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因果応報編
リッチの頼み事
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「お前に頼みがある。聞いてくれたら、私の知る限りの魔法の伝授とスキルを授けよう」
「魔法とスキルですか?」
「そうだ、一目見て判るぞ。お前はサボって、ろくに魔法の勉強をしてこなったであろう。素質があるのに愚かな事だ、大体お前はだな……クド、クド、クド……クド…………」
うっ、リッチに説教される俺って……。
「わ、解りました。俺は何をすればいいんです?」
俺としてもリッチの魔法が使えるなら、願ったり叶ったりだ。
「うむ、そこに刺さっているダガーを抜いてくれるだけでよい」
「えっ、それだけですか?」
「そうだ」
「理由を聞いても?」
「仕方あるまい。200年前にお前と同じ様にここに飛ばされて来た奴が、私を見て破れかぶれで投げたダガーが私の影に刺さったのだ」
「それが?」
「動けんのだ」
「ヘ?」
「そのダガーには光属性のヒールが付与されている。おそらく武器と言うより、護符の類いの物であろう。それが影に刺さった途端に動けなくなった」
「そんな簡単な事で、リッチを封印出来るのですか?」
「ああそうだ、私も初めて知った。リッチになって怖い物など無いと思ったが、まさかこのような弱点が有るとは思いもしなかった」
「解りました。このダガーを抜けば……あの~、抜いた途端に闇魔法かなんかで、俺を消したりなんかしませんよね?」
「ふふ、慎重だな、実に良い。このダンジョンに居るヘルカッツェルの様に用心深く、慎重で思慮深くなければ、これから外に出た所で時代は動く故、生きてはいけぬ。心配なら契約をしよう、親指を切って私の親指と合わせるがよい」
言われた通りに剣で親指を傷つけ、血が出たところでリッチの親指と合わせた。"血の契約"って言うやつだな、聞いた事が有る。
「これで私が約束を反古にしようとすれば、即座に塵となろう。しかし、そうなるとお前もこのダンジョンからは出られんな」
「そんなぁ~」
「安心しろ、私もまだ消えるつもりなど無いわ」
「で、では抜きます」
ダガーは、いとも簡単に抜けた。
「おお、動けるぞ。ふふふ、ふはは、ふぅはっはっは!」
背筋が凍る笑いとはこの事だ。契約が無かったら、と思うとマジに怖い。
「200年も動かなかったのだ。肩などこらぬが、こった気になるわ。約束だ、先ずはスキルだが何にするか?」
どんなスキルくれるのかな?
「お前のいい加減な性格を考えるとだな……」
なにげに悪口を言われてる気がするが?
「良し、これに決めた」
リッチが干からびた手を広げると、光と共に宝珠が2つ現れた。
「さあ、受けとるがよい」
「は、はい」
「宝珠に魔力を込めるのだ」
言われた通りに宝珠に魔力を込める。宝珠が再び光だし俺を包み込んだ。気がつくと俺の手に宝珠は無かった。
「うまく行った様だな」
「どんなスキルをくれたのです?」
「フェイクライフとお前に足りない魔法属性だ」
「フェイクライフと魔法属性ですか?」
「フェイクライフは、偽りの生命体を造る事が出来る。偽りと言っても本物と同様の働きをする、疑似生命体とも言える。色々試してみるがよい。魔法属性はお前の持っていない属性になる、但し光属性は無い」
「分かりました、ありがとう御座います」
「次は魔法だな、こればかりは今すぐとはいかん。それなりに修練せねばならんぞ?」
「今度はちゃんとやります」
「ほう、少しはまともな顔つきなったか。ではこれを持って行け」
受け取ったのは、この部屋とダンジョン内の好きな場所で転移して行き来が出来る魔道具だった。
「貴方のお名前は?」
「私の名はザラスト」
ザラストさんか。どこかで聞いた事が有るような……でもザラストさんでは流石に馴れ馴れしいな、何て呼ぼう?
「あのぅ、師匠と呼んでもいいですか?」
「師匠だと……。生きていた時は弟子など取らなかったのだがな。よかろう、これも何かの縁である。大賢者ザラストの弟子を名乗るのを許す」
ーーーー
あれから暫くスキルの基本を師匠に聞いて、魔法の修練と思ったが、俺の気力が落ちているとの師匠の判断で、修練は次からにして宿に帰って来た。
俺の性格など何から何まで見透かされている、流石は師匠と言う事か。
"フェイクライフ"か、試しに使ってみるか。何にしよう?手頃なところで、鳥にしてみよう。
ハミングバードを思い描く。空中が一瞬歪み、ハミングバードが現れ俺の肩に止まった。
「信じられない」 何これ?
「歌ってくれるかな?」
ハミングバードは綺麗な声でさえずり始める。
「たまげたな、師匠の言った通りだ」
師匠に教わった通りに、元に戻る意識をすると消えた。
「う~む、凄い……………………」
俺の頭に1つの考えが浮かぶ。ふっ、ふっ、ふっ、どうだ。
「おお~!」
なんと、俺の前に現れたのはリリアさんなのだ。俺の言うこと聞いてくれるよね?
「リリアさん、ここに座って」
「はい、ご主人様」
う~、たまらん。ベッドに座り俺の横に来た。よからぬ考えが、次から次に湧き出てくる。少しだけなら、……俺は手を伸ばす、リリアさんの胸に。
「いかん!いかんぞウィル。それはリリアさんに対する冒涜だ……我慢、正々堂々……我慢だ」
かろうじて踏み止まる。もったいないが元に戻ってもらう。
「はぁ~」
一気に疲れが出る。魔力もそこそこ量を使うようだ。
もう風呂に入って寝よう。
まる1日休養にあてる。昨日の事は俺にとって最後のチャンスだろう。こんな事は普通ではあり得ないからな。
あの師匠を相手に、嘘や誤魔化しは通用しない。魔法学院の様に甘くは無いのだ。早くリリアさんの所に行く為にも頑張らねば。
「魔法とスキルですか?」
「そうだ、一目見て判るぞ。お前はサボって、ろくに魔法の勉強をしてこなったであろう。素質があるのに愚かな事だ、大体お前はだな……クド、クド、クド……クド…………」
うっ、リッチに説教される俺って……。
「わ、解りました。俺は何をすればいいんです?」
俺としてもリッチの魔法が使えるなら、願ったり叶ったりだ。
「うむ、そこに刺さっているダガーを抜いてくれるだけでよい」
「えっ、それだけですか?」
「そうだ」
「理由を聞いても?」
「仕方あるまい。200年前にお前と同じ様にここに飛ばされて来た奴が、私を見て破れかぶれで投げたダガーが私の影に刺さったのだ」
「それが?」
「動けんのだ」
「ヘ?」
「そのダガーには光属性のヒールが付与されている。おそらく武器と言うより、護符の類いの物であろう。それが影に刺さった途端に動けなくなった」
「そんな簡単な事で、リッチを封印出来るのですか?」
「ああそうだ、私も初めて知った。リッチになって怖い物など無いと思ったが、まさかこのような弱点が有るとは思いもしなかった」
「解りました。このダガーを抜けば……あの~、抜いた途端に闇魔法かなんかで、俺を消したりなんかしませんよね?」
「ふふ、慎重だな、実に良い。このダンジョンに居るヘルカッツェルの様に用心深く、慎重で思慮深くなければ、これから外に出た所で時代は動く故、生きてはいけぬ。心配なら契約をしよう、親指を切って私の親指と合わせるがよい」
言われた通りに剣で親指を傷つけ、血が出たところでリッチの親指と合わせた。"血の契約"って言うやつだな、聞いた事が有る。
「これで私が約束を反古にしようとすれば、即座に塵となろう。しかし、そうなるとお前もこのダンジョンからは出られんな」
「そんなぁ~」
「安心しろ、私もまだ消えるつもりなど無いわ」
「で、では抜きます」
ダガーは、いとも簡単に抜けた。
「おお、動けるぞ。ふふふ、ふはは、ふぅはっはっは!」
背筋が凍る笑いとはこの事だ。契約が無かったら、と思うとマジに怖い。
「200年も動かなかったのだ。肩などこらぬが、こった気になるわ。約束だ、先ずはスキルだが何にするか?」
どんなスキルくれるのかな?
「お前のいい加減な性格を考えるとだな……」
なにげに悪口を言われてる気がするが?
「良し、これに決めた」
リッチが干からびた手を広げると、光と共に宝珠が2つ現れた。
「さあ、受けとるがよい」
「は、はい」
「宝珠に魔力を込めるのだ」
言われた通りに宝珠に魔力を込める。宝珠が再び光だし俺を包み込んだ。気がつくと俺の手に宝珠は無かった。
「うまく行った様だな」
「どんなスキルをくれたのです?」
「フェイクライフとお前に足りない魔法属性だ」
「フェイクライフと魔法属性ですか?」
「フェイクライフは、偽りの生命体を造る事が出来る。偽りと言っても本物と同様の働きをする、疑似生命体とも言える。色々試してみるがよい。魔法属性はお前の持っていない属性になる、但し光属性は無い」
「分かりました、ありがとう御座います」
「次は魔法だな、こればかりは今すぐとはいかん。それなりに修練せねばならんぞ?」
「今度はちゃんとやります」
「ほう、少しはまともな顔つきなったか。ではこれを持って行け」
受け取ったのは、この部屋とダンジョン内の好きな場所で転移して行き来が出来る魔道具だった。
「貴方のお名前は?」
「私の名はザラスト」
ザラストさんか。どこかで聞いた事が有るような……でもザラストさんでは流石に馴れ馴れしいな、何て呼ぼう?
「あのぅ、師匠と呼んでもいいですか?」
「師匠だと……。生きていた時は弟子など取らなかったのだがな。よかろう、これも何かの縁である。大賢者ザラストの弟子を名乗るのを許す」
ーーーー
あれから暫くスキルの基本を師匠に聞いて、魔法の修練と思ったが、俺の気力が落ちているとの師匠の判断で、修練は次からにして宿に帰って来た。
俺の性格など何から何まで見透かされている、流石は師匠と言う事か。
"フェイクライフ"か、試しに使ってみるか。何にしよう?手頃なところで、鳥にしてみよう。
ハミングバードを思い描く。空中が一瞬歪み、ハミングバードが現れ俺の肩に止まった。
「信じられない」 何これ?
「歌ってくれるかな?」
ハミングバードは綺麗な声でさえずり始める。
「たまげたな、師匠の言った通りだ」
師匠に教わった通りに、元に戻る意識をすると消えた。
「う~む、凄い……………………」
俺の頭に1つの考えが浮かぶ。ふっ、ふっ、ふっ、どうだ。
「おお~!」
なんと、俺の前に現れたのはリリアさんなのだ。俺の言うこと聞いてくれるよね?
「リリアさん、ここに座って」
「はい、ご主人様」
う~、たまらん。ベッドに座り俺の横に来た。よからぬ考えが、次から次に湧き出てくる。少しだけなら、……俺は手を伸ばす、リリアさんの胸に。
「いかん!いかんぞウィル。それはリリアさんに対する冒涜だ……我慢、正々堂々……我慢だ」
かろうじて踏み止まる。もったいないが元に戻ってもらう。
「はぁ~」
一気に疲れが出る。魔力もそこそこ量を使うようだ。
もう風呂に入って寝よう。
まる1日休養にあてる。昨日の事は俺にとって最後のチャンスだろう。こんな事は普通ではあり得ないからな。
あの師匠を相手に、嘘や誤魔化しは通用しない。魔法学院の様に甘くは無いのだ。早くリリアさんの所に行く為にも頑張らねば。
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