猫の手は借りたくない

ミャア

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結成?「猫の見えざる手」 その3

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「今日はくとぅるふが何かと絡んで来てね、お陰で体中がぬるぬるになっちゃって」

「ぬるぬる……」
そう反応したのは未夜であった。
中々に興味深々そうに二つの尻尾を揺らす。

「しょうが無いからくとぅるふに付き合って沢山運動して来たからぬるぬるな上に結構汗掻いちゃって……
でもいい運動になったよ、一杯汗を掻けてキモチ良かったよ」

「ほう! その運動とは秘儀三毛猫ガード」

「エッ?」
唐突に未夜に首根っこを掴まれるミケ。
そしてミケが何か言うよりも早く、

「イッタイ何っ、クロネコーーーっ!!(猫の種類)」
ザシュッ! と未夜の代わりにアカネに切られたミケ。

ミケ『死亡』

「流石に当てに来るのはどうかと思いますよアカネさん……」

「ふん、主が悪いんじゃ」
未夜に真剣で当てようとしたことに悪びれもしないアカネ。正確にはミケに当たったのだが。

「ト言うかご主人!! ボクをタテにするってドウユウ事ですか!!」
そしてすぐ復活を果たした『不死身』スキル持ちのミケ。

皆それは分かっていた事だが……
「いやー、ごめんね。ちょっと罪悪感じてるから許して?」
手を合わせてそう謝る未夜。

未夜は何処かミケが無条件に死んでしまうのに少し嫌悪感を抱いているようで、ちょこちょこミケを乱暴に扱う物の後で謝ってくれる未夜。

それに対して……
「ほらアカネちゃんも」

「未夜が盾にしたのが悪いんじゃろ」
逆にミケに致死量の攻撃をしても謝らないどころか悪びれすらしないアカネ。

「もう、アカネちゃん」

「イエイエ良いのですよロスト殿」
それを咎めようとするロストをなだめるのは意外にもミケ自身であった。

「ドノ道死なないのデスカラ、それに悪いのはご主人デスカラ」
そしてミケは未夜の方を向き、こそっ と。

「ご主人、ワカッテマスね?(ボソッ」

「任せといて(ボソッ」

「ん? 二人何言ってるの?」

「「何でも?」」
とぼける未夜とミケ二人。

「と言うか未夜! ロストの前でそうゆう事を言うのは流石に止めてくれぬか!」

「ワタシ何も言ってないですよー」
そして今度は未夜とアカネの言い争いが始まる。

「世の中はそうゆうので成り立ってるんだよ? と言うか少しくらいはそうゆうの教えたらロストちゃんがくとぅるふから離れるかも知れないよ?」

「それ逆にハマってしまうヤツじゃろ!!」

「……仲良いねー」
それをほのぼのとした表情で眺めるロスト。

「イエ、あれを仲が良いとイウのはちょっと……」
情操教育の話しで仲が良いと言うのは何だか誤解を生みそうなんですが……

尚も言い争いをする未夜とアカネと、内容を理解していないほのぼの顔のロストを見て、何だか複雑な気分になったミケであった。


「アノ、そろそろ本題にハイリませんか?」

「む、そうじゃの……」
ミケが間に入ってようやく言い争いを止めるアカネと未夜。

「それで、何の話しをしてたの? 何かワタシの話しをしてたっぽいけど」

「ご主人とイウヨリ、全員のハナシ何ですが…… ロスト殿を救出したアトにボクらみんなで合同パーティとして冒険シタではナイですか?」

「そうだね。いやーアカネちゃんにフレクションかけるのたの…… 分かった、分かったから、もう言わないから剣に手を掛けるのヤメテ」
アカネが剣を取り出そうとしたところを察して、未夜はアカネから距離を取りながらそう言う

流石に一回目がガチ切りだった事もあってまた剣を振らせるのは危ないと考えたのだろう。

「ホントに何度もひどい目にあったのじゃ……」
未夜にフレクションを掛けられて、その時のデバフの事を思い出してか嫌な顔をするアカネ。

「声が甘えた感じの声になるなるデバフは中々面白かったよ。古風なその口調とまるで可愛い妹のような声のミックスは中々に萌えたよ」

(回想)
『な、何なのじゃこれぇっ?(甘え声) ミケェ、わっちの声どうなってるんじゃぁ?(少し目をうるっとさせながら)』

「うるさいぞ」
ガルル、と唸り声を上げながらアカネは言う。

「コホン……」
また言い争いが始まりそうな気がしたので、ミケが咳払い一つ話を続ける。

「ソレデですね、これはボクからの提案ナノですが、この際オナジ仲間、パーティとして一緒にイマセンカと思いまして」

「おー、確かに四人いるし、そっちの方がカッコイイしね」
ロストは納得したように声をあげるが、未夜はイマイチピンと来ないようだった。

「それ何か意味あるの? 別に今のままでも変わらないと思うけど」

「マァ、確かにそこまでのヘンカは無いですね。ただその代わり、」

「その代わり?」
ミケはこの手の話しは未夜が好きそうだと思い少しニヤリと笑い、
「パーティの名前登録がデキマス」

基本的、冒険者のパーティと言うのは二人以上で成立するが、ギルド無いの規定で四人以上のパーティは名を付ける事が出来る。
勿論パーティ何て組まなくても、もしくは名など付けなくても大して問題は無いが、やはりパーティ名と言う響きは憧れる物がある。

「ソレニ今後一緒にクエスト攻略にイク事が多いのであればテツヅキも楽ですし、個人よりもパーティのホウが名の上がりがハヤイのデス。」

「おー! パーティ名かー! それは良いね!」

「だねだね、どうゆう名前にする?」
早速乗り気なロストと未夜。

だが、何だかアカネだけ乗り気では無いご様子。
「わちきはパーティ作るの嫌なのじゃが……」

「うーん、何て名前にしようかな?」

「ケモ耳三匹に僕っ子一人…… ハッ、け〇フレ!? パーティ名けも〇フレ〇ズか!?」

「良く分かんないけど凄そう!」

「よくワカラナイですがそのナマエはヤメタ方がイイとボクの勘が…… 」
ミケは苦笑いをした後、チラリとアカネの方を見る。

「わきちは嫌なのじゃが……」

「それよりリーダー! リーダー誰にしちゃう? ロストちゃん行ける?」

「うーん、僕はちょっとリーダーは無理かな……」
謙遜するように肩をすくめて言うロスト。
「僕あんまり誰かを引っ張るとかそうゆうの得意では無いし……」

「えー、くとぅるふ従えてんのに?」

「それとこれとは別だよ」

「アノー、オフタリ殿……」
アカネの尻尾がブワリと膨らんでいるのを見てミケは二人に声を掛けたのだが……

「お、まさかの三毛猫さんがリーダーに立候補ですか? うんうん、やっぱミケさんも男だねぇ、自分リーダーで仲間が女の子三人のハーレムパーティ! 夢あるよねやっぱ!」

「イ、イエ…… そうではナクテ……」

「ホントはワタシがリーダーしたかったがそうゆう事なら仕方が無い。 ハーレムは三毛猫の物だ! キミが主人公1だ!」

「ねぇ未夜、ハーレムってな……」

ガシャンッ! と大きな音を立ててテーブルの上に鞘に納められたままの剣が乱暴に置かれる。

「わちき、話すぞ?」

「は、はい」
完全に気圧されて、姿勢を正すロスト。

「さっきはワタシの事を無視した癖に自分の番になると怒るって…… はい、わかりましたハイ!」
アカネが再び剣の鞘に手を掛けて事で姿勢を正す未夜。

「………わきちはパーティ作るの嫌なのじゃが」
剣を腰に収めながらアカネは言う。
「正確にはこ奴と一緒に居るのが嫌なんじゃが!」

そう言って指差すのは、もちろん未夜だった。
「こやつわちき凄い嫌いなんじゃ! こやつと正式パーティ組んだら抜けるのが難しくなるじゃろ!」

「……色々言いたい事はあるけどひとまず、そうなの三毛猫?」

「エエ、何でも失踪タイサクらしいですよ」
パーティを組むと言う事は人が一か所に集まるという事で、人が一か所に複数人集まれば当然いざこざが起こるのは言うまでもない。

「パーティを組んだのはイイ物の、『あ、やっぱお前要らねぇわ抜けろ』とか言われてイキナリ戦力外通告がオコッタリする事が多く、それはまだ良いのデスガ、悪いトコロだとダンジョン深くにトリノコしてそのままカエッテ来れずに消息不明にナッタリする事もタタあったので……」

「うっわ闇ふか………」

歩合制報酬なのが冒険者なので、ついつい欲に駆られて身内切りする者が多かった為にこのような制度をギルドは儲けた。

四人パーティでダンジョン攻略行った後、三人で帰って来た場合、もう一人が居ないと報酬が得られない。
こうする事でちゃんと全員に報酬が配られるようにしている。

とは言う物の、中にはパーティ全員虐殺して『みんなモンスターにやられた』とか言って報酬を全部貰おうとする輩も居たりするのだが……

他にもイキナリパーティメンバーの一人が消えた時とかに発見を早くすると理由とかもあるのだが……
「マァ、そこまでキニする必要はナイデス。ヨウはパーティを離れズライと言う事です」

「成る程、その為にチーム全員の了承が無いといけないと。うん、それは分かった。それで……もう一つの疑問なんだけど……」
と、未夜はため息を付いて、
「そんなにワタシの事嫌いかアカネちゃん……」

「うむ嫌いじゃ。わちき主の事が嫌いじゃ」

「……………」

「大嫌いじゃ。ホントに嫌いじゃ」

「三回も言いやがったこの狼……」
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