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【第2章】結婚と約束
エバーフォレスト建築事務所
しおりを挟むそれから1週間ほどの間に、タイミングよく空いた部屋を実家と職場の中間あたりに見つけた。すぐに、レンタル倉庫に預けていた荷物を引き取り、引っ越しを済ませた。
先輩である永森さんの個人事務所「エバーフォレスト建築事務所」に初出勤したのは、6月2週目の月曜日のこと。
「穐本佐奈子と申します。よろしくお願いします」
「こちらこそお願いします!」
「よろしくね」
エバーフォレストの構成人員は、代表の永森さんと、アシスタントの二級建築士の男性が一人、助手の女性が一人。前の所の半分以下の人数だけど、その分アットホームな感じだ。
以前の事務所は、人数がいる分、互いが競い合う空気が強く漂っていた。その空気は嫌いではなかったけど、困った時に相談したり疲れた時に愚痴り合う関係性にはなりにくかったのだ。忙しいのもあって、飲み会とかもあまり行われなかった。
初出勤の日は仕事が早く終わり、私の歓迎会が開かれた。最寄り駅前の商店街にある居酒屋に行き、4人でテーブルを囲む。
アシスタントの男性・平川さんと助手の女性・六旗さんは、明日は関わっている案件の下見が朝早くからあるから、と言って先に帰っていった。なんとなくコソコソとした様子を怪しんでいると、二人が店を出ていった後、永森さんが教えてくれた。
「あの二人、付き合ってるんだよ」
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