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★11もう止めないで・・・

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ど、どうしよう。
やっぱり怒らせてしまったかしら。

重苦しい沈黙を破ったのは、陛下だった。

「すまなかった、グレイス」

そう言いながら、私のドレスの襟を直し、背中のボタンを止める。

「君の気持ちも聞かずにすまない。
落ち着いたら出るといい。僕は先に行くから」

陛下はベッドを降り、服の乱れを直すと、ドアの方へ向かって歩き出した。

・・・いいの?
このまま行かせてしまって。

私・・・私、こんな結末を望んだんじゃない。

だって、私・・・ずっとこの人に触れたかった・・・!

「待って!
お願い、待って・・・リチャード、様!」

考えるより先に身体が動いた。
彼の後ろ姿に飛びつき、思い切りしがみつく。

「グレイス?!」

歩みが止まり、彼は驚いたような顔をして振り返った。

「私、私、初めてで。
どうしていいかわからなくて。
でも、でもっ、イヤなわけじゃないんですっ!ただ、恥ずかしくて。それに、それにファティマ様のことも・・・」

「グレイス」

「だっ、だから行かないでください!
だから、だからっ」

「グレイス。グレイス、落ち着いて」

気がつくと彼は、私の方に向き直り、宥めるように優しく背を撫でている。

「もっ、申し訳ありません、私ったら・・・」

「いや、謝るのは僕のほうだ。不安にさせてしまったね。」

彼は優しく私の手をほどくと、ベッドに座らせ、私の前に跪いた。

「君を置き去りにするつもりはなかったんだ。
このままいたら、自分を止める自信がなかったから」


私の手を取って口付けすると、私の瞳をまっすぐに見つめ、静かに言葉を紡ぎ出す。

「愛している、グレイス」

うそ・・・。

「何度でも言おう。愛してる、グレイス」

「だって・・・ファティマ様は?」

「皇女は、祖国特産のワインを持ってきてくれただけなんだ。気に入れば輸入してほしいと。あの部屋には、秘書官や大臣たちもいたよ」

「・・・ほ、ほんとうに?」

「そうだ。僕が愛しているのは君だ。
だから君も言ってくれ。
僕を愛してると」

コバルトグリーンの瞳には、静かな情熱の炎が揺れている。

彼のこの瞳に見つめられて、抗える女がいるかしら・・・。

「・・・ています」

「なに?」

「・・・愛しています、リチャード様。
だから・・・私に触れてください」

「グレイス!ああ、グレイス!」


再びベッドに押し倒され、激しくキスをされた。

彼の吐息が熱い。
思わず声を漏らすと、わずかに開いた唇の隙間から舌が侵入してくる。

「ん、んんっ」

彼の唇は頬を移動し、そのまま首筋に舌を這わされる。
恐れにも似た快感に貫かれて、私は思わず彼にしがみついた。

くすぐったいような、震えるような感覚が身体を走る。

「かわいいよ、グレイス。
このまま・・・続けていいかい?」

私はコクリ、と頷く。

彼の瞳が熱を帯びた。

なんて美しいの・・・。


「もう止まらないよ」

彼の手が私の背中に滑り込み、ボタンを外し始めた。
ゆっくりとドレスが引き降ろされ、シュミーズ姿になる。

彼は肩紐ごと肌に口付けすると、胸を覆う下着のホックを外し、シュミーズと一緒にそっと引き下ろす。

胸のふくらみが露わになった。
私は恥ずかしさに目を瞑る。

「きれいだ・・・」

彼の手が胸に触れたかと思うと、その頂に激しく吸い付かれる。

「ああっ」

何これっ、こんなの知らない・・・っ!
甘い痛みにも似た感覚が身体の隅々まで支配する。

手で胸を揉みしだかれ、舌先で頂を転がされて、もう何も考えられなくなった。

「あぁんっ」

彼の息遣いも激しくなる。
かと思うと、彼の片手が秘部を覆う下着へと伸びて、中に滑り込んだ。

やっやだ、そんなとこっ、恥ずかしい・・・。

「大丈夫だ、僕に任せて」

彼は耳元で優しく言うと、一気に下着を引き下ろす。

「ひあぁっ」

彼の指が敏感な突起にあたり、優しく蹂躙し始めた。
胸の頂と秘部の突起を同時に刺激されて、
甘い痺れが何度も、身体を駆け抜ける。

「うれしいよ、グレイス」

彼はそういうと、彼自身のシャツのボタンを外し、一気に脱ぎ捨てた。

逞しい肩、しなやかな腕、鍛えられた胸。
精悍で野生的で、まるで、甘い毒のような・・・。

彼が一糸纏わぬ姿になると、あまりの眩しさに、私は再び目を瞑る。

彼は私に覆い被さると、胸を優しく揉みしだき、手は再び秘部へと伸びた。
片手で胸の頂を転がしながら、舌を激しく首筋に這わせ、ときに耳たぶを甘噛みする。

「やぁあんっ」

3箇所を同時に刺激されて、わけがわからなくなり、官能の激しい波に飲み込まれそうになる。
秘部を掻き回す指が激しさを増し、彼の指も私自身も熱を帯びている。そして、痛みにも似た、けれど甘い感覚が身体を駆け抜けて・・・。

身体の奥で何かが弾けた。
宇宙の深遠に落ちたかのようなー。



「グレイス、グレイス・・・」

どのくらいの時間が経ったのだろう。
彼の声に引き戻される。

「グレイス、僕も君を感じたい」

額は汗ばみ、瞳は潤んでいる。
彼は私の脚の間に割り入ると、私の両膝を抱えた。

ああ、ついに・・・。

でも、でもやっぱり怖い。
私初めてだもの、怖い・・・

「大丈夫、力をぬいて」

そう優しく、けれど熱のこもった声で言うと、ゆっくりと、私の中に押し入ってきた。

「あっ、あぁっ」

今までに感じたことのない、甘やかな痛みが身体を突き抜ける。

「グレイス、あぁ、すごいっ、グレイス」

彼が激しく唇に吸い付いてきた。

「んん、ふぅっ」

私はたまらず、両腕を彼の首に巻きつける。
身体はぴったりと重なり、彼は熱にうかされるように、耳元で何度も私の名を呼ぶ。

「グレイス、ああぁ、グレイス・・・グレイス・・・」

吐息が熱い。
彼の背はぐっしょりと汗に濡れ、腰の動きが激しくなった。

「リチャードさま、リチャードさまぁっ!」

私も何度、彼の名前を叫んだだろう。

「もうダメだ・・・いくよ、グレイス」

彼は身体を起こすと、両手で私の腰を掴んでいっそう深く私の中に入り込み、激しく腰を打ちつけ始めた。
腰を掴む手が、そして何より彼自身が、燃えるように熱い。

「やっ、激しいっ、
リチャードさまぁっ・・・」

彼の首筋から汗が滴って、私の上で弾けてー。

彼は、獣にも似た短い雄叫びを上げたかと思うと、二、三度全身を痙攣させ、私の上に突っ伏した。

はぁ、はあ、はぁ・・・。

互いの鼓動が混ざり合う。
呼吸が溶け合う。

私たちはそのまま、長いこと重なり合って、お互いを感じていた。
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