幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。

【第６章】契約破棄、そして新たな約束

中２の時

「中２の時同じクラスだっただろ。高井さんのこと覚えてる？」

「覚えてるけど」

　高井さんとは、私たちと同じクラスだった女子の名前。すごくおとなしい子で目立たなかったのだけど、夏休みの宿題で提出した絵が県のコンクールに出品され、大賞を取った。担任や美術の先生にものすごく誉められて、教室でもお祝いされたのをきっかけに、一部の生徒からのいじめが始まったのだ。

「高井さんをいじめてたの、学校でも札付きの不良たちだったろ。みんな怖がって、誰も助けなくて。そんな中で、佐奈子が率先して高井さんをかばっててさ」

　当時、私はクラス委員だった。最初は言葉だけで揶揄していたのが、高井さんが言い返せないのをいいことに、次第にエスカレートしていった。教科書を破られたりカバンを隠されたり、お弁当を捨てられたり。

　同級生はそれを見ていながら、誰も止めようとしなかった。相手は確かに校内で有名な不良男子女子のグループだったけど、同じ女子としてクラス委員として、とても見過ごせなかった。だからなるべく一緒に行動するようにしたり、相手が高井さんをからかっている時には割って入ったりしたのだ。

「あの時の佐奈子、すげえかっこいいって思ってた」