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10 ゆうべはお楽しみでしたね4

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 パンナが湊の上でイキたおれ、下半身をピクピクさせている。

「ブハハハ……」

 性欲デビル・淫魔湊『それでは、我輩は去るとしよう。さらばだ!』

 理性の天使・エンジェル湊『無の境地から戻りました。スッキリ爽快な気分です』

 理性が湊に戻る。
 数秒の間があって、

「よ! 遅かったじゃん!」

 湊がヤりきったという満面の笑みで、本来のセックス相手、マイに挨拶する。

「『よ!』じゃない! ナニよこの状況は! なんでパンナちゃんがいるの?」
「え? これ、サービスじゃないの? オプション的な――」

 よしよし、と湊はパンナの頭を撫でている。

「はあ? そんなわけないでしょ! とにかくこのままじゃヤバいわ」
「ヤバいってナニが?」
「これって、パンナちゃんがアタシのお客を盗み取ったってことになるの! そのことが知れ渡ると、パンナちゃんの評判が落ちる。そんなのはぜったいダメ。そもそもどうして、パンナちゃんが湊さんと?」

 湊はパンナが言っていたことを思い出す。
『あ、あのですね。じつはわたし、お部屋を間違えたようでして――』
 そのあと、湊は欲望の赴くままに手を出した。そして、いまに至る。

「部屋が暗くなったあとすぐに、パンナちゃんが間違いに気づかないまま部屋に入ってきて、俺は俺で、途中まで相手のことをマイと思っててさ――」
「途中って? 途中で気づいたのなら止めればいいじゃない!」
「いやー、そこはアレじゃん。一度火が点いたセックスを止めるのは無理ゲーっていうものだよ!」
「湊さんは無理ゲーでも、アタシたちはプロ! パンナちゃんが止めるべきだったはずなのに。ね? パンナちゃんから止めようって言われなかった?」

(言われなかったな。むしろやる気満々だった。理由はわからんけど……)
「あ~そういえばなんか言おうとしてたかもナー」

 湊はしらを切った。

「だけどその前に、パンナちゃんのお口をこいつで塞いじゃったから――」

 と、湊はパンナとの結合部を指差す。

「あ、そう。で、いまはパンナちゃんのアソコを塞いでるってわけね」
「そうそう」
「……ちょっといつまで差し込んでんのよ! 早く抜きなさい!」

 しぶしぶ、パンナのヴァギナからペニスを引き抜くと、ドロっと大量の白濁汁があふれ出た。

「あん……ア、ィ、イィ……エヘへ――」

 あふれ出す刺激さえ、いまのパンナには快感だった。
 性欲と幸福感に満たされた脱力状態のパンナはうつろな瞳で、くうを見つめている。

「うわ! この量。湊さん、何回出したの?」

 あまりの量に、思わず確認するマイ。

「一回」
「ウソ……でしょ?」

 ぶぴっと、可愛い顔からは想像できないほど、下品な音がパンナの膣穴から漏れ出た。

「もういい。パンナちゃんの件はどうにかするとして、問題はアタシよ……」
「問題ってナニが問題なんだ?」

 湊は起き上がり、パンナをそっとベッドの端に寝かせた。

「アタシ。今晩、湊さんとセックスしないと、お店辞めさせられるかもしれない――」
「ふーん」
「ふーん、て。なんか冷たくない?」

 男はヤることをヤると一気に冷めてしまうものである。
 この時、湊は人類の起源について考えていた。

「いや、ごめん。今晩はもう無理ですわ。なんというか最高の一発でした。もう出ないっス」
「そんなの認められない。なんとしても絞り出す!」
「えー……」
「ほら、ここに寝て」

 しぶしぶ、湊は仰向けになった。
 先ほどのセックスの反動で湊の眠気は限界に達していた。
 だがしかし、そんな彼の状態なんて知る由もなく――。
 マイはいきなり、湊のイチモツを口に含んだ。

「うへ、こそばゆ……」
「うふふぁい――」

 やわらかくなったペニスを無理やり勃たせようとするが、マイの口技には一向に反応しない。

 すぅすうと二人の寝息が聞こえてくる。

「なんてこと。パンナちゃんはともかく、湊さんまで眠ってしまうなんて。しかもふたりとも臭い。あー、とにかく。ナニもしないまま朝を迎えるのはマズいぃ……」

 頭を両手で抑えながら、マイは怒れるマダムの顔を思い浮かべていた。

「ん? 朝? そっか……その手があった! いまのアタシにはそれしかない!」

 マイはベッドを離れると、鼻歌を奏ではじめた。

「あさだっち、ともだっち~♪」

 ベッドのシーツを取り替え、ふたりの体を濡れたタオルで綺麗さっぱりにし、バスローブを着せる。
 ベッド中央に湊を寝かせ、その左隣にパンナを寝かせる。
 そして最後に、マイが湊の右隣に寝る。

「よし! 準備はすべて整った。明日の朝が勝負ね――」

 数分後。
 三人は気持ちよさそうに寝息をたてていた。
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