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「…はぁ」
僕は頭を抱えながら大きくため息を吐いた。
「どうかなされたんですか?」
その様子を見たアンさんは心配そうに声をかけてくれた。
「騎士様達のことでちょっと…扉の隙間から代わる代わる見られると見せ物になった気分になりますね、」
肩をすくめ苦笑いをして告げると、アンさんに謝られてしまった。
何度も注意しているが、自分だけの力ではどうにもならないレベルらしい。
僕は役に立てなくて申し訳ないと、謝るアンさんを宥めた。アンさんのせいではないから当然のことだ。
朝から晩まで、寝ている時も見られている気がする。
気が休まる時間がない。
僕の部屋に沢山の人が部屋を訪れるようになったが、アクィラさんは来てくれていない。
忙しいって言っていたし…邪魔はしない方がいいよね。
あの日から3週間が経ったがその間一回もアクィラさんに会っていない。
会いたいな…そんな思いだけが募っていくだけだった。
そんな日が数日続いたある雨の日、僕はジクジクと痛む左足を撫でながら痛みに耐えていた。
完全ではないが治療が終わり足の傷も回復してきていたが、雨の日や天気の悪い日は頭痛がしたり足の傷が痛むようになった。
しかし、アンさんやポールさんに迷惑をかけないようにまだこのことは誰にも話していない。
考え事をすると頭痛までしてきて、気分も悪くなってきた。
憂鬱な気分になり窓の外を見ると数人の人影が見えた。
パッと見たところ、人数は10人以上だった。
体調の悪い日に限って沢山の騎士様がやってくるのだ。
またいつものように僕を観察して帰るのだろう。
そう考え目を瞑った。
体調が悪かったこともあり、僕はそのまま眠りについた。
「…ぇ」
目が覚めると、部屋で眠っていたはずが見知らぬ場所に寝かされていた。
眠っている間に移動させられたのか…
一瞬そう考えたが場所がおかしかった。
僕が寝かされていた場所は薄暗くて湿った空気がどんよりと溜まっている…イメージでいう地下牢のようなところだった。
人一人が寝転がれるようなスペースしかない部屋部屋は、窓も無く時間がどれだけ経ったかもわからない。
そんな所に布団なんかあるわけもなく硬い地面に寝かされ、片手首には手錠がつけられ後ろの壁に繋がっていた。
驚いて身体を勢い良く起き上げると、頭がグラリとして再び倒れてしまった。
ードサッ
「ぁ、れ?」
声を出していなくて気づかなかったが、辿々しい喋り方になっていた。
頭もふわふわしていて何も考えられない…
それでも、ここは良くない場所だというのはわかる。
頭がふわふわしていて気持ち悪い。
上を見上げて気づいたが、白い煙のようなものが部屋を充満していた。
身体が動かないのもこれのせいなのかな…怖い、
動かない身体に、知らない白い煙…不安に思う要素は沢山あった。
そんな不安の中で最も強かったのは、捨てられたかもしれないということだった。
「だれか、たす、け…てっ……。」
助けなんてこないと思いながらも、自分に言い聞かせようと出た声だった。
そうしないとここで心が折れてしまうと思った。
僕は頭を抱えながら大きくため息を吐いた。
「どうかなされたんですか?」
その様子を見たアンさんは心配そうに声をかけてくれた。
「騎士様達のことでちょっと…扉の隙間から代わる代わる見られると見せ物になった気分になりますね、」
肩をすくめ苦笑いをして告げると、アンさんに謝られてしまった。
何度も注意しているが、自分だけの力ではどうにもならないレベルらしい。
僕は役に立てなくて申し訳ないと、謝るアンさんを宥めた。アンさんのせいではないから当然のことだ。
朝から晩まで、寝ている時も見られている気がする。
気が休まる時間がない。
僕の部屋に沢山の人が部屋を訪れるようになったが、アクィラさんは来てくれていない。
忙しいって言っていたし…邪魔はしない方がいいよね。
あの日から3週間が経ったがその間一回もアクィラさんに会っていない。
会いたいな…そんな思いだけが募っていくだけだった。
そんな日が数日続いたある雨の日、僕はジクジクと痛む左足を撫でながら痛みに耐えていた。
完全ではないが治療が終わり足の傷も回復してきていたが、雨の日や天気の悪い日は頭痛がしたり足の傷が痛むようになった。
しかし、アンさんやポールさんに迷惑をかけないようにまだこのことは誰にも話していない。
考え事をすると頭痛までしてきて、気分も悪くなってきた。
憂鬱な気分になり窓の外を見ると数人の人影が見えた。
パッと見たところ、人数は10人以上だった。
体調の悪い日に限って沢山の騎士様がやってくるのだ。
またいつものように僕を観察して帰るのだろう。
そう考え目を瞑った。
体調が悪かったこともあり、僕はそのまま眠りについた。
「…ぇ」
目が覚めると、部屋で眠っていたはずが見知らぬ場所に寝かされていた。
眠っている間に移動させられたのか…
一瞬そう考えたが場所がおかしかった。
僕が寝かされていた場所は薄暗くて湿った空気がどんよりと溜まっている…イメージでいう地下牢のようなところだった。
人一人が寝転がれるようなスペースしかない部屋部屋は、窓も無く時間がどれだけ経ったかもわからない。
そんな所に布団なんかあるわけもなく硬い地面に寝かされ、片手首には手錠がつけられ後ろの壁に繋がっていた。
驚いて身体を勢い良く起き上げると、頭がグラリとして再び倒れてしまった。
ードサッ
「ぁ、れ?」
声を出していなくて気づかなかったが、辿々しい喋り方になっていた。
頭もふわふわしていて何も考えられない…
それでも、ここは良くない場所だというのはわかる。
頭がふわふわしていて気持ち悪い。
上を見上げて気づいたが、白い煙のようなものが部屋を充満していた。
身体が動かないのもこれのせいなのかな…怖い、
動かない身体に、知らない白い煙…不安に思う要素は沢山あった。
そんな不安の中で最も強かったのは、捨てられたかもしれないということだった。
「だれか、たす、け…てっ……。」
助けなんてこないと思いながらも、自分に言い聞かせようと出た声だった。
そうしないとここで心が折れてしまうと思った。
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