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思った通り
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★★
クソっ、なんて強情な奴なのだ。かと言って殺す訳にもいかん。お館様でも場所までは特定することが出来なかったのだからな。
「いい加減に吐いたらどうだ?出ないとお前の娘や女王に聞く事になるぞ」
「ふっ、私以外に知る者など居らんわ。他の者に手出しなどしてみろ、永久に判らなくなると思え」
くぬぅ、死ぬ気か、こいつは?……血を吸って下僕にすればいいのだが、何故か昔から獣人とは相性が悪い。時間をかけるしかないか、忌々しい。
ーーーー
「玉璽石が見つかる事はありえません。特別な魔道具の中に入っていると聞いております」
「そうですか、安心しました」
国王が吸血鬼だとしても、本当の国王が直ぐに殺される事は無さそうだ。
とは言っても時間が惜しいので急ぎたい所だ。密使として動いているサングさんは商人を装い、警護は2人だけだったので、来る時は結構盗賊に襲われたらしい。
帰りは馬車が2台になり警護の人数も増えた形になるが、ミラ達若い女性4人が護衛なので襲うのにお手頃なのだろう、盗賊がひっきりなしにやって来る。
あまりにうざったいので思念の輪で探り、毒水玉で先の先まで予め葬っておく。
「急に盗賊が襲って来なくなりましたな」
「不思議ですね」
サングさん達と一緒なので、時の空間は使えない。快適な移動とはいかなかったが、王都アーチェラに無事に着くことが出来た。
「これからどう致しましょう?」
「見知らぬ者が出張るより、サングさんがゴーグルをかけて確かめてみるのが良いでしょう」
「解りました」
ーーーー
「サブリナ様、ただいま戻りました」
「ご苦労様でした。それでどうなりましたか?」
「天は私達に力を貸してくださっているようです」
「それでは見つかったのですね」
「はい、確認出来る魔道具もここに」
「おお、素晴らしい」
「陛下をこれで見たいのですが」
「ではこれからお茶の用意を致します。私について来なさい。決して気取られる事のないように」
「はっ」
「陛下、珍しいお菓子が手に入りました。お茶に致しませんか?」
「そうか、頼む」
「ん、サング、変わった眼鏡をかけておるな?」
「は、はい。近頃とんと目が悪くなりまして」
「歳は取りたくないのう」
「真に」
サングはクロスに教わった通りゴーグルに触れ、魔力を流す。
眼の前にいる陛下が一瞬で消えた。思わず声を上げそうになるが、必死に抑え呑み込んだ。
ここにいてはボロが出て気取られる、早く退室しなくては。……いや、今出てはサブリナ様が同様なさるに違いない。
気の遠くなるような長い長い時がやっと過ぎる。
「なかなか美味しかったぞ」
「おそれいります。では」
「ちょっと待てサング」
「は、はい」
「顔色が悪いぞ養生しろ」
「ありがとう御座います」
女王の部屋に入った途端、サングは膝から崩れ落ちた。
「サング!」
「申しわけ御座いません」
「別人だったのですね」
「残念で御座います」
「……吸血鬼だったなんて……何ということ……」
「サブリナ様!お気を確かに」
「だ、大丈夫です」
「直ぐにクロス殿とお会いして、対応策を検討なさった方が宜しいかと」
「解りました。お会いしましょう」
ーーーー
「やはりそうでしたか」
「どうしたら良いのでしょう?」
「国王陛下の居所を突き止めなくてはなりませんね」
「でもどうしたら……」
「少し考えてみます」
「陛下をお救いください。お願い致します」
「全力をつくします」
ーー
城を見張っていたが、吸血鬼は城の外に出る事が無かった。国王は場内に囚われているのか?
吸血鬼を思念の輪で四六時中みているわけにも行かず、範囲を広げて直接国王を探してみても判らなかった。居るなら判らないはずがないのだが。
「姿を変えて外に出ているのではありませんか?」
「変身能力が有るなら人でなくてもいいわけね」
「国王と入れ代わるぐらいですから、吸血鬼のレベルも高くて、それなりのスキルも有るでしょうし」
そういえばリーシアは梟に変身したな。
「あり得るな」
「ますます厄介ね」
「無理に近づいてバレてしまっては元も子もない、ステルスで認識阻害は出来ても透明の指輪の効力時間に限りが有るからな」
「あたしの出番のようね?」
そうか、メルか?……その手が有ったな……。
「頼めるか、メル?」
「任せなさいって」
「メル、頑張って」
「へへん、あたしの力をみせてやるわ」
乱暴な言い方をすれば、実はこの世界には身近な所に妖精や精霊が何処にでもいるのだ。
能力の高い妖精や精霊には至らない、言い換えれば生まれたてで、シルフとかドリアード、ノームといった特定の名も無い、単なる花の精、土の精などがそれにあたる。メルはこの子達の力を借りようと言うのだ。
ーーーー
深夜、人知れず黒い大きな鳥が城から飛び立った。
メルの捜査網が動き出す。
「クロス、判ったわよ」
「本当か?でかした」
「もっと褒めても良いのよ」
「ほら、これでどうだ。俺が作った吸血鬼ハンターの許可証だ。皆とお揃いだぞ」
「よろしい」「吾輩の分を忘れないでくれ」
「解ってるよ、それで何処だ?」
「うん、案内する」
偽の国王は城の自室に居るのは確認済み、部屋から別の者も出てはいないし、鳥などの生き物も城からは出ていない。今なら気づかれずに本物の国王を救出することが出来る。
「くそっ、こんな遠くの森の中だったとは。どおりで思念の輪に引っ掛かからないわけだ。俺も甘かった」
「まあまあ、見つかったんだから良いじゃない」
「むむむ」
「そんな事より着いたわよ」
「おう」
山壁に洞穴か、あそこだな。罠は無さそうだ、普通の洞穴だな。
「あっちに部屋があるわよ」
「行ってみよう」
アダマンタイト製の腕輪に鎖に繋がれた獅子族の獣人、薬でも飲まされているのか目の焦点は定まっていない。効くかは判らないが気付けのポーションを飲ませる。
「陛下!レイパンド様」
「き……君は?」
「サブリナ様の命で助けに参りました」
「サブリナ……が、流石だな……気付いたか」
『クロスさん聞こえる?』
前にドワーフのオコライから買った魔道具の送話器から連絡が入った。俺が改造して通信距離を伸ばした物だ。
「どうした?何か有ったか」
『黒い大きな鳥が城から飛び立ったわよ』
「黒い鳥だと」
「あっ、それ吸血鬼の化身よ」
「ここに来るのだな……それは好都合だ」
偽物でも国王だ。どうやって殺そうかと思っていたが、この場なら人の目も無いし願ってもない。
さあ、来い吸血鬼。
クソっ、なんて強情な奴なのだ。かと言って殺す訳にもいかん。お館様でも場所までは特定することが出来なかったのだからな。
「いい加減に吐いたらどうだ?出ないとお前の娘や女王に聞く事になるぞ」
「ふっ、私以外に知る者など居らんわ。他の者に手出しなどしてみろ、永久に判らなくなると思え」
くぬぅ、死ぬ気か、こいつは?……血を吸って下僕にすればいいのだが、何故か昔から獣人とは相性が悪い。時間をかけるしかないか、忌々しい。
ーーーー
「玉璽石が見つかる事はありえません。特別な魔道具の中に入っていると聞いております」
「そうですか、安心しました」
国王が吸血鬼だとしても、本当の国王が直ぐに殺される事は無さそうだ。
とは言っても時間が惜しいので急ぎたい所だ。密使として動いているサングさんは商人を装い、警護は2人だけだったので、来る時は結構盗賊に襲われたらしい。
帰りは馬車が2台になり警護の人数も増えた形になるが、ミラ達若い女性4人が護衛なので襲うのにお手頃なのだろう、盗賊がひっきりなしにやって来る。
あまりにうざったいので思念の輪で探り、毒水玉で先の先まで予め葬っておく。
「急に盗賊が襲って来なくなりましたな」
「不思議ですね」
サングさん達と一緒なので、時の空間は使えない。快適な移動とはいかなかったが、王都アーチェラに無事に着くことが出来た。
「これからどう致しましょう?」
「見知らぬ者が出張るより、サングさんがゴーグルをかけて確かめてみるのが良いでしょう」
「解りました」
ーーーー
「サブリナ様、ただいま戻りました」
「ご苦労様でした。それでどうなりましたか?」
「天は私達に力を貸してくださっているようです」
「それでは見つかったのですね」
「はい、確認出来る魔道具もここに」
「おお、素晴らしい」
「陛下をこれで見たいのですが」
「ではこれからお茶の用意を致します。私について来なさい。決して気取られる事のないように」
「はっ」
「陛下、珍しいお菓子が手に入りました。お茶に致しませんか?」
「そうか、頼む」
「ん、サング、変わった眼鏡をかけておるな?」
「は、はい。近頃とんと目が悪くなりまして」
「歳は取りたくないのう」
「真に」
サングはクロスに教わった通りゴーグルに触れ、魔力を流す。
眼の前にいる陛下が一瞬で消えた。思わず声を上げそうになるが、必死に抑え呑み込んだ。
ここにいてはボロが出て気取られる、早く退室しなくては。……いや、今出てはサブリナ様が同様なさるに違いない。
気の遠くなるような長い長い時がやっと過ぎる。
「なかなか美味しかったぞ」
「おそれいります。では」
「ちょっと待てサング」
「は、はい」
「顔色が悪いぞ養生しろ」
「ありがとう御座います」
女王の部屋に入った途端、サングは膝から崩れ落ちた。
「サング!」
「申しわけ御座いません」
「別人だったのですね」
「残念で御座います」
「……吸血鬼だったなんて……何ということ……」
「サブリナ様!お気を確かに」
「だ、大丈夫です」
「直ぐにクロス殿とお会いして、対応策を検討なさった方が宜しいかと」
「解りました。お会いしましょう」
ーーーー
「やはりそうでしたか」
「どうしたら良いのでしょう?」
「国王陛下の居所を突き止めなくてはなりませんね」
「でもどうしたら……」
「少し考えてみます」
「陛下をお救いください。お願い致します」
「全力をつくします」
ーー
城を見張っていたが、吸血鬼は城の外に出る事が無かった。国王は場内に囚われているのか?
吸血鬼を思念の輪で四六時中みているわけにも行かず、範囲を広げて直接国王を探してみても判らなかった。居るなら判らないはずがないのだが。
「姿を変えて外に出ているのではありませんか?」
「変身能力が有るなら人でなくてもいいわけね」
「国王と入れ代わるぐらいですから、吸血鬼のレベルも高くて、それなりのスキルも有るでしょうし」
そういえばリーシアは梟に変身したな。
「あり得るな」
「ますます厄介ね」
「無理に近づいてバレてしまっては元も子もない、ステルスで認識阻害は出来ても透明の指輪の効力時間に限りが有るからな」
「あたしの出番のようね?」
そうか、メルか?……その手が有ったな……。
「頼めるか、メル?」
「任せなさいって」
「メル、頑張って」
「へへん、あたしの力をみせてやるわ」
乱暴な言い方をすれば、実はこの世界には身近な所に妖精や精霊が何処にでもいるのだ。
能力の高い妖精や精霊には至らない、言い換えれば生まれたてで、シルフとかドリアード、ノームといった特定の名も無い、単なる花の精、土の精などがそれにあたる。メルはこの子達の力を借りようと言うのだ。
ーーーー
深夜、人知れず黒い大きな鳥が城から飛び立った。
メルの捜査網が動き出す。
「クロス、判ったわよ」
「本当か?でかした」
「もっと褒めても良いのよ」
「ほら、これでどうだ。俺が作った吸血鬼ハンターの許可証だ。皆とお揃いだぞ」
「よろしい」「吾輩の分を忘れないでくれ」
「解ってるよ、それで何処だ?」
「うん、案内する」
偽の国王は城の自室に居るのは確認済み、部屋から別の者も出てはいないし、鳥などの生き物も城からは出ていない。今なら気づかれずに本物の国王を救出することが出来る。
「くそっ、こんな遠くの森の中だったとは。どおりで思念の輪に引っ掛かからないわけだ。俺も甘かった」
「まあまあ、見つかったんだから良いじゃない」
「むむむ」
「そんな事より着いたわよ」
「おう」
山壁に洞穴か、あそこだな。罠は無さそうだ、普通の洞穴だな。
「あっちに部屋があるわよ」
「行ってみよう」
アダマンタイト製の腕輪に鎖に繋がれた獅子族の獣人、薬でも飲まされているのか目の焦点は定まっていない。効くかは判らないが気付けのポーションを飲ませる。
「陛下!レイパンド様」
「き……君は?」
「サブリナ様の命で助けに参りました」
「サブリナ……が、流石だな……気付いたか」
『クロスさん聞こえる?』
前にドワーフのオコライから買った魔道具の送話器から連絡が入った。俺が改造して通信距離を伸ばした物だ。
「どうした?何か有ったか」
『黒い大きな鳥が城から飛び立ったわよ』
「黒い鳥だと」
「あっ、それ吸血鬼の化身よ」
「ここに来るのだな……それは好都合だ」
偽物でも国王だ。どうやって殺そうかと思っていたが、この場なら人の目も無いし願ってもない。
さあ、来い吸血鬼。
応援ありがとうございます!
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