猫の手は借りたくない

ミャア

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狂信するは美味しいチキン その1

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まだ日の出る少し前の、ギリギリ夜と呼んでも良い時間。

「ふっふっふっふ……」
ローブを着たその者は街全体が見渡せる丘で一人笑っていた。

いや、正確には一人では無いのだが、その者の傍に居る者は、その者の行動に興味無いのか無反応のままただただ前を見つめていた。

「ああ、嗚呼、アア! 遂に、遂にこの時がやって来ましたよ師匠!!」
バッ、とローブを翻してその者は言う。

「信仰、認知、偶像崇拝!! この場所で、この街で! アナタは輝く唯一無二存在となるのです!! わかりますか師匠!!」
その者は傍にいた者、どうやら師匠と呼ばれている者に話しかける。

しかし、師匠と呼ばれた者は相変わらずの無反応。

「えぇ、えぇ!! アナタもそう思いますよね! そうですよね!!」
返しを貰ったようにその者は話しを続ける。

「わたしはやらなければならないのです! 彼の創造主、デウス・エクス・マキナの命により、このわたしの名により! やらなくてはならないいや! やるべきなのです!!」
一人テンションを上げまくりそう言う。

「狂信、狂気ファナティック!! その感情こそが世界に必要な物で! それを我々は世間に伝えなければなりません!!」
と、その者は師匠と呼んだ者の方を向いて、
「その為には、アナタに見せしめ、偶像アイドルをして貰わなければなりません、分かりますね?」

ひょい、と師匠を抱いて、ずっとあなぬ方向を向いていた師匠の目線をこっちに向かせて言う。

「フール、愚者、けれどアナタはザ・ワールド。世界を変える愚かな存在です」
そう師匠に暗示するかのように言って、優しく降ろしてあげる。

「アナタの門出を祝しましょう! わたしはアナタを信じましょう!! わたしはアナタの#狂信者__ファナティック_#!!」
ギュっと自分の胸を掴んで言う。

「あぁ、それからもう一つ」
と、その者は師匠を降ろして言う。

「どうやらこの街にはわたしと同じようなファナティックな人達と、その者達が崇める者が居るようです」
再び大げさにバッとマントを翻す。

「あぁ、嗚呼っ!! 異端、異見な者がわたし以外にも居たとは!! 歓喜、奇跡、正しくデウス・エクス・マキナの思し召しでしょう!
デウス・エクス・マキナは言っておられるのです! その者を見てファナティックに成れと!!」

と、その者がテンションを上げていると、

「……おっと、そろそろ日の出ですね」
段々と空の色が明るくなる事に気付き言う。

「では、行きましょうか師匠。アナタの一声で、我が神へ捧げる冒険譚の門出と行きましょう!!」
その者が声を大きく叫ぶと同時に、太陽が山奥から顔を出す。

そして、それを街に告げるかのように……
『コケコッコー!』
と、師匠と呼ばれな者は鳴いたのであった。
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