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本編
希未・第4話
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(どうして水城がここにいるの…?)
喉に何かが詰まったみたいに声が出せない。
何故出かけていることがわかったのかとか、いつからここで待っていたのかとか…聞きたいことは頭の中にいくつも浮かんでくるのに言葉にならない。
動揺したらいけないと思うのに、まだ水城の顔をちゃんと見られるまでの気持ちの整理がつけられていないから上手く切り替えられない。
驚いたのと胸が痛いのとで何も言えない私に水城は優しく微笑んだ。
当たり前みたいに旅行鞄を奪って、空いた手で私の右手を握って歩き出す。
表情も声も穏やかなのにどこか有無を言わせない雰囲気がそこにはあった。
有料パーキングに停めてあった水城の車に乗せられて、目的地も告げられないまま車が発進する。
水城は私が出ていく前とあまり変わらないような感じがしたけど、言い様のない違和感もあった。
「どこに行ってきたんだ?」
「……温泉に」
「いいな。気持ちよかったか?どんな風呂があったの?」
「…にごり湯とか、檜風呂とか…」
「へえ~。聞いただけで温まりそう。景色も良かった?」
「うん…」
こうして他愛のないことを話していると、何もなかったような勘違いを起こしそうになる。
(水城には捺月さんがいるんだよ。なのに二人で会うなんて…何を考えてるの?どうして断らなかったの…私の馬鹿)
少し強引にされただけで簡単に流されてしまう自分が嫌になって、水城と話すのを止めて窓の外を眺めた。
目的地が水城の住むマンションだとわかると、私は車から降りるのを拒否した。
助手席側のドアを開けて手を差し伸べてくる彼を非難を込めて見上げたら、抱きかかえられるようにして降ろされてしまった。
腕の中で抵抗したら下ろしてくれたけど手を強く引かれて振り払うことができない。
家の中に捺月さんがいるんじゃないか、彼女の持ち物が置いてあるんじゃないかと思うと足が竦んで上手く歩けない。
「水城…はなして」
「やだ。放さない」
繋いだ手に力が込められて困惑してしまう。
(なんだかいつもの水城と違う…)
途中から腰を抱かれてしまって逃げられず、促されるままに家に入ってしまった。
予想に反して中は誰かと住んでいる形跡も女性の小物などもなく、私が出ていった時のままだった。
「実は朝ご飯途中まで作ってあったんだ。無駄にならなくてよかった」
洗面所で一緒に手を洗わされている時に水城がほっとしたように言った。
そういうことかと納得しているうちにダイニングテーブルの椅子に座らせられる。
「すぐ用意するからここに大人しく座ってて」
途中まで作ってあったというのは本当だったみたいで、冷蔵庫からレタスサラダやカットフルーツが入ったボウルなどを取り出してテーブルの上に置いていく。
フライパンに火をつけて何やら調理を始めたのを見て、今なら外に出られるかも知れないと思った。
そわそわしていると背中を向けたままの水城に声をかけられてドキリとする。
「ごめん、希未。スプーン出してもらえる?」
背中に目があるのかと疑いたくなるタイミングだった。
食器棚はダイニングの出入り口とは反対側にある。
私は一度機会を見送ることにして、何事もなかったように立ち上がってカトラリーの入った引き出しを開けた。
そこには何故かクリアファイルが入っていた。
中に挟まっていたのは1枚の書類で、それが何かわかった瞬間に閉めようとすると「持ってきて」と言われて振り返る。
水城が微笑みかけながら焼き立てのチーズトーストと目玉焼きをのせたお皿をテーブルに置いた。
厚めの食パンも、きつね色に焼けたチーズも、つるりとした白身と半熟の黄身に黒コショウがふりかかっているのも、全部私の好きなもの。
「希未は朝はカフェオレ派だもんな?」
両手にあるマグカップからは湯気が立っていて、私の好きなコーヒー豆の香りがした。
水城が自分好みのものばかりを用意してくれたのだとわかったら、嬉しくないわけがない。
でも何故こんなことをするのか彼の真意がわからなくて俯く。
こうやって優しくするのにも何か裏があるんだと思ったら素直に喜べなくて、水城を疑う自分も嫌で、視線を合わせる勇気もわかない。
「希未。希未?こっち向いて」
思いの外近い距離から声が聞こえた気がして視線を上げると、唇にキスが降ってきた。
抵抗する間もなく水城の腕の中に閉じ込められてしまう。
それはいつもの触れるだけのキスではなくて、感触を確かめ合うような恋人のキスだった。
「希未。俺にはお前だけだ。捺月と復縁なんてしてない。俺が結婚したいのは希未だけだから」
彼は引き出しから書類入りのクリアファイルを取り出して私に手渡した。
甘く囁く水城の表情は喜びに蕩けていた。
「朝ご飯の準備できたよ。待っててくれてありがとうな。ここまで強引に連れてきたけど…正直もっと嫌がられると思ってたし帰っちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしてた。一昨日、夜行バスに乗り込むお前を見たんだ。怖かった…。話したいことはたくさんあるのに、このまま会えなくなるんじゃないかと思って」
「…水城を置いて遠くにはいかないよ」
「うん。わかってる。国原からお前の気持ち全部聞いたから…」
水城が一歩後退したので同じように離れようとすると、その前に手のひらで両頬を捕まえられた。
「逃がさないから。二度と」
「え…」
「俺が罪悪感でお前を好きだって?どうしてそう思った?さっきのキスでもそう感じた?」
「ま、まって…ん!」
またキスをされるのかと思ったら、犬がするようにぺろっと唇を舐められてびっくりする。
少しでも期待してしまった自分が恥ずかしくなった。
「たくさん好きって言ってキスもしてたのに、伝わってなかったのは悲しいな」
「ごめんなさ…」
条件反射のように謝ろうとしたら啄むようなキスが何度も続いて口を噤んだ。
「今まではお前を怖がらせるかもと思って抑えてたけど、それで勘違いさせちゃったからもう止めるな。俺も結局あいつと変わらないんだよ。どんな手を使っても手に入れたいって思うところは…」
水城はまるでそこに愛おしいものがあるように目を細めた。
視線だけで100回分くらいの告白をされたような心地がして体が硬直してしまう。
顔から火が出そうなほどに頬が熱い。
「結婚しよう、希未」
私の左手を包むように握って、彼は3回目のプロポーズをした。
戸惑う私の右手からファイルを取って中身を取り出し差し出した。
それはいつかの時と同じ、ある場所を除いて空欄が埋められた婚姻届だった。
「今日出しに行こう。あとはお前の名前を書くだけにしてあるから」
恐ろしかった記憶が喜びの混ざった絵の具で塗り替えられていく。
だけど水城にボールペンを差し出されたところではっと我に返った。
このまま流されるようにサインしていいわけがない。
「待って、水城。名前は書けない」
「どうして?希未は俺が好きだろ。電話でこんなに好きなのに…って言ってくれたよな。俺達は両想いだと思ってたんだけど違った?もう俺のことは嫌いになった?」
「そうじゃなくて…!」
水城は私が嘘でも嫌いと言えないのをわかっていてずるい質問をしてくる。
こういうことはよくあって、気が付いているのに上手く躱せない自分が悔しい。
せめてもの抵抗でペンを受け取らずにいると、水城は背中に回って抱きしめてきた。
「いいよ。焦らされるのは嫌いじゃない。でも待つのは嫌いだから俺が書くな。希未はこうして…ペンを握っているだけでいい」
「ちょっ…本当に待って!捺月さんは?捺月さんとはもういいの?」
無理にペンを握らせようとしてくる状況に動揺して、責めるような口調になってしまう。
ここに連れて来られる時もそうだったけど、水城がこんなに強引なことをする人だとは思わなくて心臓がドキドキする。
高校時代の無関心で素っ気ない印象が強すぎて、再会した後はずっと彼が別人になったように感じていた。
私の過去を気遣ってか腫れ物に触れるように扱うし、時折彼のペットにでもなったかのような心地がしていた。
そして今はまた違う顔を見せている。
私の右手に自分のを被せるようにして自由を奪って、私の意思を無視して名前を記入しようとしてくる。
今にも鼻歌を歌い出しそうな彼からはこの状況を楽しんでいるようにも感じて、底冷えするような怖さも感じた。
「もういいも何も、あいつとははじめから何もない。それはおいおい説明するとして、ここに希未の名前を書くのが先だ」
「どういうことなの?もう水城が何をしたいのかわからないよ…」
捺月さんが送ってきたメッセージは2人が相思相愛だと思わせる内容だったし、2人が好き合っているとわかるような、恋人同士がするような写真もたくさん見てきた。
水城が捺月さんを好きだけど私のことも切り捨てられなくて悩んでいるとも聞いていた。
だから早く水城を解放してと何度も言われた。
それなのに彼と顔を合わせれば相変わらず私に結婚を迫って、捺月さんとは何もないと言う。
(わけがわからないよ…)
混乱して顔を歪めたのを泣きそうだと思ったのか水城が宥めるように耳にキスをしてきた。
「泣かないで、希未。どうしても気になるなら…ほら、ここを見ればわかるから」
指を差された方を見てみると、証人欄に見知った名前が書かれていた。
2人の証人のうち1人は国原貴士。
もう1人は…
「汐崎捺月…」
喉に何かが詰まったみたいに声が出せない。
何故出かけていることがわかったのかとか、いつからここで待っていたのかとか…聞きたいことは頭の中にいくつも浮かんでくるのに言葉にならない。
動揺したらいけないと思うのに、まだ水城の顔をちゃんと見られるまでの気持ちの整理がつけられていないから上手く切り替えられない。
驚いたのと胸が痛いのとで何も言えない私に水城は優しく微笑んだ。
当たり前みたいに旅行鞄を奪って、空いた手で私の右手を握って歩き出す。
表情も声も穏やかなのにどこか有無を言わせない雰囲気がそこにはあった。
有料パーキングに停めてあった水城の車に乗せられて、目的地も告げられないまま車が発進する。
水城は私が出ていく前とあまり変わらないような感じがしたけど、言い様のない違和感もあった。
「どこに行ってきたんだ?」
「……温泉に」
「いいな。気持ちよかったか?どんな風呂があったの?」
「…にごり湯とか、檜風呂とか…」
「へえ~。聞いただけで温まりそう。景色も良かった?」
「うん…」
こうして他愛のないことを話していると、何もなかったような勘違いを起こしそうになる。
(水城には捺月さんがいるんだよ。なのに二人で会うなんて…何を考えてるの?どうして断らなかったの…私の馬鹿)
少し強引にされただけで簡単に流されてしまう自分が嫌になって、水城と話すのを止めて窓の外を眺めた。
目的地が水城の住むマンションだとわかると、私は車から降りるのを拒否した。
助手席側のドアを開けて手を差し伸べてくる彼を非難を込めて見上げたら、抱きかかえられるようにして降ろされてしまった。
腕の中で抵抗したら下ろしてくれたけど手を強く引かれて振り払うことができない。
家の中に捺月さんがいるんじゃないか、彼女の持ち物が置いてあるんじゃないかと思うと足が竦んで上手く歩けない。
「水城…はなして」
「やだ。放さない」
繋いだ手に力が込められて困惑してしまう。
(なんだかいつもの水城と違う…)
途中から腰を抱かれてしまって逃げられず、促されるままに家に入ってしまった。
予想に反して中は誰かと住んでいる形跡も女性の小物などもなく、私が出ていった時のままだった。
「実は朝ご飯途中まで作ってあったんだ。無駄にならなくてよかった」
洗面所で一緒に手を洗わされている時に水城がほっとしたように言った。
そういうことかと納得しているうちにダイニングテーブルの椅子に座らせられる。
「すぐ用意するからここに大人しく座ってて」
途中まで作ってあったというのは本当だったみたいで、冷蔵庫からレタスサラダやカットフルーツが入ったボウルなどを取り出してテーブルの上に置いていく。
フライパンに火をつけて何やら調理を始めたのを見て、今なら外に出られるかも知れないと思った。
そわそわしていると背中を向けたままの水城に声をかけられてドキリとする。
「ごめん、希未。スプーン出してもらえる?」
背中に目があるのかと疑いたくなるタイミングだった。
食器棚はダイニングの出入り口とは反対側にある。
私は一度機会を見送ることにして、何事もなかったように立ち上がってカトラリーの入った引き出しを開けた。
そこには何故かクリアファイルが入っていた。
中に挟まっていたのは1枚の書類で、それが何かわかった瞬間に閉めようとすると「持ってきて」と言われて振り返る。
水城が微笑みかけながら焼き立てのチーズトーストと目玉焼きをのせたお皿をテーブルに置いた。
厚めの食パンも、きつね色に焼けたチーズも、つるりとした白身と半熟の黄身に黒コショウがふりかかっているのも、全部私の好きなもの。
「希未は朝はカフェオレ派だもんな?」
両手にあるマグカップからは湯気が立っていて、私の好きなコーヒー豆の香りがした。
水城が自分好みのものばかりを用意してくれたのだとわかったら、嬉しくないわけがない。
でも何故こんなことをするのか彼の真意がわからなくて俯く。
こうやって優しくするのにも何か裏があるんだと思ったら素直に喜べなくて、水城を疑う自分も嫌で、視線を合わせる勇気もわかない。
「希未。希未?こっち向いて」
思いの外近い距離から声が聞こえた気がして視線を上げると、唇にキスが降ってきた。
抵抗する間もなく水城の腕の中に閉じ込められてしまう。
それはいつもの触れるだけのキスではなくて、感触を確かめ合うような恋人のキスだった。
「希未。俺にはお前だけだ。捺月と復縁なんてしてない。俺が結婚したいのは希未だけだから」
彼は引き出しから書類入りのクリアファイルを取り出して私に手渡した。
甘く囁く水城の表情は喜びに蕩けていた。
「朝ご飯の準備できたよ。待っててくれてありがとうな。ここまで強引に連れてきたけど…正直もっと嫌がられると思ってたし帰っちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしてた。一昨日、夜行バスに乗り込むお前を見たんだ。怖かった…。話したいことはたくさんあるのに、このまま会えなくなるんじゃないかと思って」
「…水城を置いて遠くにはいかないよ」
「うん。わかってる。国原からお前の気持ち全部聞いたから…」
水城が一歩後退したので同じように離れようとすると、その前に手のひらで両頬を捕まえられた。
「逃がさないから。二度と」
「え…」
「俺が罪悪感でお前を好きだって?どうしてそう思った?さっきのキスでもそう感じた?」
「ま、まって…ん!」
またキスをされるのかと思ったら、犬がするようにぺろっと唇を舐められてびっくりする。
少しでも期待してしまった自分が恥ずかしくなった。
「たくさん好きって言ってキスもしてたのに、伝わってなかったのは悲しいな」
「ごめんなさ…」
条件反射のように謝ろうとしたら啄むようなキスが何度も続いて口を噤んだ。
「今まではお前を怖がらせるかもと思って抑えてたけど、それで勘違いさせちゃったからもう止めるな。俺も結局あいつと変わらないんだよ。どんな手を使っても手に入れたいって思うところは…」
水城はまるでそこに愛おしいものがあるように目を細めた。
視線だけで100回分くらいの告白をされたような心地がして体が硬直してしまう。
顔から火が出そうなほどに頬が熱い。
「結婚しよう、希未」
私の左手を包むように握って、彼は3回目のプロポーズをした。
戸惑う私の右手からファイルを取って中身を取り出し差し出した。
それはいつかの時と同じ、ある場所を除いて空欄が埋められた婚姻届だった。
「今日出しに行こう。あとはお前の名前を書くだけにしてあるから」
恐ろしかった記憶が喜びの混ざった絵の具で塗り替えられていく。
だけど水城にボールペンを差し出されたところではっと我に返った。
このまま流されるようにサインしていいわけがない。
「待って、水城。名前は書けない」
「どうして?希未は俺が好きだろ。電話でこんなに好きなのに…って言ってくれたよな。俺達は両想いだと思ってたんだけど違った?もう俺のことは嫌いになった?」
「そうじゃなくて…!」
水城は私が嘘でも嫌いと言えないのをわかっていてずるい質問をしてくる。
こういうことはよくあって、気が付いているのに上手く躱せない自分が悔しい。
せめてもの抵抗でペンを受け取らずにいると、水城は背中に回って抱きしめてきた。
「いいよ。焦らされるのは嫌いじゃない。でも待つのは嫌いだから俺が書くな。希未はこうして…ペンを握っているだけでいい」
「ちょっ…本当に待って!捺月さんは?捺月さんとはもういいの?」
無理にペンを握らせようとしてくる状況に動揺して、責めるような口調になってしまう。
ここに連れて来られる時もそうだったけど、水城がこんなに強引なことをする人だとは思わなくて心臓がドキドキする。
高校時代の無関心で素っ気ない印象が強すぎて、再会した後はずっと彼が別人になったように感じていた。
私の過去を気遣ってか腫れ物に触れるように扱うし、時折彼のペットにでもなったかのような心地がしていた。
そして今はまた違う顔を見せている。
私の右手に自分のを被せるようにして自由を奪って、私の意思を無視して名前を記入しようとしてくる。
今にも鼻歌を歌い出しそうな彼からはこの状況を楽しんでいるようにも感じて、底冷えするような怖さも感じた。
「もういいも何も、あいつとははじめから何もない。それはおいおい説明するとして、ここに希未の名前を書くのが先だ」
「どういうことなの?もう水城が何をしたいのかわからないよ…」
捺月さんが送ってきたメッセージは2人が相思相愛だと思わせる内容だったし、2人が好き合っているとわかるような、恋人同士がするような写真もたくさん見てきた。
水城が捺月さんを好きだけど私のことも切り捨てられなくて悩んでいるとも聞いていた。
だから早く水城を解放してと何度も言われた。
それなのに彼と顔を合わせれば相変わらず私に結婚を迫って、捺月さんとは何もないと言う。
(わけがわからないよ…)
混乱して顔を歪めたのを泣きそうだと思ったのか水城が宥めるように耳にキスをしてきた。
「泣かないで、希未。どうしても気になるなら…ほら、ここを見ればわかるから」
指を差された方を見てみると、証人欄に見知った名前が書かれていた。
2人の証人のうち1人は国原貴士。
もう1人は…
「汐崎捺月…」
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