった。
「止めないと今度は身体に穴が空くぞ」
側に有った石ころにストーンバレットを撃つ。石ころは砕け散った。
「わ、解った。行くよ」
「大丈夫ですか?」
「ありがとう御座います。いつもの事なので大丈夫です」
よく観ると女の子は獣人だった。可愛い耳がちょこんと出ている。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。でも、いつもあんな事を?」
「あの人達は、孤児院の事をよく思っていないんです」
「孤児院ですか」
「はい、あの角を曲がった所に在るんです。よかったら、お礼にお茶でも」
「お兄ちゃん行こ!」
「じゃ、少しだけね」
ーー
「タクト、お帰りなさい」
「お姉様、ただいま戻りました」
「あら、何か良いことでも有ったのかしら?タクト」
「えっ、ベ、別に何も無いです」
「そうですか?」
「怪しいわね」
「本当ですね」
「何を言っているのですか皆さん。何も有りませんよ」
俺が見てもかなり怪しいが、ここは男同士なので知らないふりをしておこう。
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