秘された王女はひたむきに愛を貫く~男友達だった幼馴染の執着愛~

水瀬 立乃

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第1章

後戻りはできない

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甘えるように全身を預けきるゲイルを抱きしめ返しながら、メイリスは達成感にも似た幸福感を噛み締めていた。
とうとうゲイルと最後までえっちしてしまった。
「好き」と言われた時はまだ半信半疑だったが、こんなふうに抱かれてしまったら信じざるを得ない。
経験のある彼に翻弄されて、言いなりになってしまったことが恥ずかしくて少し悔しい。
これからの二人の関係をどう言い表すのかはまだわからない。
もう単純に友達や親友だとは言えない。
では恋人なのかというと、「付き合おう」とは言われていないので恋愛初心者の彼女にはよくわからない。
言葉を覚え始めた頃から近くにいて、良いところも悪いところも全て知り尽くしている家族のような存在だから、ただの恋人と言うのも違うような気がする。
とはいえ、メイリスは思っていたほど彼の恋人枠に拘っていないことに気付いた。
このままゲイルと変わりなく日常を過ごせるのなら、この関係を表す明確な言葉がなくても構わない。
これから先、メイリスは他に異性の友達をつくる気はないし、ゲイル以外の男性と関係を持つ気もない。
あとはゲイルの気持ち次第で、彼が自分とどうなりたいのか、その意思に従おうと思った。
いずれにしても変わらないのは、後戻りができないということだ。
万が一仲が拗れてしまったら二度と元には戻れない。
そんな不安が心の隅に生まれたが、メイリスは深く考えないことにした。
望まないことを想像しすぎるとかえって現実になってしまうと聞くし、心配したからといって確実に回避できるとは限らない。
なるようにしかならないのだから、目の前にある今をじっくり楽しもう…と、メイリスは自分に言い聞かせた。

そんなことを考えていると、ゲイルがのそのそと起き上がって使い終わった避妊具を抜き取った。
驚いたことに彼の大きさは挿入前と変わりがなく、新たに避妊具の袋を開けたのを目にしたメイリスはぎょっとして微睡から覚めた。

「なにしてるの…?!」
「なにって、二回目するだろ?」

さも当然のように言い放ち、あっという間に準備を整えてメイリスに覆いかぶさってくる。

「次はちょっと本気出すから」

にこやかな笑顔とは似つかない台詞を吐いた彼は、抵抗しようとするメイリスを無視して半ば強引に押し入ってきた。
しっかりゲイルの形に慣らされた彼女の中は簡単に彼を迎え入れる。
先程とは打って変わってずぶりと勢いよく挿入されてしまい、再び快感が呼び覚まされる。
その直後から容赦のない性急なピストンが始まった。

「アァッ?!いきなりっ…はげ、し…アァン!」
「ハ…メイスのナカ熱くて、やばいくらいキモチイイ…っ」
「アッ、アン、ゃ、もっと、アッ、ゆっく、り…!」
「こうやって奥にトントン当てられると、お前もキモチイイだろ?」

ハッハッと息を上げながら妖艶に微笑んだ彼は、メイリスの反応をとても楽し気に見下ろした。
スプリングの軋みと素肌がぶつかり合う音の二重奏が部屋中に響いて、興奮が高まっていく。

「期待に応えてやってんだから…ッ、素直に気持ちよくなってろ」
「ゲイルっ、ンッ、私また、イっちゃ…ッ、アァ…イっちゃう…!」
「いいよ…さっきみたいに思いっきりイキな」

どこか挑戦的な笑みを浮かべたゲイルはメイリスの膝を胸につけるように折り曲げ、垂直に叩きつけて膣内を蹂躙した。

「ア、ァ、ァ、いく、ン、イク…!」
「ック…アァ、イイ締め付け…!最ッ高…」

ゲイルは速度を緩めて絶頂する膣内の感触を楽しむと、脚を下ろしてきゅうきゅうに狭まった肉壁を抉じ開けた。
メイリスのことなどお構いなしに剛直を奥に突き立て、そのまま射精するかと思いきや突然動きが緩やかになり、静止した。
挿入したまま乳房を揉み込み、ぷっくりと膨らんだ乳首を執拗にねぶる。
未だ微かに絶頂し続けていたメイリスは、胸からの刺激に腰を浮かせて膣内をうねらせた。

「アッ、いっ…く…ァ、アァ…」
「ハァ…イキまくりだな?かわいい…メイス。こんなにヨすぎたらクセになる…」

うっとりとメイリスを見つめた彼は、恍惚としている彼女の頬を指先で撫でた。
乱れた髪を軽く整え、小休止のキスをして再び激しく突き上げ始める。

「キモチイイ?なあ、キモチイイか?」
「ン、ン、アッ、ン、」
「ゆっくりするのと激しくされるのと、どっちがイイ?」
「ハ、ア、ン、ァ、きもち、い…っ」
「ハハ、もう意識トんじゃってるな。そろそろ終わりにするか」

ゲイルは満足げな顔をして、最後のスパートをかけた。
メイリスは快感に脳が痺れて、もはや何がなんだかわからない状況になっていた。
初めての後で小一時間も責め立てられて悪態の一つでも吐いてやりたい気分だったが、そんな余裕もなくただただ喘ぎ、眠りに落ちていった。

メイリスが目を覚ました時、ゲイルの姿はどこにもなかった。
彼女が寝ている間に仕事に出かけたのだろう。
棚の上にあった時計を見ると午前8時をまわっていた。
それ程寝過ごしていなかったことに安堵して、昨日はわからなかったベッドルームを見回す。
そこはベッドと棚とスタンドライトがあるだけのシンプルな部屋だった。
ベッドサイドに置かれた目覚まし時計は学生時代にメイリスがプレゼントしたもので、まだ使っていたのかと思うとなんだか可笑しくなる。
視線を落としてベッドの上を見れば、昨夜脱いだゲイルの下着やシャツや、自分の下着が散乱していた。
ここで昨夜ゲイルに抱かれたのだと思うと、今更ながらに恥ずかしくなってくる。
枕を抱えて顔を埋め、平静を取り戻すまでしばらくそうしていると、ベッドから降りて行方不明になった服を探し始めた。
タオルケットをめくり上げた時、白いシーツの上に薄桃色や薄いクリーム色の何かが点々と散っているのが見えて青褪める。
急いで服を身に付け、カーテンと窓を開けると、皺くちゃになったシーツを剥ぎ取ってリビングを通り過ぎ、勝手知ったる他人の家でユーティリティルームへ向かった。
汚れたシーツを下着と一緒に洗濯機に放り込み、洗剤を入れて魔法陣を始動させる。
洗濯機を動かしているうちにシャワーを浴び、干しっぱなしにしてあったシャツを一枚拝借した。
喉が渇いたのでキッチンに向かうと、4人掛けのダイニングテーブルの上にゲイルの書置きがあった。

《冷蔵庫から勝手に好きなの飲んで食べて》

走り書きしたような筆跡から、慌ただしく出て行ったことが伺える。
日付が変わった後に眠ったのだからきっと今日は寝不足のはずだ。

(大丈夫かしら。まあでも…自業自得よね)

心の中で独り言ちて、メイリスは遠慮なく冷えた炭酸飲料の蓋を開けた。

メイリスが自宅に帰ってきたのは昼過ぎだった。
あの後ゲイルの洗濯物を干して家の中も軽く掃除してきたので予定より遅くなってしまった。
簡単にビスケットとジャムでお腹を満たし、自分の家でも同じように家事をする。
少し休憩しようとソファに横になったはずなのに、気が付いた時には窓の外が真っ暗になっていた。
換気のために開けていた窓から夜風が入り込み、室内は比較的涼しくなっている。
壁時計を確認すると夜の時間帯で、休日をほとんど寝て過ごしてしまったことに溜息を吐いた。
遅ればせながら夕食の支度でもしようかと起き上がった時、ドンドンと激しくドアの叩く音が暗闇に響いた。
びっくりして固まっていると、続けざまに声が聞こえてくる。

「メイス!いないのか?!メイリス!!」

それは間違いなくゲイルの声で、彼女は慌てて内鍵を開錠した。

「ゲイル?」
「メイス…!」

彼は彼女の姿を目に留めるなり、家の中に飛び込んで思い切り抱きしめてきた。
急いで来たのか髪は乱れて、服の上からでも肌が熱く汗ばんでいるのがわかる。
言葉もなくただ抱きしめるだけのゲイルに戸惑いながらも、その筋肉質な肩をぽんぽんと宥めるように触れた。

「どうしたの?何かあった?」
「何かあった?じゃないだろ。帰ったら誰もいないし、書置きもないし、何度電話したって出ないし…家に来てみたら中も暗いしで、焦った…」
「ごめんなさい。今まで寝ていたの」
「ハァ…驚かせるなよ。昨日の今日で心臓に悪い…」

どうやら彼はまたメイリスが離れていこうとしているのではないかと心配したらしい。
謝罪の気持ちを込めて抱きしめ返すと、頭にキスをされたので上を向く。
予見した通りに唇が降ってきて、柔らかくて温かい感触に酔いしれた。

「ン…抵抗しないんだな」
「これはお詫びだから…」
「そっか。じゃあまだまだ足りないな」

ゲイルは嬉しそうに笑うと、メイリスを子どものように持ち上げて歩き出した。
驚いて体をばたつかせたが、腕の力が強くて抜け出せない。

「何する気?!どこに行くの?」
「俺に心配かけたお詫びなんだろ?今のキスは勝手に帰った分な。書置きしなかった分と、連絡しなかった分と電話に出なかった分、あと俺を不安にさせた分が残ってるから、今日は寝られないかもな?」
「さっきのキスで全部終わりよ!放しなさいっ」
「あ。お前窓開けて寝てたのか?この前忠告したのに…それもだな」
「勝手に決めないで!ちょっと、ゲイル…降ろしてっ」
「ベッドに着いたら降ろすよ」

昨夜…日付的には今日だが、満足するまでやり尽くしたはずなのに、これからまたしようと言うのか。
信じられない気持ちでゲイルに視線を送ると、彼は何がそんなに楽しいのかニコニコと頬を緩ませる。

「ちょっと…あなたまたするつもりなの?今日はしないわよ。明日は仕事があるんだから」
「体で詫びてくれるんだろ?自分で言ったこと忘れたのか?」
「勝手なこと言わないで。とにかく今日はもう無理だから」
「つれないこと言うなよ。昨日はお前が初めてだったからかなりセーブしたんだ。俺はもっとしたかったけど我慢したんだよ。えらいだろ?」

あれのどこがセーブしていたのだろうか?
そんな気持ちを込めて見つめると、意図を察した彼は意地の悪い笑みを浮かべる。

「お前はイキまくってたから満足できただろうけどな。…やばい、思い出したら勃ってきた」
「たっ…?!やめてよ、押し付けないで!そんなにシたいなら一人でシたら?」
「冷たいな。お前がいるのに何で一人で処理しなきゃいけないんだよ?今日は昨日のがキモチヨすぎて一日中辛かったんだ。お前の所為なんだから責任取って」
「どういう理くつ…っ?!アッ…ン!いきなり入れな…っで…!」
「スグ入っちゃったな。生感やば…俺のに吸い付いてきてたまんない」
「ばかっ!誰が入れていいっていったのよ!早く抜きなさいよ…っ」
「お前がかわいいから無理。な、1回だけでいいから付き合って」

メイリスはしぶしぶ許可したが、その1回が長かった。
一度メイリスに埋め込んだものを抜いたゲイルは、お気に入りの柔らかい胸の間に挟んで擦りはじめた。

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