異世界転生を知らない幽閉王子は死にたがり。

いちご食べたい人

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転生

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嗅いだことのある匂いだと思ったのは、スノードロップが昔嗅いだことのある匂いだったからだったのか。

昔を思い出しているとあっという間に室内にあの香りが充満した。
喉にかかるように甘い香。
気持ち悪い……

できる限り匂いを嗅がないように手で口を覆っていると正面の扉があいた。
王様と使用人たちだ。

薄着でベッドに腰かけている僕を見てニヤリと笑みを浮かべた姿に少し鳥肌がたった。

ーギィッ…カチャ

扉の閉じる音とともに鍵が閉まった音がした。
内側からは逃げられないのかもしれない…

そう思った瞬間体が震えた。

部屋には王様と使用人二人、そして僕だ。

使用人2人は僕の両脇に立ち、仰向けにするように僕をベッドへ押した。

「…ッ」

勢いよく倒されたためその衝撃で大きく息を吸い込んでしまった。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。

あ…れ?

一瞬意識が飛んだと思った瞬間、僕はベッドの柵に手錠を繋がれていた。


まだ視界が揺らいでいる…多分、香の効能だろう。

急いで口元を手で押さえようと腕を顔に持ってこようとしたが、手錠が引っ掛かり手を顔へもっていけない。
ガチャガチャと手錠が鳴り、部屋中に金属音が鳴り響く。

どうにかできないかと体を動かしていると突然近くにいた使用人たちに口と鼻をふさがれた。

息ができない…っ

「…ん゛ー!! っぐぅ、、ん゛ん!!」

苦しさに手足をばたつかせたが、足は抑えられて身じろぐこともできなくなった…
顔に熱が昇っていくのを感じ、意識が飛びそうになった瞬間口と鼻から手がどけられた。

「…っはぁ、はぁっ……はぁはぁ!!」

整わない息を整えようするが、息をするたび肺に甘ったるい香りが入ってきて肺が熱くなるのを感じた。

苦しい、

はっ、、はぁっ……はっ、 ぁ

昔は気を失うだけだったが、今はなぜか息を吸うたびに肺にどんどん熱がこもっていくようで気持ちが悪い。
呼吸もし辛くて苦しい。

息苦しさに耐えていると、正面に立っていた王様が口を開いた。

「どうだ、懐かしい香りだろう。
お前が昔使っていたと聞いて仕入れてきたんだ、昔を思い出すか?」


そんなことを言われても自分で使った記憶は一切ない。
そもそも、5歳でそんなことおもいつくと思ったのか?

そう疑問に思ったがここではそんな子がいるのかもしれない、ここは人の命も虫のように躊躇いなく奪うことが常だから…

そんなことを考えていたが、体が辛すぎてそんな考えすらまともにできなくなってきた。

本当に息が苦しい。

はぁっ、、はぁはぁ…はぁっ……

苦し気に息をする僕を見て王様と使用人達は笑っていた…

あぁ、本当になんなんだ。

息は一向に整わず、胸部は激しく上下して痛みすら感じる。



痛い、苦しい、気持ちが悪い…


痛い…苦しい、、気持ち、わるぃ?



痛い……苦しい、、、あれ。




痛くない、苦しくも…感じない、、





揺らいでいた視界からは自然と涙が流れていた。
痛い、苦しい、気持ち悪い……感じていたことがどんどん薄れてきた。

視界もせまくなり、どんどんと暗くなる。

楽になりたい。
でも苦しいもの痛いのも嫌だった…

感情がなくなっても体が訴えるは感じる。

今までになく体が楽な気がする。
体は重くて動かないが…痛みも苦しさもない、そう感じるのは久しぶりだった。

やっと解放された。


お母さんに水に沈められたとき…死んじゃった時と同じ感じがする。
あの時は息ができなくて苦しかったけど、今回は苦しさは感じない。

視界が暗闇に包まれて、意識がどんどん沈んでいく。

しかし、耳からはクリアに情報が入ってきた。
王様と使用人が焦っている声だ、

「おい、少量だったら体に影響が出ないんじゃないのか!
話が違うではないか。これでは使えんではないか、もったいない!!こんな上物めったに手に入らないんだぞ!!」


「申し訳ありません、使用方法に間違いはないはずなn『黙りなさい!』」

「申し訳ありません、こちらのミスでございます。必ずや代わりになる上物を探してまいりますので!少々お待ちくださいませ。」


「…ッフ」

こらえくれず口から笑いが漏れた…

代わりなんていくらでもいるんだなぁ。
どんなに地位が高くても僕が必要だと思われることは…ないんだな。

周りが騒がしくて聞こえてないみたいでよかった。
笑い声が聞こえてたらこんなに穏やかに意識を手放せなかったかもしれない。


意識が完全に沈むころ、スノードロップは死んだ……



◇◇◇

と思った。

『あれ、、?」




ーーーーーーーーーーーーーーーー

誤字脱字があったらすみません。








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