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【第4章】困惑と変化
それから毎日
しおりを挟むそれから昂士くんは毎日、朝は車で送ってくれ、帰りは駅まで迎えに来てくれるようになった。帰りが駅なのは、事務所には専用駐車場がなく、建物の前に長く止めていると迷惑だし、目立つからだ。
そもそも、残業する日も当然あるからと、迎えは断ったのだ。彼にだって残業、そして早出の日があるはず。
なのに、ほとんどの場合、彼は私の都合に合わせて行動している。どうしても無理な時は先に出たり遅く帰ってきたりするけど、その時はずいぶんと渋々とした感じだし、送り迎えをする時の彼は、いつもやたらと嬉しそうだった。
「何度も聞いてるけど、大丈夫なの、仕事」
実際、気になって何度も尋ねている。管理職とはいえ、そんなに簡単に、仕事の都合をつけられるものなのだろうか。
「佐奈子が気にしなくていい。ちゃんとやってるから」
と彼は言うが、いつかみたいにおそらく、仕事を持ち帰っている日もあるに違いない。
そこまでして私を送り迎えしたい理由は何なの、と聞いたら「無理をさせてるから」と返される。
──12月初めのあの日以降、ほぼ毎晩、彼に抱かれているのだった。
あまりにも頻繁なので、ちょっと……と思う時もあるのだけど、彼の手や唇に触れられると、押し流されてしまう。
「無理をさせてるから」と言うからには自覚があるのだろうから、もう少し加減してくれればいいのに。とは思っても、流されてしまっている側からすると、はっきりそうとは言いにくい。
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