彼の隣に私は似合わない

うさみ

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5月

計画通りとは

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ようやく覚悟を決めた恭介くんの隣に並び、サングラスを物色。



「どのキャラクターが好きなの?」


「特にないな。可愛すぎなければいい」


「じゃあ…こんなのは?」



見せるのはたくさんある中でも1番可愛いやつ。

特に私の趣味というわけではないのだが、いわゆるおふざけ。



「……へぇ、いいじゃん。俺が選ぼうと思ったこれより全然いいんじゃない?」



含みのある笑みとともに目の前に出されたのは、1番いいなと思っていたもの。



「えっ…と、やっぱり恭介くんが選んだほうがいいよ!自分で選んだものつけたいでしょ!」


「いや、俺なんかが選んだのを鈴乃につけてもらうの悪いからさ。ほら、もう1個とって。俺買ってくるからさぁ」



彼はきっとわかっててやっているのだろう。

もし仮にこのゴテゴテにかわいいものを2人でつけていても、私に無理を言われて渋々つけているのを装える。

そして私は彼氏に無理強いをする彼女…



「…ごめんなさい」


「わかればいい」



勝ち誇ったような笑みに少し苛立ちを覚える。

しかし嫌な気分ではない。こういう会話は仲が良くなっている気になるから。



「じゃあ俺買ってくるから」



そういう彼の手には2つのサングラス。



「待って、私自分で買うよ」


「いいってこれくらい。見せつけてやるんだろ?裕太もレジ並んでるみたいだから外にいる李雪と待ってろよ」



たしかにそうだけど、と思う間にさっさと行ってしまう。

恭介くんの前にいる裕太が持つのはふわふわなくまのお揃いのカチューシャ。

裕太と李雪にぴったりだな、なんて自分で思って落ち込む。



「鈴乃!」



出入り口の方から聞こえる李雪の声。

小走りで駆け寄る。



「鈴乃はなににしたの?私はカチューシャ!」


「…私はサングラス。恭介くんもつけやすいかなって」


「え?恭介が?」



明らかに困ったような李雪の表情。



「どうしたの?」


「えっとね、」




「鈴乃!李雪!」



遮るように声をかけてきたのは裕太。

そして隣にはなぜか困った表情の恭介くん。



「はい、じゃあ鈴乃にこれ!」



裕太から手渡されたのはさっき恭介くんが選んだサングラス。



「なんでこれ裕太が…?」



「なんでって、俺と鈴乃でこれつけるんだろ?」



急いで恭介くんを見やる。



「…俺と李雪がカチューシャで、裕太と鈴乃がサングラスつける…らしい」


「私はそのつもりで選んでたんだけど…恭介ごめんね、サングラスが良かった?」


「いや、俺は別に…」






計画通り…にはどうやら本日はいかないらしい。


いや、結局私も恭介くんもお互い好きな人とお揃いだからいいのか?



とにかく思う方向にはなかなか向かわない。
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