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不浄の門編
えっ、そうだったのか。
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幸いな事に、冥界神ハデスの古の神殿の場所は、海人族の女性が知っていた。何故かと言うと海人族が持っている古書の中に古代の地図が有ったからだ。
「私達が写して来たものと、所々に違いがありますね」
「まぁ、リサ達の村にあった古書は、相当に傷んでいたからな。見えない所も有っただろう」
「ラトゥーナさん、貴重な古書を見せてくれてありがとう御座います」
「皆さんはこの島国の恩人ですもの、お安いご用です」
「ところで、この印がハデス様の神殿だとすると、何処ですか?シンさん」
「それがだな……」
「どうしたのです?」
「それはだ、ウルム村から南に行った森の中らしい」
「えっ、そうなのですか?」
「そうみたいだ」
「そこそこ戻る形になりますね」
「仕方ない。少しでも確実な情報をもらえそうな方に行った方がいい」
「「はい」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「シンは来る度に連れて来る女性が増えるな」
「なんて事を、そんな事は無いでしょう、神父様」
「シンシアと申します。宜しくお願い致します」
「これは、ご丁寧に。ブラウンです。ふふ、幸せそうだなシン。で、今度はどうした?」
「そんなお気楽でも無いんですよ。南の森に行ってハデス様に会うんですよ」
「ほぉ~、そんな所に。それはどのくらいかかりそうだ?」
「南の森なので2、3日で戻ってこれると思います」
「実は、シンが来てくれて良かったと思ってな」
「どうしました?」
「急に王都に来いと言われてな」
「シスター……、いえ大聖堂にですか?」
「そうなのだ。そこでシンに護衛を頼みたい。どうだ?」
「もちろんです。神父様の頼みとあらば何でもしますよ」
「そうか、ありがとう。頼んだぞ」
「神父様の事もあるし、明日直ぐに出発する」
「「「はい」」」
ーーーー
「にゃにゃ」
朝はミイが俺を起こしに来た。地元に戻ってきてぐっすり寝れたようだ。広間に行くと朝飯の用意が出来ている。
いい匂いがする。
「おはようございます」
「おはよう」
久々の神父様と皆との食事、良いね。こう言う日常が無くなるのは困る。なんとしても不浄の門を閉じなくては。
「では神父様、行ってきます」
「気をつけてな」
「この辺は長閑な所ですね?」
「西の端の何も無い所だからな」
「盗賊も魔物もいないなんて良いところですよ」
「そうか?しかし南の森に遺跡なんか在ったかな?」
「全然判らないのですか?」
「記憶に無いな。まぁ、あまり行った事もなかった気がする。おっと、ここからは歩きだ」
森の仲良くを進んでいく。安全な所だが、ミイが周りの様子を見てくれている。
森をある程度進むと、木が生えて無い大きな広場に出た。
「うってつけの場所だが遺跡のいの字も無いな」
「本当ですね」
「シン様、少し待って下さい」
シンシアが何かを感じたらしい。
「私がバルキス公爵に連れていかれた世界に似た感じを受けます」
「あそこにか?冥界と隣り合わせの場所だった訳だからな。よし、ダメ元でやってみるか」
アズミウス様からもらった三叉槍の紋様が入ったメダリオンを取り出し、冥王ハデス様に会えるように願う。
辺りが急に暗くなる。
「にゃう」「これは」「来たか?」
一瞬、くらっと目眩がしたが直ぐに元に戻った。
気がつくと松明が灯る薄暗い部屋の奥に、杖を持ち豪華な椅子に悠然と座っている男がいる。漂わせている気配はハンパない。
『私に何の用だ?』
「ハデス様でしょうか?」
『左様』
「お尋ねしたい事がありまして参りました」
『申して見よ』
「実は……」
『なるほど……不浄の門か、あの時はゆっくりと対応策を考える事が出来なかった。それ故、私を残し他の者達は自分を犠牲にするしかなかったのだ。確かに智の神キクリアなら、今であれば方法を見つけているであろう』
「キクリア様の遺跡に行っても、御会いする事が出来ないので困っています」
『うむ、よかろう。これを持って行くがよい』
俺の目の前に薄い青色の宝珠が浮かんでいる。それを両手で包み込む様に受け取った。
「ハデス様、ありがとう御座います」
『キクリアの神殿にて捧げよ』
「はい」
一瞬で周りが明るくなる。眩しいが元の森だと判る。
「良かったですね」
「ああ、助かった。これでキクリア様に会う事が出来るな」
「でも他の神々は、ハデス様をこの世界にお残しになったのでしょう?」
「死んだ者の魂は冥界に行くからかな?」
「冥界が無くなったら……」
「そう言う事か」
「神父様の行く王都までの道筋は、キクリア様の神殿遺跡の途中に在ると言える。丁度いい具合に事は進んでいるな」
「この調子で頑張りましょう」
ーーーーーーーーーー
「ただいま戻りました」
「お帰り。その顔は上手くいったようだな」
「はい、神父様の出発はいつでもいいですよ」
「分かった、明後日としよう」
ーーーー
馬車は順調に進む。
「シンの護衛で旅とは長生きはするもんだな」
「ええ、俺も嬉しいですよ」
「しかも、こんなに快適に過ごせるとは」
そう、神父様は俺の造った時空間に入るのは初めてになる。ここには生活に必要な物は全て揃っている。しかも安全だ。
「今考えれば、リッチ様々ですね」
「そうだな、スキルが無くなった時のシンの情けない顔が思い出されるが」
「一縷の望みを賭けて必死でしたからね」
人の運命はどうなるかは判らない。
「私達が写して来たものと、所々に違いがありますね」
「まぁ、リサ達の村にあった古書は、相当に傷んでいたからな。見えない所も有っただろう」
「ラトゥーナさん、貴重な古書を見せてくれてありがとう御座います」
「皆さんはこの島国の恩人ですもの、お安いご用です」
「ところで、この印がハデス様の神殿だとすると、何処ですか?シンさん」
「それがだな……」
「どうしたのです?」
「それはだ、ウルム村から南に行った森の中らしい」
「えっ、そうなのですか?」
「そうみたいだ」
「そこそこ戻る形になりますね」
「仕方ない。少しでも確実な情報をもらえそうな方に行った方がいい」
「「はい」」
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「シンは来る度に連れて来る女性が増えるな」
「なんて事を、そんな事は無いでしょう、神父様」
「シンシアと申します。宜しくお願い致します」
「これは、ご丁寧に。ブラウンです。ふふ、幸せそうだなシン。で、今度はどうした?」
「そんなお気楽でも無いんですよ。南の森に行ってハデス様に会うんですよ」
「ほぉ~、そんな所に。それはどのくらいかかりそうだ?」
「南の森なので2、3日で戻ってこれると思います」
「実は、シンが来てくれて良かったと思ってな」
「どうしました?」
「急に王都に来いと言われてな」
「シスター……、いえ大聖堂にですか?」
「そうなのだ。そこでシンに護衛を頼みたい。どうだ?」
「もちろんです。神父様の頼みとあらば何でもしますよ」
「そうか、ありがとう。頼んだぞ」
「神父様の事もあるし、明日直ぐに出発する」
「「「はい」」」
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「にゃにゃ」
朝はミイが俺を起こしに来た。地元に戻ってきてぐっすり寝れたようだ。広間に行くと朝飯の用意が出来ている。
いい匂いがする。
「おはようございます」
「おはよう」
久々の神父様と皆との食事、良いね。こう言う日常が無くなるのは困る。なんとしても不浄の門を閉じなくては。
「では神父様、行ってきます」
「気をつけてな」
「この辺は長閑な所ですね?」
「西の端の何も無い所だからな」
「盗賊も魔物もいないなんて良いところですよ」
「そうか?しかし南の森に遺跡なんか在ったかな?」
「全然判らないのですか?」
「記憶に無いな。まぁ、あまり行った事もなかった気がする。おっと、ここからは歩きだ」
森の仲良くを進んでいく。安全な所だが、ミイが周りの様子を見てくれている。
森をある程度進むと、木が生えて無い大きな広場に出た。
「うってつけの場所だが遺跡のいの字も無いな」
「本当ですね」
「シン様、少し待って下さい」
シンシアが何かを感じたらしい。
「私がバルキス公爵に連れていかれた世界に似た感じを受けます」
「あそこにか?冥界と隣り合わせの場所だった訳だからな。よし、ダメ元でやってみるか」
アズミウス様からもらった三叉槍の紋様が入ったメダリオンを取り出し、冥王ハデス様に会えるように願う。
辺りが急に暗くなる。
「にゃう」「これは」「来たか?」
一瞬、くらっと目眩がしたが直ぐに元に戻った。
気がつくと松明が灯る薄暗い部屋の奥に、杖を持ち豪華な椅子に悠然と座っている男がいる。漂わせている気配はハンパない。
『私に何の用だ?』
「ハデス様でしょうか?」
『左様』
「お尋ねしたい事がありまして参りました」
『申して見よ』
「実は……」
『なるほど……不浄の門か、あの時はゆっくりと対応策を考える事が出来なかった。それ故、私を残し他の者達は自分を犠牲にするしかなかったのだ。確かに智の神キクリアなら、今であれば方法を見つけているであろう』
「キクリア様の遺跡に行っても、御会いする事が出来ないので困っています」
『うむ、よかろう。これを持って行くがよい』
俺の目の前に薄い青色の宝珠が浮かんでいる。それを両手で包み込む様に受け取った。
「ハデス様、ありがとう御座います」
『キクリアの神殿にて捧げよ』
「はい」
一瞬で周りが明るくなる。眩しいが元の森だと判る。
「良かったですね」
「ああ、助かった。これでキクリア様に会う事が出来るな」
「でも他の神々は、ハデス様をこの世界にお残しになったのでしょう?」
「死んだ者の魂は冥界に行くからかな?」
「冥界が無くなったら……」
「そう言う事か」
「神父様の行く王都までの道筋は、キクリア様の神殿遺跡の途中に在ると言える。丁度いい具合に事は進んでいるな」
「この調子で頑張りましょう」
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「ただいま戻りました」
「お帰り。その顔は上手くいったようだな」
「はい、神父様の出発はいつでもいいですよ」
「分かった、明後日としよう」
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馬車は順調に進む。
「シンの護衛で旅とは長生きはするもんだな」
「ええ、俺も嬉しいですよ」
「しかも、こんなに快適に過ごせるとは」
そう、神父様は俺の造った時空間に入るのは初めてになる。ここには生活に必要な物は全て揃っている。しかも安全だ。
「今考えれば、リッチ様々ですね」
「そうだな、スキルが無くなった時のシンの情けない顔が思い出されるが」
「一縷の望みを賭けて必死でしたからね」
人の運命はどうなるかは判らない。
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