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24 リエル視点
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碧玉の森は入り口→精霊樹→森奥となっており精霊樹より奥へ進むと森の危険度が増す。
他の森よりも
魔物が異常に出るのだ。
そのためあまり奥へは進めず最奥へはまだ誰も到達したことがない。
碧玉の森はそれほど危険な森なのだ。
しかし、今日だけは違ったようだった。
精霊樹より奥に進み初めてから数分が経過したが、魔物の姿が一向に見えないのだ。
隊員達もそのことに動揺を隠せていないようだった。
◇ ◇ ◇
かなり奥まで進んできたが、未だに魔物に遭遇していない。
不思議に思いながらも警戒しながら探索を続けていた。
すると、水の匂いを感じた。
「川があったのか?!」
そこには大きく緩やかに流れる川があった。
川は森の奥につながっているようだ。
川沿いに奥へ行くか、帰りも川に沿ってここへ戻って来れば遭難する可能性も減るだろう。
さらに川沿いを歩き奥へと進むと大きな滝があった。
そこは今まで誰も辿り着くことのできなかった森の奥だった。
空を見ると日が落ち始めていたこともあり、今日はここで野宿することにした。
騎士団はもしものことを考え、探索の際は野宿をする用意もしていくのだ。
また、この森へ入る際は特別に国から魔物から身を守る広範囲の魔道具を貸し出してくれる。
そのため、見張りは必要だが他の森の探索よりは野宿の際ゆっくりと身体を休めることができる。
隊員たちも不安そうな表情は消え、休憩している姿を見ることができ安心した。
◇ ◇ ◇
翌日は早朝に胸騒ぎがして目が覚めた。
目が覚めたのは私と隊員のエルフたちだけだった。
そうなると原因は、精霊達だと考えるしかない。
ほかに隊員がいても精霊に関してはどうすることもできないため、置いていくことにした。
不思議な気が出ているのは滝からだった。
滝の裏に洞窟のような場所があるのかもしれない…その奥からか。
隊員を連れ、滝の横から見るとやはり洞窟があった。
さらに、不思議なことに人の気配もすることに気がついた。
まさか…人がいるのか?!
急いで洞窟に入り魔法で洞窟を照らすと、そこには地面に丸まりながらカタカタと身体を震わす子供がいたのだ。
「ッ…大丈夫か!!」
頬をペチペチと叩くが何の反応もない。
かなり弱っているようだ。
とにかく、暗い洞窟からは出たほうがいい。
明かりがあるからといって全体を見ることはできないからな…
身体を持ち上げると非常に軽かった。
体温もかなり熱く、危険な状態だ。
子供を抱え、振動が伝わらないように走りながらキャンプへ向かった。
「すまない、救護班はいるか!」
勢いよく外から帰ってきた私に驚いていた隊員だが迅速に行動してくれた。
キャンプの布団に寝かせた少年の身体は酷いものだった。
まず、右の脇腹だ。
赤紫色塗り変色していて、確実に骨は折れているだろう。
身体が軽かったのも、小柄だったからだけではなかったようだ。
少し骨が浮き出ていて、痛々しい。
左足は切断されていて、右足も裸足で森を歩いたようで傷だらけになっており草や木でかぶれていた。
怪我は魔法でどうにかできそうだが…
今の状態でやっても逆効果だ。
まずは傷の手当てと、熱を冷ますことが重要だ。
しかし、それにこの子を発見してから精霊達の変な干渉はなくなったな。
もしかしてこの子は…
“精霊に愛される子”なのか?
「…ハッ、まさかな。」
そんな伝説に出る聖なる者の愛し子が実在するなどと、そんな考えが出るとは…疲れでも出てしまったのか。
「探索は終了する。帰還するぞ!」
「ハッ!!」
とにかく、今は少年を助けることだ。
しかし…この珍しい黒髪の少年、最近どこかで話を聞いた覚えがある気がしたのだが。
忘れているということは、あまり重要なことじゃなかったのかもしれないな。
帰還してから話を聞くことにしよう。
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他の森よりも
魔物が異常に出るのだ。
そのためあまり奥へは進めず最奥へはまだ誰も到達したことがない。
碧玉の森はそれほど危険な森なのだ。
しかし、今日だけは違ったようだった。
精霊樹より奥に進み初めてから数分が経過したが、魔物の姿が一向に見えないのだ。
隊員達もそのことに動揺を隠せていないようだった。
◇ ◇ ◇
かなり奥まで進んできたが、未だに魔物に遭遇していない。
不思議に思いながらも警戒しながら探索を続けていた。
すると、水の匂いを感じた。
「川があったのか?!」
そこには大きく緩やかに流れる川があった。
川は森の奥につながっているようだ。
川沿いに奥へ行くか、帰りも川に沿ってここへ戻って来れば遭難する可能性も減るだろう。
さらに川沿いを歩き奥へと進むと大きな滝があった。
そこは今まで誰も辿り着くことのできなかった森の奥だった。
空を見ると日が落ち始めていたこともあり、今日はここで野宿することにした。
騎士団はもしものことを考え、探索の際は野宿をする用意もしていくのだ。
また、この森へ入る際は特別に国から魔物から身を守る広範囲の魔道具を貸し出してくれる。
そのため、見張りは必要だが他の森の探索よりは野宿の際ゆっくりと身体を休めることができる。
隊員たちも不安そうな表情は消え、休憩している姿を見ることができ安心した。
◇ ◇ ◇
翌日は早朝に胸騒ぎがして目が覚めた。
目が覚めたのは私と隊員のエルフたちだけだった。
そうなると原因は、精霊達だと考えるしかない。
ほかに隊員がいても精霊に関してはどうすることもできないため、置いていくことにした。
不思議な気が出ているのは滝からだった。
滝の裏に洞窟のような場所があるのかもしれない…その奥からか。
隊員を連れ、滝の横から見るとやはり洞窟があった。
さらに、不思議なことに人の気配もすることに気がついた。
まさか…人がいるのか?!
急いで洞窟に入り魔法で洞窟を照らすと、そこには地面に丸まりながらカタカタと身体を震わす子供がいたのだ。
「ッ…大丈夫か!!」
頬をペチペチと叩くが何の反応もない。
かなり弱っているようだ。
とにかく、暗い洞窟からは出たほうがいい。
明かりがあるからといって全体を見ることはできないからな…
身体を持ち上げると非常に軽かった。
体温もかなり熱く、危険な状態だ。
子供を抱え、振動が伝わらないように走りながらキャンプへ向かった。
「すまない、救護班はいるか!」
勢いよく外から帰ってきた私に驚いていた隊員だが迅速に行動してくれた。
キャンプの布団に寝かせた少年の身体は酷いものだった。
まず、右の脇腹だ。
赤紫色塗り変色していて、確実に骨は折れているだろう。
身体が軽かったのも、小柄だったからだけではなかったようだ。
少し骨が浮き出ていて、痛々しい。
左足は切断されていて、右足も裸足で森を歩いたようで傷だらけになっており草や木でかぶれていた。
怪我は魔法でどうにかできそうだが…
今の状態でやっても逆効果だ。
まずは傷の手当てと、熱を冷ますことが重要だ。
しかし、それにこの子を発見してから精霊達の変な干渉はなくなったな。
もしかしてこの子は…
“精霊に愛される子”なのか?
「…ハッ、まさかな。」
そんな伝説に出る聖なる者の愛し子が実在するなどと、そんな考えが出るとは…疲れでも出てしまったのか。
「探索は終了する。帰還するぞ!」
「ハッ!!」
とにかく、今は少年を助けることだ。
しかし…この珍しい黒髪の少年、最近どこかで話を聞いた覚えがある気がしたのだが。
忘れているということは、あまり重要なことじゃなかったのかもしれないな。
帰還してから話を聞くことにしよう。
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