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精霊は滅多に人に姿を見せない。
しかし、精霊に近しい存在のエルフ・その血を引く種族の者は姿を見ることはできないものの存在を感じることはできるのだ。
黒曜の騎士団の宿舎でそんな本を見たことがある。
そんなことを思い出したのは、目の前にいる美しい青みがかった長い銀髪を持つ男性がいたからだった。
男性なのに精霊という言葉が似合うほど美しい造形を持つ顔、その動作も美しかった。
「目が覚めましたか…よかったです、首輪も無事に取り外せましたので安心してください。」
目が覚めて見つめすぎてしまい警戒していると勘違いさせてしまったようだ。
「だい、じょうぶです。あの、すみませんがここはどこなのでしょうか? あなたは誰ですか…」
久々に出した声は出し辛かったが、なるべく普通に返事ができた。
「すみません、紹介が遅れてしまいましたね。私は蒼玉の騎士団の団長、リエルと申します。そして、ここはセラム王国に支える4つの騎士団の一つ…蒼玉の騎士団の宿舎です。」
「騎士団の方ですか!すみません、黒曜の騎士団の宿舎はここから遠い場所にあるのでしょうか? …ウッ!!」
急に身体を起こすと、左脇腹が“ミシッ”という音を立て痛みが伴った。
「あぁ、ダメですよ!急に動いては。肋骨が数本折れていましたので…。右足は草木で傷ついてかぶれていました。ですが処置は完璧に施しましたので安心してください。」
「それと、黒曜の騎士団のことについてですが…あなたを見つけてすぐには思い出せなかったのですが、団員が言ってました。あなたが黒曜の騎士団の天使だと言われていた方ですね。 私はまだそちらの宿舎に行ってなかったので顔は見れていませんでしたが…他の騎士団の方々の噂になっていましたよ?むさ苦しい騎士団の宿舎に黒髪の天使がいるとね。」
「え゛?!それ、僕のこと…ですか?」
そんな話聞いたこともないし、というか天使って…綺麗な人に対して言う言葉じゃないのかな?
「フフッ、そうですよ? 誰でも一眼見たら分かります。こんなに可愛らしい方なのですから」
美しすぎるリオルさんの顔は一見冷たい印象を与えていたが、笑った瞬間の破壊力は凄まじかった。
「ウゥッ…/// リオルさんこそ、天使…というか妖精さんみたいに綺麗だと思います…。 僕なんかに天使なんて言葉、似合わないですよ」
自分にとって当然のことを言っただのだが、リオルさんは異なる捉え方をしてしまったようだった。
「この容姿を褒めてくださるのでしたら嬉しいです。 しかし、そんなに自分を卑下しないで下さい。今までどのように生きてきたのかは私には分かりません。 しかしこの世界では…いえ、私たちはそんなこと少しも思いません。むしろ悪い男に狙われてしまうほどですよ…そんなことは決してさせませんけれどね?」
それでも男の人限定なんだ……
少しというか、
男としては終わっている僕。
少し悲しい気持ちになった。
そんな様子を見てリエルさんは心配してくれたが、その優しさも辛い…
「そうです、話が逸れてしまいましたね…。 名前は…リョウくんですか。 異国の言葉のようですね…少し発音しにくく感じます。リオくんと呼ばせてもらっていいですか? それと黒曜の騎士団の方々ですが、リオくんの捜索をしているようでした。 数週間前から行方が分からなくなっていたと…皆さん心配しておられました。 ですが、安心してください。リオくんを保護したと連絡を入れておきました。」
「はい、リオで大丈夫ですよ! その呼び方は他の方々も難しいと言ってましたから…それとっ、ありがとう…ッございます……ッ」
お礼を言いながら僕は泣いていた。
この数週間…そんな短い時間だったなんて思えないほど長く感じた。
あの時、リエルさん達が見つけてくれなかったら…僕は本当に死んでいただろう。
しかし、この涙は死にそうになったことに対しての恐怖ではないような気がした。
この涙は…やっと自分のいたところに帰れるという安心感のようなものだと思う。
“アクィラさん心配してくれていたんだ“
彼が僕を気にしてくれて、捜索までしてくれたことに対して申し訳ないが…僕は嬉しく思ってしまった。
◇ ◇ ◇
その後僕は、疲れていたのか泣いてそのまま眠ってしまったようだ。
それほどに体力が落ちてしまったのだろう。
大きくなって恥ずかしい眠り方だ……
しかし、その日は久々に安心してぐっすりと眠れたような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
投稿が遅くなってしまい申し訳ありません…
また期間が空いてしまったので、抜けている設定などがあるかもしれません。
気になった方はコメントなどでご指摘お願いします。
しかし、精霊に近しい存在のエルフ・その血を引く種族の者は姿を見ることはできないものの存在を感じることはできるのだ。
黒曜の騎士団の宿舎でそんな本を見たことがある。
そんなことを思い出したのは、目の前にいる美しい青みがかった長い銀髪を持つ男性がいたからだった。
男性なのに精霊という言葉が似合うほど美しい造形を持つ顔、その動作も美しかった。
「目が覚めましたか…よかったです、首輪も無事に取り外せましたので安心してください。」
目が覚めて見つめすぎてしまい警戒していると勘違いさせてしまったようだ。
「だい、じょうぶです。あの、すみませんがここはどこなのでしょうか? あなたは誰ですか…」
久々に出した声は出し辛かったが、なるべく普通に返事ができた。
「すみません、紹介が遅れてしまいましたね。私は蒼玉の騎士団の団長、リエルと申します。そして、ここはセラム王国に支える4つの騎士団の一つ…蒼玉の騎士団の宿舎です。」
「騎士団の方ですか!すみません、黒曜の騎士団の宿舎はここから遠い場所にあるのでしょうか? …ウッ!!」
急に身体を起こすと、左脇腹が“ミシッ”という音を立て痛みが伴った。
「あぁ、ダメですよ!急に動いては。肋骨が数本折れていましたので…。右足は草木で傷ついてかぶれていました。ですが処置は完璧に施しましたので安心してください。」
「それと、黒曜の騎士団のことについてですが…あなたを見つけてすぐには思い出せなかったのですが、団員が言ってました。あなたが黒曜の騎士団の天使だと言われていた方ですね。 私はまだそちらの宿舎に行ってなかったので顔は見れていませんでしたが…他の騎士団の方々の噂になっていましたよ?むさ苦しい騎士団の宿舎に黒髪の天使がいるとね。」
「え゛?!それ、僕のこと…ですか?」
そんな話聞いたこともないし、というか天使って…綺麗な人に対して言う言葉じゃないのかな?
「フフッ、そうですよ? 誰でも一眼見たら分かります。こんなに可愛らしい方なのですから」
美しすぎるリオルさんの顔は一見冷たい印象を与えていたが、笑った瞬間の破壊力は凄まじかった。
「ウゥッ…/// リオルさんこそ、天使…というか妖精さんみたいに綺麗だと思います…。 僕なんかに天使なんて言葉、似合わないですよ」
自分にとって当然のことを言っただのだが、リオルさんは異なる捉え方をしてしまったようだった。
「この容姿を褒めてくださるのでしたら嬉しいです。 しかし、そんなに自分を卑下しないで下さい。今までどのように生きてきたのかは私には分かりません。 しかしこの世界では…いえ、私たちはそんなこと少しも思いません。むしろ悪い男に狙われてしまうほどですよ…そんなことは決してさせませんけれどね?」
それでも男の人限定なんだ……
少しというか、
男としては終わっている僕。
少し悲しい気持ちになった。
そんな様子を見てリエルさんは心配してくれたが、その優しさも辛い…
「そうです、話が逸れてしまいましたね…。 名前は…リョウくんですか。 異国の言葉のようですね…少し発音しにくく感じます。リオくんと呼ばせてもらっていいですか? それと黒曜の騎士団の方々ですが、リオくんの捜索をしているようでした。 数週間前から行方が分からなくなっていたと…皆さん心配しておられました。 ですが、安心してください。リオくんを保護したと連絡を入れておきました。」
「はい、リオで大丈夫ですよ! その呼び方は他の方々も難しいと言ってましたから…それとっ、ありがとう…ッございます……ッ」
お礼を言いながら僕は泣いていた。
この数週間…そんな短い時間だったなんて思えないほど長く感じた。
あの時、リエルさん達が見つけてくれなかったら…僕は本当に死んでいただろう。
しかし、この涙は死にそうになったことに対しての恐怖ではないような気がした。
この涙は…やっと自分のいたところに帰れるという安心感のようなものだと思う。
“アクィラさん心配してくれていたんだ“
彼が僕を気にしてくれて、捜索までしてくれたことに対して申し訳ないが…僕は嬉しく思ってしまった。
◇ ◇ ◇
その後僕は、疲れていたのか泣いてそのまま眠ってしまったようだ。
それほどに体力が落ちてしまったのだろう。
大きくなって恥ずかしい眠り方だ……
しかし、その日は久々に安心してぐっすりと眠れたような気がした。
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また期間が空いてしまったので、抜けている設定などがあるかもしれません。
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