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続・エイプリルフール3
しおりを挟む鳥の巣が机の上に乗っている。カーボン紙で出来た巣を眺めてみるが、鳥が飛んで来る様子はない。
そうか、芽キャベツだ。卵のふりをして、巣の中で丸くなっている。
どれどれ一つと手を伸ばすと、大きな葉っぱに阻まれた。春キャベツだ。巣の後ろにどっしり構えて、芽キャベツ達を守っている。
似ているが品種が違う。これが托卵というやつか。
花の香りをふわりとさせる。寄ってきた蝶を指に乗せて近づければ、春キャベツは慌てた様に逃げていく。あとは残った芽キャベツを、そっと拾いあげればいい。
バターをフライパンに回して塩焼きにする。柔らかくて少しビターな、大人の味だ。
◆◆◆◆◆
ブンブンと、虫の羽音が煩い。外に出てみると、軒下にスズメバチが巣を作っていた。
とっくりを逆さにした様な形の巣が出来ている。大変なことだ。
私一人ではどうにも出来ない。近くの漁師と、散歩をしていた茶殻坊主を呼んで来た。
この二人でもどうにも出来ない。あーでもない、こーでもないと話し合った結果、茶殻坊主が肉屋を連れてきた。
肉屋はなんだか嬉しそうだ。
壺巣をバシバシと叩き落とす。蜂がブンブン飛んでくるが、分厚い豚の皮が邪魔をして、針を通すことはない。
流石だ。だいだらぼっちを倒すだけのことはある。
報酬はいつもの如く、私の髪の毛で良いそうだ。一体何に使うのやら。
私と漁師と茶殻坊主と。役に立たない男三人、軒下で、肉屋お手製の蜂の子を食べた。ほんのり甘い白子の様なお味だ。意外と美味しい。
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