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不浄の門編

プロローグ

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 14歳の時、スキル鑑定の儀で通常なら1つか2つのスキルの所、俺は運良く5つのスキルを授かる事が出来、若い頃から優秀な奴らと冒険者のパーティーを組む事が出来た。

そのお陰で、俺達のパーティー"流星"は平均年齢30歳にしてAクラス。もうすぐ、この国で3組目のSクラスになると言う、乗りに乗ってるパーティーだ。

今日も昇級試験の為、北に在る岩山のダンジョンにレベルを上げに来ている。ここは地下45階で、俺達がこのダンジョンの最高到達者だ。

「ペタスが隠し部屋を見つけた」
「本当か?」

「凄いわね」
「慎重にな」

扉が開き皆で中に入る。魔物は出てこ無い、宝箱が有るだけだ。

「ペタス、罠は?」
「かかって無いな。大丈夫だ」

「よし、俺が開けよう」

俺は宝箱に手をかけた、罠と擬装鑑定のスキルを持っているペタスが言うなら間違いないだろう。

しかし中から出て来たのはリッチだった。

「「「リッチ!!!」」」

俺達はAクラスでレベルが38と高いが、相手はSSクラスのリッチだ、しかも隠し部屋の罠から出て来たのだ、レベルが低い訳がない。ここは、逃げるしかない。


「帰還の巻物を使え!早く」

ケレンが叫ぶ。リマリスが巻物を使ったと同時にリッチが、エナジードレインを放った。

俺達は間一髪、脱出に成功したが、……。

「どうした?シン、顔が青いぞ」

一番近くに居た俺は、リッチのエナジードレインを受けてしまったのだ。

「全部では無いが、奴のエナジードレインを受けたらしい」

「何だって!身体は大丈夫か?」
「よく死ななかったな」

「シン……」

「それが、レベルを吸い取られたみたいだ」
「……いくつ何だ?」

「0だ」
「ゼロって、お前……」

「スキルも全て無くなった」
「そんな、酷い……」



それでも、俺のレベルが1つでも上がれば、スキルが戻るのでは?と考え、皆が俺のレベル上げに協力してくれた。

しかし、いくら魔物を倒しても俺のレベルは上がらなかった。

もう直ぐSクラスの昇級試験が来る。覚悟はしていたが、その日が来た。

「シン悪いがパーティーを抜けてくれないか」
「ああ、解ったよ」

元々、才能とスキルを信じて組んできた連中だ。それが無くなれば、こんなもんだろう。

冒険者として俺は終わった、と思っても仕方がない。だが俺は、皆に言ってない事が有る。これに賭けて見ようと思った。

この国の西の端に、俺が産まれた村が在るのだが、そこに帰る事にした。その方が安心だからだ。

約1ヶ月かけて、ようやく俺の産まれた地、ウルム村に着いた。

幾度となく盗賊や魔物に馬車は襲われたが、護衛の冒険者達には感謝だ。

俺に両親はいない、小さい時に魔物に襲われて死んだのだ。俺はここの教会で、神父さんに育ててもらった。

「ブラウン神父、ただいま」
「シンじゃないか、どうした?」
「ちょっと、しくじってね」



「そうか、えらい目に遭ったな」
「ああ、だが希が1つ有るんだ」

「ん?」
「この事は内緒で頼む」

「もちろんだ」

「スキル鑑定の儀を受けたい」

「鑑定の儀って、シンは14歳の時にしただろう。人は14歳の時にスキル鑑定の儀をする、と決まっているんだ」

「解ってるさ、だからやるんだよ」
「意味が解らん」

「だから俺は今、14歳なんだ」
「えっ?」

「レベルを吸い取られたが、何故か年も減ってるんだよ。外見は30歳だがな」

「何と!不思議な事も有る物だ……試す価値は有るか」

「そうこなくっちゃ」

神父さんと礼拝堂へ行く。跪く俺に向かって神父さんは、スキル鑑定の儀を始める。そして、理の神フェリウスの像に向かって祝詞を言った。

俺の身体が金色に輝く。1回目の14歳の時は、紫色だった。

「これは……凄い。どうだ、シン?」
「……やった、助かった。スキルが付いてる」


今度付いたスキルは、従魔・錬金術・鑑定・スキル鑑定・時空間創造だった。

残念ながら、魔法は使えない様だ。これまで通り、生活魔法だけか。だが贅沢は言っていられない。

従魔・錬金術・鑑定は使い方は解るが、スキル鑑定と時空間創造が聞いた事がない。しかも、これらだけスキルレベルが存在する。

「ブラウン神父、時空間創造って言うスキル聞いた事ある?」

「聞いた事が無いのう」
「そうですよね」

ここは慎重に、裏の森で試すしか無いな。それから試行錯誤の日々が始まった。

基本は、空間に部屋を造る事が出来る。時間は止めるも正常でも俺の自由だ。大きさは使用する魔力量による。中には自分も含めて、何でも入れられる。生き物も可だ。1番の利点は部屋は移動もでき、固定すればずっとそこに在る。重ねても部屋同士干渉しないし、地中でも障害物が有っても大丈夫だ。

最初の課題は魔法が使えないので、剣以外でどうやって攻撃するかだった。従魔を使えば良いのだろうが、これ迄の経験からすると、レベルが上がればこれだけでは苦しい気がするのだ。

時空間を何とか使えないか?色々試す。最初は中にホーンラビットを入れて、そのまま部屋を閉じて見た。部屋は消え、その跡にはホーンラビットの死体が有った。

これは使える。今度は一部だけ入れて見る。首だけを部屋に入れ部屋を動かす。首の無いホーンラビットが、脚をバタバタさせ空中を移動する。これはちょっと怖い光景だ。

部屋を閉じると、首と本体が地に転がった。

「ひぇ~、凄い。断面も綺麗にスパッと切れた感じだ。これは利用出来るな」


ーー

どうにか時空間を使いこなせる様になったので、村から近いペンタスの街に来た。

冒険者ギルドに行くと、中年の冒険者と若い娘2人が揉めている。

「だから、行かねぇって言ってんだろ。西の果ての森は、Sクラスでも手こずる所なんだよ。何回言ったら解るんだよ」

「お願いです、お願いします」

余りのしつこさに切れた冒険者は、掴まれた腕を振りほどいた。

「きゃっ!」

男は見向きもしないで出て行った。

どうやら彼女達を連れて森に行ってくれ、と言う事らしい。

年齢は14歳だが、身体と頭は30歳の俺が、お節介を焼くとするか。

「君たち、あの森に連れてってくれと言うのは、一緒に死んでくれと、言っているのと同じ事だよ」

「……そうなんですね。でも私達は行かなくてはならないのです」

ここで理由を聞かなければ、俺は冒険者に返り咲き、今度は無理せず平々凡々の人生を歩む筈だったのだが。

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