愛されたい。

いちご食べたい人

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更新が遅くなってしまいすみません…

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次に目が覚めた場所は、暗闇の中だった。床は硬く冷たい。
そんなところに長時間横にされていたため、身体のあちこちが痛かった。

猿轡がされていて声が出せない上に首や手首には錠がはめられ、目の前が暗いのも目隠しをされていたからだと気がついた。

目隠しは特殊なものなのか、布を巻かれているだけなのに取ろうとしても全く取れなかった。

幸い手首は前の方で固定されていたため自力で起き上がることもできた。

動くとジャリジャリとなる手錠の音が部屋中に響いて、擦れる首や手首はチリチリと痛んだ。

それでも、暗闇に手を伸ばすと僕の周りは細い棒のようなもので囲まれて、ここは檻の中だとすぐに気がついた。

何も見えない、動けない、声も出せない。

ただ遠くから大きな人の声や笑い声、音楽が聞こえてくるだけだ。

話している内容も周りが騒がしくて何も聞こえない。




それからどのくらい時間が経ったのだろうか…何もない空間で横になり、ただボーっとしていた。

長い時間一人にされ、食事もなく話しかけられることもないため、気が狂いそうになっていた。

そんな時、人の気配がして足音がこちらに近づいてきた。


話し声は聞こえるが、何を言っているのか分からない。

自分の知っている言語で話しているのに理解できなかった。

“なに…これ…、”

声に出そうと思っていたのだが、声は出ない。

そうこう考えていると、急に檻が動き始めた。

誰かが僕を移動させているんだ…

大きな音の方へ移動させられているのは分かったが、目が見えないため何処に移動させられているのか分からない…

そうこう考えているうちに移動が終わったようだ。

そこで目隠しを外された。

大きな声や音に囲まれビクビクしながら目を開けると、そこは大きな会場だった。

その大きな会場のステージに僕は居た。

周りの観客の大人たちは目だけを覆う仮面を被っていたが、目線は僕に集まっているのがわかった。

どよめきの声が聞こえるが相変わらず言葉が分からない。

“何が起こってるの?!…怖いよ“

檻の横には、周りと同じ仮面を被っている人がいた。
口元にマイクの様な機械を当て大きな声で話している。

何を言っているのか分からないが、観客たちに向けているようだ。

その話が終わった途端、観客たちは一斉に木の板を上に向け始めた。

書かれている文字や数字は理解できるみたいだ。

一斉に上げた板を見るとそこには数字が書かれていた。
その後ろにはzの文字が付けられていて、それはこの国の通貨だと教えられたのを思い出した。

板を持つ人は僕をニヤニヤとした顔で見つめていた。そこでようやく僕の置かれている状況が分かった。
あの板に書かれているお金は僕にかけられているお金だ…

この会場は…人身売買する場所って、こと?…

その瞬間恐怖で身体がガクガクと震えた。

尚も続くお金のやり取りをただ見ることしかできなかった。

あまりの恐怖に後を向いてしまったが、再び目隠しをされ、誰かに押さえつけられた。

僕はガタガタ震える身体を自分の両手で抱えた。

知らない言葉に囲まれ板と気持ちの悪い表情を向けてくる状況が数分続いた。

そんな中、大きなどよめきが起きて静まり返った。目線は僕ではなく後方のおじいさんに向けられていた。顔は暗くてよく分からないが雰囲気で歳を召してる方だとわかった。
板に書かれている金額が周りと一桁違う…

呆然としていると、再び目隠しをされ檻が動き出した。

僕、売られるの?!…あのおじいさんに?嘘でしょ!!

口はパクパクとしか動かなかったが、力を振り絞り逃げようと必死に口を開け檻を叩いた。

“出して!出してよ!!ここから、出して…”

早く逃げないと、もう騎士団の宿舎に戻れなくなる!!

もう、アンさんや…アクィラさんに会えなくなる…。

そう考えながら檻を叩いていると涙が出てきた。
酷い顔になっているだろう。

そんなことも構わずに必死に叩いた。

その瞬間、首に針が刺さるような痛みが走った。

瞼が重くなり、意識が保てない。

“アクィラ…さ、ん……”

僕は意識を保てず冷たい地面に倒れた。そこからの記憶は無かった。



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