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死亡フラグに対抗するための第二幕

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「以上がこれから私達の動きよ、質問はある?」

 そう言ってからみんなの顔を見回す。

「エリー、順序は分かったし異論はないけど、その意図を教えてくれないかな?」

 そうカリウスが問いかけてくる。

 それに対して他の皆も頷いている。

 まぁそれも当然か、私も彼らと同じ立場だったらそうするから。

 普通知らないハズの知識から引き出している事だからね。

「勿論よ、先ず最初に行く事にした私の故郷の公爵領だけど、二つの意味があるわ」

 そうして私は順序を書き記した黒板に向かう。

 今更なんだけどこの世界にも黒板ってあるんだなってこの部屋に入ったときには関心したんだよね。

 あれの起源って千六百年代だったような事を聞いたことがあるから、考えてみればこのくらいの文化水準ならあってもおかしくないのよね。

 それはさておき、私はこれからの動きを黒板に順に書いていく。

 公爵領を先頭に小鬼の部族、祈祷師の部族、海の部族、鬼の部族だ。

 そしてそれぞれの場所の特徴を横に書いていく。

 カスタード公爵領――エリーの出身地
 甘そうな名前とは裏腹に武闘派の王弟が興した家の為、魔族国との国境に面する広大な領地を有する。
 本来なら辺境伯が治める場所であるが、血筋の関係で公爵領となっている。
 その立地と家柄から辺境公という呼び名が定着している。
 当主はエリーの祖父であるアルバートで領地の内政のために息子のアドルフを奔走させながら辣腕を振るう。
 領内は様々な物品を産出しており、国内の流通に大きな影響を持つ。
 また一部が海接している。
 広すぎて寄り子を使っても管理しきれないところがあり、人材の育成を急務としてあげている。
 広大な中に迷宮都市といわれる都市があり、ダンジョンを攻略する冒険者が集っている場所もある。
 逸れダンジョンも多数。


 小鬼の郷――器用なゴブリンの住む郷
 場所は魔王城から馬車で東に八日程進んだ森の中にある。
 辿り着くには小鬼族の案内を雇うのが一番安全である。
 正規ルート以外は人間がかかるような罠が五万としかけられており奇襲を行う事は困難。
 また正規ルートも号令ひとつでとんでもない道になる。
 種族特性上戦闘方法はすばしっこくトリッキー。
 族長はオネエのアルド、カリウスには触れさせない、絶対に潰す……

「えっと……エリー?」

「ん?どうしたの?」

 困った顔でカリウスが口を開く、質問かしら?笑顔で問いかける。

「この最後の一文は……」

「気にしないで?」

「いやこの「気にしないで?」はい……」

 いい子はいらない事は気にしなくていいからね。

 笑顔で言い聞かせたら分かってくれたみたいでよかった。

「他に質問もなさそうだから次書くね」

 そう言って板書を続ける。

 祈祷師の郷――魔法に長けた一族の住む郷、弓も得意
 場所は小鬼の郷から森を二日程歩いた場所にある。
 別ルートとしては小鬼の郷のある森に入る前に南下して回りこんでいくというルートがある。
 器用な小鬼族と協力することで魔道具を生産している。
 その特性上森をつっきるルートと外から回るルートの二つに正規ルートを設けており、その辺りは小鬼族同様になっている。
 戦闘方法は弓と魔法を駆使して弾幕を派って近寄らせずに完封するスタイル。
 族長はルード、イケメン滅ぶべし……

「エリー、最後の……」

「気にしないで?」

「……はい」

 心の中があふれ出してたけど気にしない!

「他にないみたいだから次いくね」

 海の部族の郷――水中での行動が得意な部族が住む郷、海に面している。
 場所は小鬼の郷の更に東、森を三日、平原を五日ほど進んだ先にある。
 水系統の魔法に関しては祈祷師を上回る。
 その特性上出島のような形の都市を築いている。
 侵略者は渡る時に左右から魔法の雨あられを浴びせられる。
 土属性も良く使い、水中での動きも速い為彼らに水中で勝つのは並大抵の事では不可能。
 族長はマリンさん、カリウスの二人目のお母さん!認められないと!

「えっと、エリー?」

「マリンさんとは私がお話するね?」

「えっと、お願いするね?」

「任せて!」

 周りの面々は黙々と書き写しているところでやっぱりカリウスは優秀だなぁ。

 写しも綺麗だし!

 写し終わったところを見計らって全員にアイコンタクトをとって質問がない事を確認。

 さあ!ここからが大変な相手だぞっと!

 鬼の部族の郷――成人男子の平均身長二百五十センチ程になる巨大な鬼の部族の郷
 場所は小鬼の郷を北に七日程進んだところある山脈の麓になる。
 魔法は使わず身体強化をメインで肉弾戦で相手を圧倒する戦闘を得意とする。
 攻防問わずに物理攻撃には隙が少なく、身体も硬い。
 族長はオグマ、パワー以外にスピードと技もある為物理的なところではほぼ隙がない。
 魔族の中では一番の強敵。

「難しいね」

「そうね、中々に難しい相手よ」

「勝てるかな?」

「大丈夫、私を信じて」

「勿論!」

 そう言って頷くカリウスに微笑みかける。

 絶対にこの難敵も仲間に引き入れてみせる。

 私達の未来のために!
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みんなの感想(1件)

ココナツ信玄

おにいちゃん頑張って!
面白いです。更新まってます!

解除

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