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散歩先は宿舎裏の小さな庭園だった。
面積は狭くとも、色とりどりの綺麗な花が植えられていた。
大きく息を吸うと、甘い花の香りがした。
僕の車椅子を押してくれているアンさんは、楽しそうに僕に話しかけてくれていた。
「本当に天気がいいですね!あまり長く外にいると、リオ様の白い素肌が焼けてしまします…出来るだけ日陰に入るように気をつけますね」
「僕だって男ですよ?肌が黒くなってもそんなに気にしませんよ(笑)」
そう笑いながら後ろを振り返ると、すごく驚いた顔をしていた。
「それでもですよ!!リオ様は可愛らしいのですから、そのお肌が黒くなるなんて…ダメです!!絶対に日焼けさせませんからね!」
「は、はぃ…」
あんな顔されたら…そう返事するしかないですよね。
アンさんは首を縦に振りながらうんうんと言っていた。
「ところで、何故騎士団の宿舎裏に可愛らしい庭園があるんですか?」
話題を変えるべく、元々疑問に思っていたことを問うとアンさんはにこやかな笑みを浮かべて僕に言った。
「可愛らしいなんて、ありがとうございますリオさま!この庭は小さいですけど、私が管理しているんです。騎士団の皆さんなんて、男ばかりでしょう?むさ苦しいたらないんですもの(笑)リオ様のおかげで今はむさ苦しくはないのですけどね」
「アンさんが作ったんですか!!」
びっくりして思わず大きな声を出してしまった。
「あ、すみません…///」
恥ずかしくて顔が赤くなる。
「興奮してしまってすみません…僕花が好きなんですけど、自分で育てたことがなくて…。良かったらですけど、忙しくない時に花のこととか…その、教えて欲しいです!!できればお手伝いもさせて欲しいなぁ…なんて……すみません、僕なんかが綺麗な花たちの世話なんかしたらダメですよね!!」
恐る恐る振り向くと、アンさんは笑っていた。
「僕なんかなんて、言わないで下さい。よく自分を卑下するような言い方をされていますが…そんなこと全くありません。それに、リオ様直々にお世話してくれるなんて花たちが羨ましいですね?こんなに可愛らしい方にしていただけるなんて(笑)」
真剣な顔をされて一瞬びっくりしたが、僕のことを本当に思ってくれているんだろうというのがわかった。
その後の笑った顔が優しくて…僕は思わず泣いてしまった。
ここの人たちは本当に優しいな。
ずっとここにいたい。
そう強く思った1日だった。
それでも、いつかは心変わりするのが人間。
いつまで入れるのかな…
心の奥ではそんなことを考えていた。
優しくしてくれる人を信じられない。そんな、信じられないことに対しての罪悪感でいっぱいだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
side〇〇〇
俺は騎士団の仕事で黒曜の騎士団の宿舎へ資料を届けにきていた。
そこで俺は見てしまった。
野蛮な雰囲気を醸し出している黒曜の騎士団は苦手だ。多分他の騎士団の者もそう思っているだろう。
早く帰ろうとセカセカと資料を渡し外に出た時だ。
女性のような少し高めな声が宿舎の裏側から聞こえてきた。
楽しそうに笑っている声だ。
少し気になり、行ってみることにした。
男だらけの騎士団に小鳥の囀りのような甲高い可愛らしい声が聞こえてくるなんて…気になるに決まってる。
そういえば、ここの宿舎にはメイドがいるんだったか。まぁ、メイドだったらそれでいいんだが。
そんなことを考え、声の聞こえる方へ向かった。
その声の主は車椅子に乗っている青年だった。
白いシャツのワンピースをきた黒曜石のような黒い髪、瞳をした青年。
美しい容姿をしているのに笑っている顔は可愛らしさも備えている。
誰だこの天使は?!
黒曜の騎士団宿舎で天使を見てしまった。
皆に知らせなければ!!!
その日から、黒曜の騎士団には天使がいるという話が広まった。
そのことは勿論、綾は知らない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ークシュンッ!!」
「大丈夫ですか?病み上がりですからね、早めに戻りましょう」
寒くてくしゃみをしたわけじゃないんだけどな、
「そうですね」
誰か僕を噂してるのかな。
面積は狭くとも、色とりどりの綺麗な花が植えられていた。
大きく息を吸うと、甘い花の香りがした。
僕の車椅子を押してくれているアンさんは、楽しそうに僕に話しかけてくれていた。
「本当に天気がいいですね!あまり長く外にいると、リオ様の白い素肌が焼けてしまします…出来るだけ日陰に入るように気をつけますね」
「僕だって男ですよ?肌が黒くなってもそんなに気にしませんよ(笑)」
そう笑いながら後ろを振り返ると、すごく驚いた顔をしていた。
「それでもですよ!!リオ様は可愛らしいのですから、そのお肌が黒くなるなんて…ダメです!!絶対に日焼けさせませんからね!」
「は、はぃ…」
あんな顔されたら…そう返事するしかないですよね。
アンさんは首を縦に振りながらうんうんと言っていた。
「ところで、何故騎士団の宿舎裏に可愛らしい庭園があるんですか?」
話題を変えるべく、元々疑問に思っていたことを問うとアンさんはにこやかな笑みを浮かべて僕に言った。
「可愛らしいなんて、ありがとうございますリオさま!この庭は小さいですけど、私が管理しているんです。騎士団の皆さんなんて、男ばかりでしょう?むさ苦しいたらないんですもの(笑)リオ様のおかげで今はむさ苦しくはないのですけどね」
「アンさんが作ったんですか!!」
びっくりして思わず大きな声を出してしまった。
「あ、すみません…///」
恥ずかしくて顔が赤くなる。
「興奮してしまってすみません…僕花が好きなんですけど、自分で育てたことがなくて…。良かったらですけど、忙しくない時に花のこととか…その、教えて欲しいです!!できればお手伝いもさせて欲しいなぁ…なんて……すみません、僕なんかが綺麗な花たちの世話なんかしたらダメですよね!!」
恐る恐る振り向くと、アンさんは笑っていた。
「僕なんかなんて、言わないで下さい。よく自分を卑下するような言い方をされていますが…そんなこと全くありません。それに、リオ様直々にお世話してくれるなんて花たちが羨ましいですね?こんなに可愛らしい方にしていただけるなんて(笑)」
真剣な顔をされて一瞬びっくりしたが、僕のことを本当に思ってくれているんだろうというのがわかった。
その後の笑った顔が優しくて…僕は思わず泣いてしまった。
ここの人たちは本当に優しいな。
ずっとここにいたい。
そう強く思った1日だった。
それでも、いつかは心変わりするのが人間。
いつまで入れるのかな…
心の奥ではそんなことを考えていた。
優しくしてくれる人を信じられない。そんな、信じられないことに対しての罪悪感でいっぱいだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
side〇〇〇
俺は騎士団の仕事で黒曜の騎士団の宿舎へ資料を届けにきていた。
そこで俺は見てしまった。
野蛮な雰囲気を醸し出している黒曜の騎士団は苦手だ。多分他の騎士団の者もそう思っているだろう。
早く帰ろうとセカセカと資料を渡し外に出た時だ。
女性のような少し高めな声が宿舎の裏側から聞こえてきた。
楽しそうに笑っている声だ。
少し気になり、行ってみることにした。
男だらけの騎士団に小鳥の囀りのような甲高い可愛らしい声が聞こえてくるなんて…気になるに決まってる。
そういえば、ここの宿舎にはメイドがいるんだったか。まぁ、メイドだったらそれでいいんだが。
そんなことを考え、声の聞こえる方へ向かった。
その声の主は車椅子に乗っている青年だった。
白いシャツのワンピースをきた黒曜石のような黒い髪、瞳をした青年。
美しい容姿をしているのに笑っている顔は可愛らしさも備えている。
誰だこの天使は?!
黒曜の騎士団宿舎で天使を見てしまった。
皆に知らせなければ!!!
その日から、黒曜の騎士団には天使がいるという話が広まった。
そのことは勿論、綾は知らない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ークシュンッ!!」
「大丈夫ですか?病み上がりですからね、早めに戻りましょう」
寒くてくしゃみをしたわけじゃないんだけどな、
「そうですね」
誰か僕を噂してるのかな。
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