秘された王女はひたむきに愛を貫く~男友達だった幼馴染の執着愛~

水瀬 立乃

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第3章

これからは私だけ

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ゲイルの胸に抱かれながら、メイリスは静かにトクトクと波打つ彼の心音を聞いていた。
彼が何か思い悩んでいる様子だったので、何があっても自分の気持ちは変わらないと伝えたかったのだが、ちゃんと伝わっているだろうか。
気持ちを声に出すことの大切さはわかっているものの、何も言われていないのに言葉にするのは憚られた。
先程から黙り込んでしまったゲイルが気になって服の上から鎖骨辺りに唇を寄せると、お返しといわんばかりに額にキスが降ってきた。
顔を上げて吸い込まれそうな海緑色の瞳を見つめる。
夜空には星が煌めいて、見える星座や景色は違うものの、あの丘で見た時と同じように綺麗だった。
しばらく二人で空を見上げていると、ゲイルが突拍子もないことを言い出した。

「結婚式、するか」
「え?」
「予行演習ってことで。もちろん本番はちゃんとした教会でするけど」

彼は閃き顔をして立ち上がり、草むらの方へと歩いて行く。
満月に近い月の下できょろきょろと視線を彷徨わせ、目的のものを見つけると、しゃがみ込んで何かをし始めた。
メイリスの傍に戻ってきた時には、彼の手のひらに二つの指輪が乗っていた。
ゲイルはメイリスを偶像が置かれていたであろう場所まで連れてくると、彼女の左手の薬指に白詰草で作った指輪を嵌め込んだ。

「器用ね」
「今はこれしかできないけど、後でちゃんとしたの贈るから」
「私はこれで十分よ。あなたが結んでくれた、私だけの指輪だもの」
「メイス…」

健気なことを言うメイリスに、ゲイルはキスしたくなる衝動を理性で抑え込んだ。
まだ指輪の交換も済んでいない。

「かわいいこと言ってないで、早く俺のも指に嵌めて。キスできないだろ」
「趣旨が変わってない…?」

メイリスは若干呆れながらも、自分がしてもらったように彼の指に輪っかを通す。
そのまま両手を握り合い、キスをするのかと思いきや、ゲイルが思い出したように声を上げた。

「あっ、指輪の交換の前にすることあったよな…焦りすぎた」

そう言って照れたように笑うと、どこからか覚えてきた誓いの言葉を唱えはじめた。

「メイリス・クロウ。あなたはゲイル・ラーバントを夫とし、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも――」

ここまでは順調だったのだが、途中から様子がおかしくなった。

「――強がりを言わず、ベッドの中でも外でも素直になって、その命ある限り身も心も夫に捧げ続けると誓いますか?」
「…何なの、それ」

怪訝な目を向けるメイリスに、ゲイルは至って真面目な顔をして首を横に振った。

「メイス、答えは"はい"か"誓います"かのどっちかだ」
「どっちも同じじゃない」
「メイス」
「はいはい…誓います」
「よし、誓ったな?」

投げやりな返事だったのに、彼はとても満足そうに頷いた。

「次はあなたね。ゲイル・ラーバント。あなたは…」
「ゲイル・ラーバントはメイリス・クロウを妻とし、健やかなるときも病めるときも妻ただ一人を未来永劫愛し抜くと誓います」

自分の言葉を遮って一息に言い終えた新郎に、新婦はおおよそ結婚式の最中とは思えない呆れ顔をした。

「…どうして自分で言うの?」
「早くお前とキスしたいから」
「ちょっ…ゲイルっ」

メイリスの抗議の声はゲイルの口内に溶けた。
強く腰を引き寄せられ、頭もがっしりと固定されて逃げられない。
神前で行うにしては淫猥すぎるキスに、体は火照り、心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。

「ン、んむ…は、ぁぅ…」
「ハ…、お前がかわいすぎるからしたくなってきた」
「ばか…」
「なぁ、子づくりの練習もしないか?ここにちょうどいい台もあるし」

二人の傍には、腰よりも少し低い石造りの祭壇があった。

「もう…どこでも盛るんだから」
「そういうお前も満更じゃないだろ?」
「勝手に決めないで。私はしたくないわ…ここ外よ?誰かに見られたら…」
「こんなところ誰も来ないって。気になるんなら魔法使えばいい」

ゲイルは着ていたローブを祭壇の上に敷くと、メイリスの両脇に手を入れて抱き上げ、その上に座らせた。

「一人目はきっと女の子だな。男が元気なら女の子ができるって聞くし」
「ゲイルまって…!本気でするの?」
「ああ。色んな意味で忘れられない初夜にしてやる」

にやりと笑って覆いかぶさってきたゲイルに、メイリスは諦めの溜息を吐いた。



数十分後、祭壇の上で両脚を開かされたメイリスは、ゲイルの髪を掻き乱しながら星空に向かって嬌声を上げていた。

「っひ、ァアア…!ア、ァ、イクッ…!」
「ン…ッ、ハ…お前いつもより興奮してないか?乳首もここもすごい勃ってる」

じゅっと音を立てて陰核に吸い付かれ、メイリスは鮮魚のように腰を跳ね上がらせた。
ガクガクと全身を痙攣させるメイリスの顔をゲイルが舐めるように見つめていたが、彼女はそれどころではなかった。
胸を上下させながらくたりと横たわり、呼吸を整える。
メイリスの上にゲイルの影が落ち、労るように頭を撫でる。
これで終わりかのように思われたが、そんなわけはなかった。
頬にキスをされた感触の後、涎を垂らすほどぐちょぐちょにほぐされた蜜口にゲイルの硬く膨らんだ陰茎が宛てがわれ、一息に押し込まれた。

「ハァア、ン…!」
「ッハ…これだけ濡れてたらカンタンに奥まで入るな。俺のを根本までズッポリ呑み込んで…美味しいか?メイス」
「ぃや…あ…」
「ン…いまきゅんて締まった。ナカで返事するなんてえっちだな?ちょっと動かしただけでもやばいくらい吸い付いてくる…。柔らかいのにキツキツで…キモチヨすぎ…」

ぬぷぬぷと浅いところを抜き差しされて、再びメイリスの息が上がっていく。
ゲイルはわざとイイところを外して動き、彼女の反応と膣内の感触を楽しんでいるようだった。
もどかしい刺激を与え続けられたメイリスは早々に限界を迎えてしまう。

「ア、ア、ゃ、アァッ…!」
「んー?なかヒクヒクしてるな…軽くイッたか?」
「うぅ、ん…ちがう…」
「いや、イッてるだろ。さっき素直になるって誓ったのにもう破るのか?」

したり顔をするゲイルに屈辱感を覚えたものの、反論はせずに見つめ返す。
この中途半端に焦らされた熱から解放してもらえるならなんでもよかった。

「ゲイル…」
「えろい顔して…どうした?俺にどうして欲しい?」
「もっと…突いて」
「……いいよ。素直に言えたからご褒美な」

ゲイルは蕩けるような笑みを浮かべてメイリスに顔を寄せた。
その先を察して瞼を下ろし、熱い唇を受け止める。
舌を緩く吸われた後で腰が浮くほど両脚を持ち上げられた時、メイリスは素直になったことを少しだけ後悔した。
太ももで胸が圧迫されて僅かに息苦しい。
不可抗力で呼吸をする度にゲイルのものをきゅうと締めつけてしまい、初めから激しい抽送が始まった。
愛液が掻き回されて泡立つ音と肌を打ち付ける破裂音に混じり、二人の艶声がかつての聖堂に響いた。

「ハ…、これやばい…すごい締まる…」
「アッ、アッ、あう、アァ…ン」
「こんなにひくつかせて、そんなに俺が好きか?俺のこれが好きなのか?どうなんだ、メイス?」
「あっ、アァ、ン…す、き、アッ、すき…っ!」
「そうかそうか、そんなに俺が好きか…そんなに欲しいならお望み通り腹いっぱい食わせてやるよ!」

羞恥心を煽られたメイリスの体はどんどん敏感になり、ゲイルは脳が痺れるほどの快感に加虐心を高めていた。
メイリスの左足だけを高く持ち上げ、胎を突き破るような勢いでドチュドチュと深く突き入れる。
乱暴な刺激に子宮が歓喜に震えたのと同時に、強烈な収縮がゲイルの剛直を締め上げた。
直後に襲われた吐精感を耐え抜いた彼は情欲に従って快楽を求め続ける。

「ク…アァ、きもちいい!キモチイイ!キモチイイッ!メイス!」
「ひ、い、アァ…ゃ、ゲイル…っ!アァァ!」
「ごめんな、イったのわかってるけどここで止めてやれない…!やっぱ俺達相性最高だな!めちゃくちゃキモチイイよメイス!メイスッ」
「アァァ…!ふかい…っ、おっき、アァン!」
「あーイイねその顔。たまんない…お前の顔も声もナカも全部がヨすぎて頭おかしくなりそうだ!」

メイリスの脚を下ろし、腰を掴んで奥の壁をガツガツと穿つ。
強い快感に包まれたメイリスは、ここが屋外だということも忘れて嬌声を大きくした。

「アッ、あうッ!ァ、ひ、ひぁ、ンンン!」
「またイキそうか?俺もそろそろ…!このままナカに出すな、メイスッ!メイスの、ナカに…!」
「ひっ、ン、ア…!イッ、ク…!ゲイルっ!イク…!」
「メイリス…ッ!!」

ゲイルが切なげな声で喘いだ瞬間、メイリスの胎内にドクドクと子種が流し込まれていく。
覆い被さるようにメイリスを抱きしめた彼は最後の一滴まで吐き出そうとするように腰を揺らす。
お腹の奥に熱が広がっていく感覚に痙攣が止まらず、メイリスは恐怖を覚えてゲイルの首にしがみ付いた。
自分を抱きしめるのと同じくらい下の口もぎゅうぎゅうに締め付けてくる彼女が愛おしくて、ゲイルは舌を絡めてぐちゃぐちゃにキスをした。

「ぁふ、ンあ、はう…」
「ハァ…ッハ…あー…気持ちよすぎて全然余裕なかった…。ちょっと無理させたな…体痛くないか?」
「うん…」
「そっか…よかった。かわいかったよ、メイス…」

ゲイルが労うようにメイリスの頭を撫でていると、気が抜けて目をとろんとさせた彼女が顔を見上げてくる。

「…ゲイル、」
「んー?」
「あいしてる…」

またメイリスに不意打ちされてしまい、ゲイルは目を丸くして赤面した。
再会してからの彼女は以前と比べて愛情を言葉にしてくれるようになったが、それを望んでいたはずの彼は言われ慣れずに毎回動揺させられてしまう。

「……おまえ、今それ言うの反則。もう一回したいっておねだりか?」
「ちがうの…ただ…あなたに言いたくて…」
「ああ…くそ、かわいすぎなんだよお前は…!」

素直になった妻の愛くるしさに悶絶したゲイルは、出したばかりで少し萎んだ自身を膣内に埋め込んだまま、力の抜けた彼女の体を抱き起こした。
触り心地の良い胸の谷間に顔を埋めて、すんすんと鼻を動かして彼女の匂いを嗅ぐ。
ゆらゆらと腰を動かしているうちに、彼の肉欲の塊はメイリスの中で再び質量を取り戻した。

「二回目はバックでしたいけど…お前はどうしたい?」
「…わたしがゲイルの上に乗るわ」
「え?」
「……だめ?」

いつになく積極的なメイリスの要求に、ゲイルはごくりと喉を鳴らした。

「いいに決まってる…」

返事を聞くや否や、メイリスは満足そうに笑ってゲイルを押し倒した。
乗馬をするかのように背筋を伸ばして腰を揺らし、時には後ろ手をついて浮かせた柔尻を硬い腹に叩きつける。
メイリスの艶めいた裸体が月光の下で踊る姿は、まるで性愛の女神のようだった。

(綺麗だな…メイス…)

彼女のすべてに情欲を掻き立てられながら、ゲイルは眩しそうに目を細める。
そして彼女の臍の下、今まさに自分の太く滾った陰茎が埋め込まれている白い腹を指ですりすりとなぞった。

(俺の…俺だけの、メイリス)

長いこと恋愛に関心を持たず、無性愛者とまで噂されていた彼女が、今自分の目の前で色欲にまみれながら快楽を得ようと励んでいる。
こんな彼女の姿を見られるのは後にも先にも自分だけだと思うと、言い様のない多幸感に満たされた。
快感に喘ぎながらふと彼女を見上げれば、完熟した柘榴のように潤んだ瞳がゲイルを見下ろす。
彼はその一時、息の仕方を忘れた。
それほどに彼女は美しく、妖艶だった。

「ゲイル…これからはもう…私だけよ…」
「……」

熱に浮かされたようにゲイルの顔を覗き込み、メイリスはその両頬を柔らかな手で包み込んだ。
色付いた唇から紡がれた言葉は、恐らく彼女が初めて表に出した嫉妬心だった。
驚きに目を見開いたゲイルは、それが独占欲からくる感情だと気付いて顔を綻ばせた。
自分の頬に添えられた彼女の手を取って指先にキスをする。

「ああ…俺はこれから先ずっと、お前だけのものだ」

ゲイルが言葉を返すと、メイリスは瞼をぱちぱちさせてから嫣然と微笑んだ。
それが図らずも夫の興奮を煽ってしまい、彼女は下から最奥を突き上げられた。
あまりの勢いに彼の胸に倒れ込むと、尻を両手でがしりと掴まれ、硬く勃ち上がった男根で膣壁を激しく擦り上げられる。
二人はほとんど同時に喉を反らして絶頂に喘いだ。
愛の証がメイリスの奥深くにたっぷりと注ぎ込まれ、脳が快感と幸福感に痺れていく。
整わない呼吸を繰り返し、満たされていく余韻の中で額をつけて微笑み合う。

「あいしてる…ゲイル…」
「愛してる…メイリス…」

身も心も一つに重なり合ったメイリスとゲイルは、蕩けるようなキスを交わした。
きっとこの先どんな困難が待っていようとも、二人の絆は今度こそ永遠に結ばれたまま離れることはない。
握り合わせた左手の白詰草に誓って―――。


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