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3* アクィラ視点
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ここからコロコロ視点が変わります。
分かりやすいように題名に誰視点なのかを書いておきます!
国の設定を作りました。
*前回に引き続き、微グロ注意です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
セラム王国は人間族、亜人族が共存している大きな国だ。その国に属している騎士団は王国と市民を魔物守ることが仕事だ。
騎士団には4つの部隊があり、俺はその中の黒曜の騎士団の隊長をしている。黒曜の騎士団とは魔物の討伐を専門とする騎士団だ。
一昨日大掛かりな魔物討伐から帰ったばかりなのにも関わらず、上からの命令で蒼玉の森の探索に駆り出されることになった。
「女の子と楽しい夜を過ごす予定だったのに…僕達大きな仕事頑張りましたよね!!それなのに、この休暇の短さはなんなんだ!隊長もそう思いますよね?」
隣で吠えている男は俺と同じ黒曜の騎士団に所属しているルイだ。実力はあるのだが、女癖が悪すぎる。
「お前と一緒にするな、俺はお前と違って女遊びはしないと言っているだろ。」
普段の魔物討伐の仕事では雑談する余裕はなかったのだが、今回は探索のみなので皆余裕があった。
「相変わらず隊長は冷たいですね…」
「もうそろそろ着くぞ。無駄口を叩いていないで、周囲の警戒もしろ。早く終わらせて帰るぞ!」
「はい!」
魔物討伐の仕事は、事前に村や土地から被害を受けたことを上が確認して俺たちに仕事が回ってくる。
そのため、今回の仕事はあまり警戒する必要はない。
上から探索の命令が出される時はセラム王国の周囲確認のためだ。森や湖などの自然環境に変化がないのかという確認のために探索を行うのだ。
俺は横からの騒がしい声を半分無視しながら森の奥へと進んでいった。
蒼玉の森は、国を中心にして南に進んだところにある深い森だ。
蒼玉という名前の由来は森の奥にある綺麗な湖の色に関係する。自然に囲まれているその湖は、太陽の光に照らされると青く綺麗に輝く。その輝きは宝石のサファイヤのようだと言われているのが森の名前の由来だそうだ。
森で警戒が必要なのは、どこに魔物が潜んでいるかわからないからだ。
森の探索は騎士団しか行えないので4つの大きな森の探索を年に4回、各騎士団が交代しながら行なっている。
今回は偶然、魔物討伐の後と重なってしまっただけだ。
そうこうしているうちに森奥の湖に到着した。
「湖の周りを少し探索して安全確認をしたら休憩にしよう。」
『了解しました!!』
皆に指示をして、簡単に周りを探索してから俺たちは休憩することにした。
丁度昼頃に到着したようで、腹も空いてきた。ゆっくり休憩してから街へ帰ろう。
綺麗な蒼玉の湖は、魔を近寄らせない聖の湖だとも言われているため魔物は滅多にここへこない。
ここへ来れるのは瘴気を濃く取り込んだ危険な魔物だけだ。そのような魔物はそうそう現れないのでそこまで警戒する必要はない。
食事を終え、湖の水質確認している時だった。
“た…けて、だれか…助けてっ!!
誰でもいいから、ここにいるから!”
頭の中で声がした。鬼気迫る声だ。
周りを確認したがこの声が聞こえたのはどうやら俺だけのようだ。
気のせいとも思ったが、本当にその者に危険が迫っているのだとしたら…早く探さなければ!!
まだ探索を終えていないのは小島だけだ。急がなければ。
周りにいた隊員に一言いい、急いで小島へ向かった。
湖は思ったより浅かった。
周囲を警戒しながら奥へ進んだ。小島はあまり大きくはなかったので、すぐに魔物を見つけることができた。
魔物は何かに夢中になっているようだった。さっきの声の者か?!
魔物は後から見てわかるほど瘴気が濃く、瘴気が実体化してどろどろと流れて落ちていた。危険だ。
剣に手をかけ気づかれないように素早く剣を振った。
「はっ!!」
“ドスンッ”
油断していた魔物は一撃で容易く倒すことができた。その奥から倒れている人影が見えた。
「本当に人がいたのか。おい、大丈夫か?!」
…俺はその光景に絶句した。
間に合わなかったのか?!
大きく声を荒げ素早く駆けつけた。
見慣れない衣服を着た細身の男だった。
子供か?小柄でか弱そうな体型だった。意識はまだあるのかこちらを虚な目で見ながら、大きく肺を動かして絶え絶えしく息をしている。左足の膝から下は魔物にやられ、無惨にも食いちぎられていた。右手も実体化した瘴気触れたのか酷い火傷を負っていた。
身体中も傷だらけだ。魔物に負わされた怪我意外もあるようだ、それで動けなかったのか。何があってこんな怪我を…。魔物との戦闘で人の怪我に見慣れている俺でも目を覆うほど少年の怪我は痛々しいものだった。
少年周りには夥(おびただ)しい量の血が流れていた。早く治療をしなければ助からないだろう。
少年をあまり動かさないように優しく、素早く抱き寄せた。腕にすっぽりと収まる大きさだった。
軽すぎる…やはり怪我をする前から何かあったに違いない。
「今向こうに治療できる者がいる。気をしっかり持て!助けてやるからな」
少年は目線だけこちらに向け人の温もりに安心したのか、ゆっくりと瞼(まぶた)が閉じていった。
「寝たらダメだぞ!おい、おいっ!」
完全に瞼が閉じてしまったが、まだ息はある。
気絶してしまったようだ。早く治療をしなければ。
「絶対に助けてやるからな、頑張れよ!」
少年の身体に振動がいかないように、素早く運んだ。
優しく励ます声をかけ続けた。
少年の顔は安心し切った顔をしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キリがいいのでここで切ります。
強そうな魔物簡単に倒しすぎました…。
分かりやすいように題名に誰視点なのかを書いておきます!
国の設定を作りました。
*前回に引き続き、微グロ注意です。
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セラム王国は人間族、亜人族が共存している大きな国だ。その国に属している騎士団は王国と市民を魔物守ることが仕事だ。
騎士団には4つの部隊があり、俺はその中の黒曜の騎士団の隊長をしている。黒曜の騎士団とは魔物の討伐を専門とする騎士団だ。
一昨日大掛かりな魔物討伐から帰ったばかりなのにも関わらず、上からの命令で蒼玉の森の探索に駆り出されることになった。
「女の子と楽しい夜を過ごす予定だったのに…僕達大きな仕事頑張りましたよね!!それなのに、この休暇の短さはなんなんだ!隊長もそう思いますよね?」
隣で吠えている男は俺と同じ黒曜の騎士団に所属しているルイだ。実力はあるのだが、女癖が悪すぎる。
「お前と一緒にするな、俺はお前と違って女遊びはしないと言っているだろ。」
普段の魔物討伐の仕事では雑談する余裕はなかったのだが、今回は探索のみなので皆余裕があった。
「相変わらず隊長は冷たいですね…」
「もうそろそろ着くぞ。無駄口を叩いていないで、周囲の警戒もしろ。早く終わらせて帰るぞ!」
「はい!」
魔物討伐の仕事は、事前に村や土地から被害を受けたことを上が確認して俺たちに仕事が回ってくる。
そのため、今回の仕事はあまり警戒する必要はない。
上から探索の命令が出される時はセラム王国の周囲確認のためだ。森や湖などの自然環境に変化がないのかという確認のために探索を行うのだ。
俺は横からの騒がしい声を半分無視しながら森の奥へと進んでいった。
蒼玉の森は、国を中心にして南に進んだところにある深い森だ。
蒼玉という名前の由来は森の奥にある綺麗な湖の色に関係する。自然に囲まれているその湖は、太陽の光に照らされると青く綺麗に輝く。その輝きは宝石のサファイヤのようだと言われているのが森の名前の由来だそうだ。
森で警戒が必要なのは、どこに魔物が潜んでいるかわからないからだ。
森の探索は騎士団しか行えないので4つの大きな森の探索を年に4回、各騎士団が交代しながら行なっている。
今回は偶然、魔物討伐の後と重なってしまっただけだ。
そうこうしているうちに森奥の湖に到着した。
「湖の周りを少し探索して安全確認をしたら休憩にしよう。」
『了解しました!!』
皆に指示をして、簡単に周りを探索してから俺たちは休憩することにした。
丁度昼頃に到着したようで、腹も空いてきた。ゆっくり休憩してから街へ帰ろう。
綺麗な蒼玉の湖は、魔を近寄らせない聖の湖だとも言われているため魔物は滅多にここへこない。
ここへ来れるのは瘴気を濃く取り込んだ危険な魔物だけだ。そのような魔物はそうそう現れないのでそこまで警戒する必要はない。
食事を終え、湖の水質確認している時だった。
“た…けて、だれか…助けてっ!!
誰でもいいから、ここにいるから!”
頭の中で声がした。鬼気迫る声だ。
周りを確認したがこの声が聞こえたのはどうやら俺だけのようだ。
気のせいとも思ったが、本当にその者に危険が迫っているのだとしたら…早く探さなければ!!
まだ探索を終えていないのは小島だけだ。急がなければ。
周りにいた隊員に一言いい、急いで小島へ向かった。
湖は思ったより浅かった。
周囲を警戒しながら奥へ進んだ。小島はあまり大きくはなかったので、すぐに魔物を見つけることができた。
魔物は何かに夢中になっているようだった。さっきの声の者か?!
魔物は後から見てわかるほど瘴気が濃く、瘴気が実体化してどろどろと流れて落ちていた。危険だ。
剣に手をかけ気づかれないように素早く剣を振った。
「はっ!!」
“ドスンッ”
油断していた魔物は一撃で容易く倒すことができた。その奥から倒れている人影が見えた。
「本当に人がいたのか。おい、大丈夫か?!」
…俺はその光景に絶句した。
間に合わなかったのか?!
大きく声を荒げ素早く駆けつけた。
見慣れない衣服を着た細身の男だった。
子供か?小柄でか弱そうな体型だった。意識はまだあるのかこちらを虚な目で見ながら、大きく肺を動かして絶え絶えしく息をしている。左足の膝から下は魔物にやられ、無惨にも食いちぎられていた。右手も実体化した瘴気触れたのか酷い火傷を負っていた。
身体中も傷だらけだ。魔物に負わされた怪我意外もあるようだ、それで動けなかったのか。何があってこんな怪我を…。魔物との戦闘で人の怪我に見慣れている俺でも目を覆うほど少年の怪我は痛々しいものだった。
少年周りには夥(おびただ)しい量の血が流れていた。早く治療をしなければ助からないだろう。
少年をあまり動かさないように優しく、素早く抱き寄せた。腕にすっぽりと収まる大きさだった。
軽すぎる…やはり怪我をする前から何かあったに違いない。
「今向こうに治療できる者がいる。気をしっかり持て!助けてやるからな」
少年は目線だけこちらに向け人の温もりに安心したのか、ゆっくりと瞼(まぶた)が閉じていった。
「寝たらダメだぞ!おい、おいっ!」
完全に瞼が閉じてしまったが、まだ息はある。
気絶してしまったようだ。早く治療をしなければ。
「絶対に助けてやるからな、頑張れよ!」
少年の身体に振動がいかないように、素早く運んだ。
優しく励ます声をかけ続けた。
少年の顔は安心し切った顔をしていた。
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キリがいいのでここで切ります。
強そうな魔物簡単に倒しすぎました…。
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