20 / 27
色々(etc)振り回される猫 その9
しおりを挟む
「けほっ、けほっ……」
「だ、大丈夫?」
森の奥深くにまで来たところ、エトラが咳込んだのを見て未夜が心配そうに声を掛ける。
「だ、大丈夫……」
とは言う物の、エトラの声は少し掠れていた。
無理も無い、森の中での戦闘は全てエトラが担当していたのだ。
そしてエトラの攻撃方法は超音……歌声のみだ。
ここまでで相当声を使ったであろう。
「はい、水。ワタシ結構準備は良い方だから」
「あ、ありがとー……」
未夜から水を受け取りごくごくとエトラは飲み干す。
「それにしても、ホントに居ないなー。探してる子も、ここを荒らしてるって言うモンスターも」
「ぷはぁ…… って言っても、ところどころ木が壊れてたりしてたよねー」
エトラの言う通り、確かに何か大きなものが通った形跡はちらほらあった。
……これは初心者でもわかる事、だよ、ね? 本当にエトラが初心者冒険者かどうかを疑う未夜。
もしかしたら実はエトラはベテラン冒険者で、試験ダンジョンをしなくて良かったのはその為なのかも知れない。
まだまだこの世界で知らない事が多いので、未夜は他のギルドに来たら登録か何かしないといけないのだろうと勝手に予想する。
「と言うか、ワタシ居る? マジでこいつ一人で良いんじゃないか状態なんだけど」
「いやー、流石にこの私だけだと何かあった時いけないしー」
「何かあった時用、ね……」
そう言えば自分のチーム、猫の見えざる手、略して猫の手でも奥の手、何かあった時用の扱いだったよね……
「……ワタシ、凄い強スキル持ち何だよね?」
もっとワタシを使って欲しいなー……
そんなこんな、二人が歩いていると、
「ん? エトラちゃんタイム」
「何か聞こえたー?」
二人は立ち止まり、未夜は耳を澄ます。
「これは…… 声? うん、声だ。女の子の声だ!」
「ホ、ホントー!?」
「うん、ホント」
未夜は猫耳を左右に揺らす。
「方角は…… えっと、東西南北分かんないや…… とりあえずこっちの方。それから声的に、うん10歳くらいかも知れない。
これはほぼワタシらが捜している子だね」
「よ、よーし! 待っててねエクトラー!!」
未夜が指差した方向にエトラが走ろうとしたその時……
「っ!? エトラちゃんストップ!!」
それを未夜が静止する。
「ど、どうしたのさー!」
「……あ、これヤバい」
耳を澄ませていた未夜が青ざめる。
「めっさ大きな音がする」
「えー?」
未夜がそう言ったその直後、
ズドン、ズドン……
後ろから大きな足音と振動が。
「「………………」」
一斉に黙る二人。
その大きな足音は、だんだんと近付き、やがて二人の近くで止まった。
「……………エトラちゃん」
「……………うーん」
未夜とエトラはお互いに見やり、
「さんにーいちで行くよ? せーの、さん、にー、いち」
バッ、と二人は振り向き、エトラは敵を視認するよりも前に、
「raaaaaaaa--------ッッ!!」
先手必勝とばかりにエトラの声、『ブレイクスルーヴォイス』を放ったのであった。
「だ、大丈夫?」
森の奥深くにまで来たところ、エトラが咳込んだのを見て未夜が心配そうに声を掛ける。
「だ、大丈夫……」
とは言う物の、エトラの声は少し掠れていた。
無理も無い、森の中での戦闘は全てエトラが担当していたのだ。
そしてエトラの攻撃方法は超音……歌声のみだ。
ここまでで相当声を使ったであろう。
「はい、水。ワタシ結構準備は良い方だから」
「あ、ありがとー……」
未夜から水を受け取りごくごくとエトラは飲み干す。
「それにしても、ホントに居ないなー。探してる子も、ここを荒らしてるって言うモンスターも」
「ぷはぁ…… って言っても、ところどころ木が壊れてたりしてたよねー」
エトラの言う通り、確かに何か大きなものが通った形跡はちらほらあった。
……これは初心者でもわかる事、だよ、ね? 本当にエトラが初心者冒険者かどうかを疑う未夜。
もしかしたら実はエトラはベテラン冒険者で、試験ダンジョンをしなくて良かったのはその為なのかも知れない。
まだまだこの世界で知らない事が多いので、未夜は他のギルドに来たら登録か何かしないといけないのだろうと勝手に予想する。
「と言うか、ワタシ居る? マジでこいつ一人で良いんじゃないか状態なんだけど」
「いやー、流石にこの私だけだと何かあった時いけないしー」
「何かあった時用、ね……」
そう言えば自分のチーム、猫の見えざる手、略して猫の手でも奥の手、何かあった時用の扱いだったよね……
「……ワタシ、凄い強スキル持ち何だよね?」
もっとワタシを使って欲しいなー……
そんなこんな、二人が歩いていると、
「ん? エトラちゃんタイム」
「何か聞こえたー?」
二人は立ち止まり、未夜は耳を澄ます。
「これは…… 声? うん、声だ。女の子の声だ!」
「ホ、ホントー!?」
「うん、ホント」
未夜は猫耳を左右に揺らす。
「方角は…… えっと、東西南北分かんないや…… とりあえずこっちの方。それから声的に、うん10歳くらいかも知れない。
これはほぼワタシらが捜している子だね」
「よ、よーし! 待っててねエクトラー!!」
未夜が指差した方向にエトラが走ろうとしたその時……
「っ!? エトラちゃんストップ!!」
それを未夜が静止する。
「ど、どうしたのさー!」
「……あ、これヤバい」
耳を澄ませていた未夜が青ざめる。
「めっさ大きな音がする」
「えー?」
未夜がそう言ったその直後、
ズドン、ズドン……
後ろから大きな足音と振動が。
「「………………」」
一斉に黙る二人。
その大きな足音は、だんだんと近付き、やがて二人の近くで止まった。
「……………エトラちゃん」
「……………うーん」
未夜とエトラはお互いに見やり、
「さんにーいちで行くよ? せーの、さん、にー、いち」
バッ、と二人は振り向き、エトラは敵を視認するよりも前に、
「raaaaaaaa--------ッッ!!」
先手必勝とばかりにエトラの声、『ブレイクスルーヴォイス』を放ったのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな
朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。
!逆転チートな婚約破棄劇場!
!王宮、そして誰も居なくなった!
!国が滅んだ?私のせい?しらんがな!
18話で完結
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語
京衛武百十
ファンタジー
<メイトギア>と呼ばれる人型ホームヘルパーロボット<タリアP55SI>は、旧式化したことでオーナーが最新の後継機に買い換えたため、データのすべてを新しい機体に引継ぎ、役目を終え、再資源化を迎えるだけになっていた。
なのに、彼女が次に起動した時にいたのは、まったく記憶にない中世ヨーロッパを思わせる世界だった。
要人警護にも使われるタリアP55SIは、その世界において、ありとあらゆるものを凌駕するスーパーパワーの持ち主。<魔法>と呼ばれる超常の力さえ、それが発動する前に動けて、生物には非常に強力な影響を与えるスタンすらロボットであるがゆえに効果がなく、彼女の前にはただ面倒臭いだけの大道芸に過ぎなかった。
<ロボット>というものを知らないその世界の人々は彼女を<救世主>を崇め、自分達を脅かす<魔物の王>の討伐を願うのであった。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる