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【第4章】困惑と変化
今は誰よりも
しおりを挟む私は自分で、性欲が薄いタイプだと思っていた。
付き合った人ふたりの、どちらとも性的な触れ合いをする気になれなかったのはきっとそういうことなんだ、と結論を出していた。
けれど今の自分を俯瞰的に見たら、どこが性欲薄いんだと自分自身でツッコんでしまう。
押し流されているとは言うが、嫌なら断ればいいのだ。彼は残念そうな顔をするかもしれないが、されるのが本当に嫌なら、そんなことは気にしなければいい。
そうしていないということは、私自身が、彼に抱かれることを望んでいるからだ。まぎれもなく。
男女の性差を意識しない、楽な関係性だと思っていた相手を、今は誰よりも「男」として意識している。男としての昂士くんを、毎日、毎夜、これ以上はないほどに認識させられている。
たとえ、彼の目的が手近な性欲発散だったとしてもかまわない。そんなふうにまで考えてしまっている。
彼に甘やかされることが心地良くて、彼に抱かれる感覚があまりにも気持ち良くて、自分からは手放したくない気持ちになっているから。
……こんな日々を続けていて、契約の1年後に、すっぱりと別れることができるのだろうか。
その時、私は彼に、平気な顔で「ありがとう、元気でね」と言えるのだろうか。
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