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排卵約束するとか健康の神やめ…… R-18
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ビザステリオ様がドアを通る度に宮廷画家は一枚の絵を描くべきだ。それぐらいビザステリオ様は白亜の皇帝宮がお似合いだった。そんな彼が少し表情を崩して近寄ってくるのは妻の特権なんだろう。
「ヘーゼル王女、街は楽しかったか?」
「ええ、とても」
城下町はとても賑やかで歩くだけで楽しかったけれど、私は結局何も買わずに帰った。適切な武器がなかったからだ。
背が高いビザステリオ様からのキスは降り注ぐように落ちてくる。
「欲しいものが見つからなかったんだって?」
「え、ええ、そうなの」
グレネードランチャー別名ロケットランチャーはありませんでした。異世界だからワンチャンあるかと思ったけれど、なかった。国をやっつけるために使うといったら絶対お叱りを受けるため私は明後日の方向を見た。
「ヘーゼルは服にも宝石にも興味がないからな」
「興味がないわけではないのですが、必要な分はありますし」
耽美な甘い雰囲気になれつつある私はビザステリオ様にピッタリとくっついた。温かいな。こういう時だけ、ビザステリオ様が絵画などではなく一人の人間なんだと実感する。ビクッとしてからそっと身体に手を回してくるビザステリオ様は優しい夫だ。
「ヘーゼル、愛しているよ。信じてくれ。例え離れることがあったとしても、俺にはヘーゼルだけだ」
離れることを知っているかのようなビザステリオ様は何度も頬をくっつけて愛を囁いた。
やってしまえば結婚できると豪語していたビザステリオ様だったが、そうでもなかったということなのだろう。
まぁ嫁ぐ予定もなかったから、このまま宙ぶらりんな立場にいるのも美味しいかもしれない。私は特に事態が深刻だとは思わずにビザステリオ様の実用的な胸板でも触ろうかと手を伸ばした。
「ところで、ヘーゼル。美と愛の神から聞いたのだが……、避妊しているんだな」
……美と愛の神が健康の神から聞いたのか。チッ。赤ちゃんができることをしている相手に秘密がバレたらしい。隠すつもりはないけれど、積極的に話す必要もなかった。
「別にビザステリオ様が嫌で私は健康の神に頼んで避妊しているのではなく、生理を止めた方が健康だから避妊になっているんです」
「そうか……。俺が嫌なわけではないのだな」
「ビザステリオ様はいやではないですけど、妊娠はしたくはないですね」
男はだせば終わりかもしれないけれど、女性はそういうわけではない。妊娠しないとわかっているから楽しめていることもある。ビザステリオ様が子どもが欲しいのだろうとは気がついていたけれど、私はまだそういう気分になれないでいた。
「ヘーゼル……」
ビザステリオ様が鏡を見れば私が嫌なわけがないとわかると思いますけど。私は半目で睨んだ。
「美と愛の神に、ヘーゼルを妊娠させるように頼んだ」
「なんですって」
健康の神は何も考えてなさそうだから美と愛の神に負けそう……! 孕んでしまうじゃないか。
「美と愛の神には……、それは愛の解釈違いだからできないと断られた。しかし、健康の神は、もしヘーゼルが本当に欲しくってたまらなくなったら排卵するようにしよう、と約束してくれた」
「ちょっとまってください。本人と関係ないところで排卵約束するのって酷いと思います! 大体何が欲しくなるんですか!」
健康の神! なぜビザステリオ様と話をしているの! あの健康王国守護神なだけある! 糞ムカつく!
「健康の神に認められるように今夜から頑張ることにしよう……」
「ひぇっ」
ちょっと待ってください。健康の神のその条件、かなりフワッとしてて回避しにくい!
こうして、私はビザステリオ様に頑張られた。
「ヘーゼル、俺はヘーゼルとの子どもが欲しいよ」
その顔でねだられると困ってしまう。
「ヘーゼルと別れるなんてありえない」
「うあああん……」
後ろからの方が妊娠しやすいとか口走ってビザステリオ様は後ろからなさった。
(排卵しちゃいそう……!)
普段と違うところに当たって唇を噛んだ私に後ろからキスしてくる夫は美貌の主で。その子どもとなればそれは可愛いだろうとは思うのだけど!
「お願いだ、ヘーゼル……」
切ない美声が排卵を促してくる。いや、ないから。まだ、そんなの。私はなんとかやり過ごしたけれど、絶頂はした。
「できないかな……?」
お腹にキスしてくるビザステリオ様の憂いを払いたい、と思ったりもするけれど、私にはまだやることが……。
護衛騎士が朝から恥じらっているが近寄って話しかけてきた。
「ヘーゼル様、あの実はお渡ししたいものがあって」
護衛騎士のリオネルがもじもじしながら包みを渡してくる。貢ぎ物か。
「これ、私からのプレゼントです。あまりにお似合いだったので」
頬を赤らめて鞭を渡してこないでくれ。
床を叩いてみせたら、ものすごく嬉しそうだった。
「ヘーゼル王女、街は楽しかったか?」
「ええ、とても」
城下町はとても賑やかで歩くだけで楽しかったけれど、私は結局何も買わずに帰った。適切な武器がなかったからだ。
背が高いビザステリオ様からのキスは降り注ぐように落ちてくる。
「欲しいものが見つからなかったんだって?」
「え、ええ、そうなの」
グレネードランチャー別名ロケットランチャーはありませんでした。異世界だからワンチャンあるかと思ったけれど、なかった。国をやっつけるために使うといったら絶対お叱りを受けるため私は明後日の方向を見た。
「ヘーゼルは服にも宝石にも興味がないからな」
「興味がないわけではないのですが、必要な分はありますし」
耽美な甘い雰囲気になれつつある私はビザステリオ様にピッタリとくっついた。温かいな。こういう時だけ、ビザステリオ様が絵画などではなく一人の人間なんだと実感する。ビクッとしてからそっと身体に手を回してくるビザステリオ様は優しい夫だ。
「ヘーゼル、愛しているよ。信じてくれ。例え離れることがあったとしても、俺にはヘーゼルだけだ」
離れることを知っているかのようなビザステリオ様は何度も頬をくっつけて愛を囁いた。
やってしまえば結婚できると豪語していたビザステリオ様だったが、そうでもなかったということなのだろう。
まぁ嫁ぐ予定もなかったから、このまま宙ぶらりんな立場にいるのも美味しいかもしれない。私は特に事態が深刻だとは思わずにビザステリオ様の実用的な胸板でも触ろうかと手を伸ばした。
「ところで、ヘーゼル。美と愛の神から聞いたのだが……、避妊しているんだな」
……美と愛の神が健康の神から聞いたのか。チッ。赤ちゃんができることをしている相手に秘密がバレたらしい。隠すつもりはないけれど、積極的に話す必要もなかった。
「別にビザステリオ様が嫌で私は健康の神に頼んで避妊しているのではなく、生理を止めた方が健康だから避妊になっているんです」
「そうか……。俺が嫌なわけではないのだな」
「ビザステリオ様はいやではないですけど、妊娠はしたくはないですね」
男はだせば終わりかもしれないけれど、女性はそういうわけではない。妊娠しないとわかっているから楽しめていることもある。ビザステリオ様が子どもが欲しいのだろうとは気がついていたけれど、私はまだそういう気分になれないでいた。
「ヘーゼル……」
ビザステリオ様が鏡を見れば私が嫌なわけがないとわかると思いますけど。私は半目で睨んだ。
「美と愛の神に、ヘーゼルを妊娠させるように頼んだ」
「なんですって」
健康の神は何も考えてなさそうだから美と愛の神に負けそう……! 孕んでしまうじゃないか。
「美と愛の神には……、それは愛の解釈違いだからできないと断られた。しかし、健康の神は、もしヘーゼルが本当に欲しくってたまらなくなったら排卵するようにしよう、と約束してくれた」
「ちょっとまってください。本人と関係ないところで排卵約束するのって酷いと思います! 大体何が欲しくなるんですか!」
健康の神! なぜビザステリオ様と話をしているの! あの健康王国守護神なだけある! 糞ムカつく!
「健康の神に認められるように今夜から頑張ることにしよう……」
「ひぇっ」
ちょっと待ってください。健康の神のその条件、かなりフワッとしてて回避しにくい!
こうして、私はビザステリオ様に頑張られた。
「ヘーゼル、俺はヘーゼルとの子どもが欲しいよ」
その顔でねだられると困ってしまう。
「ヘーゼルと別れるなんてありえない」
「うあああん……」
後ろからの方が妊娠しやすいとか口走ってビザステリオ様は後ろからなさった。
(排卵しちゃいそう……!)
普段と違うところに当たって唇を噛んだ私に後ろからキスしてくる夫は美貌の主で。その子どもとなればそれは可愛いだろうとは思うのだけど!
「お願いだ、ヘーゼル……」
切ない美声が排卵を促してくる。いや、ないから。まだ、そんなの。私はなんとかやり過ごしたけれど、絶頂はした。
「できないかな……?」
お腹にキスしてくるビザステリオ様の憂いを払いたい、と思ったりもするけれど、私にはまだやることが……。
護衛騎士が朝から恥じらっているが近寄って話しかけてきた。
「ヘーゼル様、あの実はお渡ししたいものがあって」
護衛騎士のリオネルがもじもじしながら包みを渡してくる。貢ぎ物か。
「これ、私からのプレゼントです。あまりにお似合いだったので」
頬を赤らめて鞭を渡してこないでくれ。
床を叩いてみせたら、ものすごく嬉しそうだった。
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