愛されたい。

いちご食べたい人

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消毒液のようなツンとした匂いがする。
目を開けると、質素な白い布団が見えた。身体のいたみはないが、身体が熱く力が入らないので動けそうもない。ここはどこなのか、自然と声を出そうとしてしまった。

「ど…っ、ごほっ…っく!ふぅっ、ふっ…ごほっ!!」

喉が渇いていて、声を出そうとした瞬間から咳が止まらなくなってしまった。
苦しくなり自分の意思ではなく身体に力が入る。その時に足を動かして気がついてしまった。

あ、れ…足がっ。左足がな、い?
ひゅっと一気に血の気が引いた。そのまま変に空気を吸ってしまい、余計に苦しくなってしまった。
パニックを起こしてしまっているので呼吸を自分で整えられない。

「ヒュッ…は、ぁっ…うぅ、っごほっ!」

生理的な涙が出る。

苦しんでいると勢いよく扉を開ける音がしてドタドタと急足の音が聞こえる。

「私の声が聞こえますか?落ち着いて、ゆっくりと息を吸ってください。ゆっくり大きくです!吸って…吐いて、吸って…吐いて…。」

苦しすぎて周りが見えないが、声は聞こえる。優しく声をかけてくれているがそれに対応できるほどの余裕はなかった。声の指示に従って呼吸をしようとするが咳が出そうになり、上手くできない。

「すぅ…っ、げほっ、ぅう…」

「大丈夫です、ゆっくりで大丈夫ですからね?苦しいけど頑張ってください。息をちゃんと吸って、吐けたら苦しいのも治りますから!」

声をかけてくれている誰かが、優しく背中さすってくれた。あったかい…

「っ…すぅ~っ、ふっ…ぅ~」

生理的な涙を流しながら頑張ってゆっくり大きく息を吸って、吐いてを繰り返し続けた。
何回続けたんだろう、集中しすぎてわからないくらい続けて気づいたら通常の呼吸に戻ったようで楽になっていた。

「もう大丈夫です。ずっと水分をとれていませんでしたね、喉が渇いてるから咳が出ちゃったんですよね。今お水を持ってきますので少々お待ちください。」

その人はゆっくりと立ち上がり、部屋から出て行った。冷静になり先ほどまで自分のことに必死で声がけをしてくれた人の顔を見れていなかったことに気がつく。
お礼、言わないとな…。

そうこう考えているとすぐに部屋の扉が開いた。

「お待たせしてすみません、お水をお持ちしました。冷たいものが飲みたいかもしれませんが、刺激になるものは良くないので少しぬるくなっています。飲みやすいようにとろみがついてますので安心して飲んでください。」

声を出すとまた咳がでてしまうかもしれないのでゆっくりと首を上下にこくこくと動かして返事をした。彼がそっと僕を起こし、水を飲ませてくれた。

「んっく、ごくん…」

「やはり喉が渇いていたんですね。水は逃げませんから、ゆっくり飲んでください」

水を飲み終え、彼にお礼を言おうとして顔を向ける。

「すみません、自己紹介をしてなかったですね…。ポールです、ここで医者をしています。」

ポールさんは長い白髪の綺麗な人だった。一瞬背の高い女の人かとも思ったけど、声は低いから男の人だよね?
お礼がしたくて向いたんだけど、勘違いさせちゃったかな…

「あ、り…がとうっ、こほっ…」

まだ声は出ないみたいだ。

「喉の外傷はないのですが沢山大きい声を出してしまったんですね、喉の奥を痛めているので暫く声が出しづらいかもしれません。ある程度体力が回復してきたら回復魔法が使えるのですが…今使ってしまうと身体がもたないかもしれません、頑張って体力を戻しましょうね」

魔法?!騎士様がいたり変な…怪物がいたり、本当にここってどこなんだろう?

驚いている僕を見てポールさんも驚いていた。

「もしかして、魔法を知らないんですか?」

僕は縦に大きく首を振った。
ポールさんは複雑な表情を浮かべていた。
どうしたんだろう?

「あんな山奥にいることは危険ですしありえないですよね…それに、魔法の知識がないのはおかしいですね。平民の方も家事するのに生活魔法を多少使わなければいけないんですから…ぶつぶつ」

ポールさんは僕のことを見ながら何か考えているようだった。魔法を知らないってそんなにおかしいことだったのかな…今度からは気をつけないと。

ポールさんは何かぶつぶつ独り言を言っているようだったので、僕もまた彼の話を盗み聞きして情報を少しでも集めようとした。聞き耳を立てていると、部屋の扉がガチャッと大きな音を立てて開いた。
今度は誰だろう?

「目が覚めたと聞いて急いで来た。俺が拾った少年だ、確認は必要だろ?」

身体が動かないから扉の方を向けないけど、この声は…あの時僕を助けてくれた騎士、様?

「き…し、っさ、ま。…あ、り、がとうっ」

そっちを向けないし、掠れてる声だけど聞こえたかな?本当はそっちを見てお礼したかちゃんだけどなぁ…。
そう考えているとゆっくりと騎士様がこちらに歩いてきた。目線だけを横にし、顔を見るとあの時に薄っすらと見えた黒髪の騎士様だった。
かっこいいなぁ~。

やっぱりここは違う世界なのかな、日本ではないことは確かだけど…言葉が通じているから外国とかでもなそそうだよね?うーん。

考え事をしていると、騎士様が僕の手を握ってくれていた。不思議に思い視線を騎士様に戻すと、優しい目でこちらを見つめていた。


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すみません…全然話は進みません。
あと、話の展開が早くもわからなくなってきてしまいました。
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