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【第2章】結婚と約束
居酒屋にて
しおりを挟む「穐本、ひょっとしてザル?」
「そこまでじゃないけど。でも、飲んでもそんなに回らない方かな」
「よし、じゃ今日はとことん飲むか。再会記念に」
そんなことを樹山が嬉しそうに言って、ジョッキをまた掲げる。
「悪いな、今日は驚いただろ」
「びっくりしたわよ。いきなり来るんだもの」
エバーフォレストの名前を聞いて不思議そうにしていた理由はわかった。けれどそれを言わなかったのはちょっと意地悪だと思う。
「こうなるってわかってて、知ってるって言わなかったの?」
「まあ、半分当たり。再依頼の話は出てたんだけど、あん時は本決まりじゃなかったからさ。もし話がダメになったら穐本ががっかりすると思って」
「前触れなく来られる方が心臓に悪いわよ」
「はは、そうか。わりぃ」
話は仕事のことから、互いが知っている同級生の近況になり、自分自身の近況に及んだ。
その頃にはビールから日本酒、カクテルのちゃんぽんになっていて、何杯飲んだのか途中からは数えていなくてわからない。
「……でね、うちの親。もうすぐ30なんだからちょっと真面目に考えろって、見合いの話持ってくるの。親戚に仲人役が好きなおばさんがいて」
まいっちゃうよね、と言った口は我ながら、やや呂律が怪しかった。
飲んでもそんなに回らない、が聞いてあきれる。
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