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【第2章】結婚と約束
利害の一致
しおりを挟む時間を置くまでもなく、急に酔いが醒めた気分になって、私はもう一度メモを見直した。
「期間……1年?」
「それくらいは結婚しとかないと、離婚した時に怪しまれるだろ。1年で離婚したとすれば、結婚に向いてないって思わせるのにも不自然じゃないだろうし」
「家事は自分の分だけ……」
「どっちにも負担にならないようにな」
「干渉しない、仕事に口出ししない」
「穐本は仕事を辞める気ないだろ。俺もそうしてもらおうとは思わない。仕事してる穐本を見るの、好きだし」
告白ではないとわかっているのに、好き、などと言われて不覚にも胸が高鳴った。
「……関係は持たない」
「離婚前提だから、そこはやっぱりな。もし何かあったら別れるわけにいかなくなるし」
何かというのは、子供ができたらということだろう。100%起こらないようにするなら、そういう行為はしない方が良いに決まっている。けれど。
私はともかく、樹山のような男性が、それで平気なのだろうか。
「樹山は……それでいいの?」
「利害の一致だよ。穐本も俺も、押し付けられてまで結婚したいとは思ってないわけだろ。だから親を黙らせる口実が欲しい。形だけでも1回結婚した履歴を作っとけば、今ほどごちゃごちゃ言われることはたぶん無いだろ」
「……そう、かもね」
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