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【第2章】結婚と約束
やれやれと言いたげな
しおりを挟む「え、そうなんですか」
「うん。平川くんが一級を取ったら結婚するんじゃないかな」
平川さんは私と同じ年齢、今年30歳だ。六旗さんは24歳。
「二人は僕に気づかれてないと思ってるけど、わかっちゃうんだよね。仲がいいのは結構だけど、いつ『できちゃった婚』してもおかしくない感じで。だからもう一人アシスタントが欲しかったんだ」
それで、新卒や中途に関係なく募集が出ていたのか。私にとってはラッキーだった。
……それに、私には当分、結婚方面の縁はなさそうだし。これまでの年月で、付き合った人は2人いたけど、私が仕事に熱中しすぎるのを理由にどちらからも振られていた。
「で? 穐本さんこそ、なんだってこんな中途半端な時期に辞めたの」
永森さんに問われ、ちょっと迷ったけど、私は正直に理由を話した。内容が内容だけに、周りに聞こえないように配慮しながら。
永森さんにとっても「恩師」である先生の話だから驚くかと思ったけど、聞いている間の永森さんは終始落ち着いたものだった。そして話が全部終わった時、やれやれと言いたげなため息をついた。
「またか……」
「何ですか、『また』って」
「あの先生、前にも同じようなこと、しでかしてるんだよ」
「ええ!?」
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