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【第2章】結婚と約束
午後7時半
しおりを挟む午後7時半。
ターミナル駅の改札で待っていると、ホームから樹山が走って来た。
「悪い、待たせて」
「ううん、さっき来たとこだから」
「出がけに顧客から電話入って。呼び出しといてすまない」
「だから、大丈夫だって」
そんなやり取りをしながら、駅の外へ出る。
歩いてすぐのビルに入っている、大手チェーンの居酒屋に、二人分の席を見つけることができた。
「生ビールでいい?」
「いいよ。何食べようか」
「たこわさと枝豆は欲しいな。あと、唐揚げと」
「卵焼きいいかな。アレルギー大丈夫?」
などと話して、ジョッキのビール2つにたこわさび、枝豆と鶏の唐揚げ、だし巻き卵、それに豆腐サラダを頼んだ。
ビールはすぐに運ばれてきて、お互いにジョッキの取っ手を持つ。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯」
一口、二口流し込むと、気持ちのいい冷たさが喉を落ちていく。暦は8月、例年に劣らず今年も猛暑で、昼間の気温は35℃近くが続いている。夜になっても25℃を超える日の多い気候だと、冷たい飲み物が本当に美味しく感じられる。
現代に生まれてよかった、なんてことも思ってしまった。
「いい飲みっぷりだな」
勢いで半分近くを飲んだ私を見て、樹山が感嘆したように言う。
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