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不浄の門編

シスター・テレサ

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 翌日、服を礼装に着替え、大聖堂に来た。余りの大きさと威厳でリサ、レナは固まった。

「ふぇ~」
「い、いいのでしょうか?私達が入っても」

「大丈夫だよ」

幅広く長い階段を上がり中に入る。入口に立っている若いシスターに用件を告げる。

「お約束は御座いますでしょうか?」

「手紙を預かって来ました。これを渡して頂ければ、シスター・テレサ様は、お会いして下さるでしょう」

「解りました。こちらのお部屋で、お待ち下さい」


結構待たせるな。シスターも、だいぶ位が上がった様だ。などと考えていると、部屋の扉を"バタン"と開け、入って来た女性は開口一番大きな声で

「シン!まあ、本当にシンなのね」

俺がスキル鑑定の儀を受けてから、1度会ったきりだ。15年振りになるが……偉くなっても性格は変わらないようだホッとする。

「ご無沙汰してすいません」

「まあまあ、綺麗な女性を2人も連れて、2人ともシンのお嫁さんかしら?」

「ち、違いますって、パーティーの仲間です」
「そうなの、残念ね」

「リサと申します」「レナと申します」
「テレサよ、宜しくね」

「早速ですがシスター、手紙には何と?」

「シンの話しを聞いてやって欲しい、とだけ。何が有ったの?」

リサ、レナが俺を見て頷いたので、俺は今までの事を話した。


「不浄の門ですか……」
「心当たりが有るのですか?」

「いいえ、調べて見ましょう。それと発見されている遺跡の中で、智の神の物とされているは、獣王国とエルフの国の間に在る、森の中の遺跡と言われています」

話の途中で俺達を案内してくれた女性が扉をノックして入って来た。

「失礼致します。テレサ様、司祭様とのお約束の時間で御座います」

「分かりました。シン、ごめんなさいね。ゆっくり話せなくて、何かあったら必ず来なさい。これを」

先ぶれもなくいきなり来たので仕方ないか。

シスターは、創造神の姿が彫って有るメダリオンを渡してくれた。

「これが有れば、何時でも会えます」
「分かりました。ありがとう御座います」



「シンさん、これからどうします?」
「シスターに教えてもらった、森へ行って見よう」


この国からだと、獣王国ベルンガルが先に行く所になるので、馬車の予約に行く。昔と違って観光地になっているからだ。

人族と獣人達は昔から仲が悪かった。人族が見下して奴隷扱いしていた時期も有る。獣王国に自由に往き来出来る様になったのは、国王が代わった、5年位前からだ。

南国の獣王国には、綺麗な森と湖が在るので、他国から訪れたがる人が多かった。その人達が落としていく金銭は、バカにならないと新国王は考えたのだ。実際、今は国に大きな利益をもたらしている。そして国民の生活水準も上がった。

街中に入ると、人族と争ったのは昔の事の様に見えるが、まだまだ根深い物が有る。


俺達が街に着いた時、宿は一杯で空いていなかった。仕方ないので、街外れに時空間を造る。下手な宿屋より快適だ。

食事中に頭の上を通るのはだいぶ馴れたが、街外れと言うのに人通りが多い。酔っぱらい、客を連れた娼婦などだ。

ミイの争奪戦に勝った俺は、ミイを抱いて、気分良くベッドに入った。

ミイをもふもふしていると、顔の上を獣人の娘を抱いた集団が通る。人拐い……獣人拐いか?

「ミイ、あの男達の、アジトを見つけて来てくれ」
「にゃ、にゃう」

ミイは張り切って出ていった。

「どうしたんです?」
「うん、事件かも」


ミイが男達の跡を追っていく。ミイのスキル知覚共有で、ミイの見ている光景が俺の頭の中に映し出される。なかなか便利なスキルだ。

男達は、防壁を風魔法を使って越えて行く。かなりの手練れの様だ。川を越え森の中に入り山間を進む、そして洞窟に入った。


暫くしてミイが戻って来た。どうしようか?

「ギルドに行ってくる」
「私達も行きます」


夜遅いと言うのに、ギルドの中には強面の獣人達が集まっていた。さっきの獣人拐い絡みだろうな。

「何だお前は?こんな遅くに」

「怪しい男達が、森の中の洞窟に入って行くのを見たんですが」

「本当か?ギルドマスター、そいつらだ」
「うむ、そうだろうな。君、案内を頼めるか?」

「ええ、良いですよ」
「助かる。お前ら行くぞ」

「おう」

ーー

「この先の洞窟です」
「君は、何だってそんな所にいたんだ?」

「いやぁ、宿が無くて、寝る所を探していたんですよ」

「そうか、大変だな。お陰で助かったが」


「この洞窟です」
「よし、お嬢様の身の安全が最優先だ。いいな」

「分かりました」


ギルドマスターが直々に来たのだ、重要人物の娘かなと思ったが、その様だ。

皆、洞窟の中に入って行った。

「強者ばかりだ、俺達の出番は無いな」
「その様ですね」

「……にゃあ」

「うん、そうも行かない様だ。リサ、レナ気を付けろ」

「「はい」」


10……いや、20人って、所か。囲まれた様だ。ただの盗賊では無いな。

一斉に襲いかかって来るが、リサの間合いに入った奴らは、頭を抱えて倒れて行く。それを見たレナが、奴らに突っ込む、レナの周りには俺の時空間を置いてあるので、飛び道具や魔法が飛んできても大丈夫だ。

レナが、残りの連中をファイアーボールで仕留めて終了だ。

「何が有った?」

洞窟内も決着が付いた様で、出て来たギルドマスターが倒れている奴らを見て聞いてきた。

「そいつらの仲間だと思いますよ」
「そうか、やるな君達も」

助け出されたのは、虎柄が可愛い耳の、虎族のお嬢様だった。

「では、俺達はこれで」

「まあ、待て。礼をしなくてはな。先ずは宿を紹介しよう。一緒に来てくれ」

ここは、お言葉に甘える事にする。連れてこられたのは、貴族が泊まる様な豪華な宿だった。

「もちろん費用はギルド持ちだ、明日ギルドに顔を出してくれ」

「分かりました。ありがとう御座います」

部屋は1部屋だったが、問題は無い。広いしベッドも大きく5つもある。

「うわ~い、ふかふかですぅ」
「ミイちゃん、一緒に寝ましょう」

「ダメだ、今日は俺の番」
「「ぶぅ~」」

睡眠時間は減ったが、ここのギルドと顔繋ぎは出来たので良しとする。ミイのもふもふの続きをしながら、俺は眠りについた。

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