36 / 104
【第2章】結婚と約束
契約書
しおりを挟む「穐本は、それでいいのか?」
頬杖をほどき、振り向いた樹山は、この上なく真剣な目つきで私を見た。嘘やごまかしを許さない、強い視線。
……樹山ならいいか、と思う。
別に、他に気になる人や好きな人がいるわけでもない。これから先に出会えるかどうかもわからない。だったら。
私のとんでもない提案を受け入れようとしている、この人と結婚してみるのも悪くないんじゃないか。
「うん、いいよ」
「わかった」
私の返事にうなずくと、樹山は、ビジネスバッグから取り出した手帳を開いて、何やら頭をひねっている。1分ほどそうしていた後、メモ欄にひと息にいくつかの文章を書いた。
「じゃあこれ、契約書」
「契約書?」
渡された紙を見ると『結婚に際しての約束』と冒頭に書かれ、その下に5つの項目が箇条書きにされている。
【1 期間は1年間とする】
【2 家事は基本的に自分の分だけをやる】
【3 必要以上に干渉しない】
【4 お互いの仕事に口出ししない】
【5 性的関係は持たない】
そして一番最後に、樹山の名前がフルネームで書かれていた。
……これって。
「今はだいぶ酒が入ってるだろ。酔いが醒めてから読み直して、これでOKだと思ったら一番下に名前書いて。そしたら契約成立だ」
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
382
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる