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【第2章】結婚と約束
仮案の段階
しおりを挟む「さて、具体的なお話をお伺いしようと思いますが……ああ、ありがとう」
六旗さんがお茶を運んできた。最初に来客の樹山へ、次に永森さん、最後に私。
「ありがとうございます」
お茶を置いた時の樹山の微笑みに、六旗さんは頬を染めた。平川さんも悪くないルックスなのだが、申し訳ないけどこっちはレベルが違う。まあそうなるよね、と思った。
表には平川さんがいるはずだから、戻るまでにその顔を直しておかないと嫉妬されるよ、とも心配になったけど。
頬を染めたまま、六旗さんは応接室を出ていく。
軽く苦笑いして「申し訳ありません」と言う永森さんに対し、樹山は「いえ」と平然とした表情だ。きっと慣れている反応なのだろう。さすがである。
「今回お願いしようと考えておりますのは、こちらの3店舗です」
「ええと……全部、駅に近い店舗ですね」
「はい。付け加えますとこちらの店舗は、地下商店街の中になります」
「なるほど。そうなると雰囲気に違いが必要ですね──こちらが仮案ですが」
永森さんと樹山が話す内容と、私はメモに取りながら、自分なりに気づいたところを余白に書き加えていく。仮案の段階から永森さんが冴えているのはさすがだけど、それに樹山が質問、そして指摘する内容もなかなか鋭い。
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