24 / 25
転生
21
しおりを挟む
嗅いだことのある匂いだと思ったのは、スノードロップが昔嗅いだことのある匂いだったからだったのか。
昔を思い出しているとあっという間に室内にあの香りが充満した。
喉にかかるように甘い香。
気持ち悪い……
できる限り匂いを嗅がないように手で口を覆っていると正面の扉があいた。
王様と使用人たちだ。
薄着でベッドに腰かけている僕を見てニヤリと笑みを浮かべた姿に少し鳥肌がたった。
ーギィッ…カチャ
扉の閉じる音とともに鍵が閉まった音がした。
内側からは逃げられないのかもしれない…
そう思った瞬間体が震えた。
部屋には王様と使用人二人、そして僕だ。
使用人2人は僕の両脇に立ち、仰向けにするように僕をベッドへ押した。
「…ッ」
勢いよく倒されたためその衝撃で大きく息を吸い込んでしまった。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
あ…れ?
一瞬意識が飛んだと思った瞬間、僕はベッドの柵に手錠を繋がれていた。
まだ視界が揺らいでいる…多分、香の効能だろう。
急いで口元を手で押さえようと腕を顔に持ってこようとしたが、手錠が引っ掛かり手を顔へもっていけない。
ガチャガチャと手錠が鳴り、部屋中に金属音が鳴り響く。
どうにかできないかと体を動かしていると突然近くにいた使用人たちに口と鼻をふさがれた。
息ができない…っ
「…ん゛ー!! っぐぅ、、ん゛ん!!」
苦しさに手足をばたつかせたが、足は抑えられて身じろぐこともできなくなった…
顔に熱が昇っていくのを感じ、意識が飛びそうになった瞬間口と鼻から手がどけられた。
「…っはぁ、はぁっ……はぁはぁ!!」
整わない息を整えようするが、息をするたび肺に甘ったるい香りが入ってきて肺が熱くなるのを感じた。
苦しい、
はっ、、はぁっ……はっ、 ぁ
昔は気を失うだけだったが、今はなぜか息を吸うたびに肺にどんどん熱がこもっていくようで気持ちが悪い。
呼吸もし辛くて苦しい。
息苦しさに耐えていると、正面に立っていた王様が口を開いた。
「どうだ、懐かしい香りだろう。
お前が昔使っていたと聞いて仕入れてきたんだ、昔を思い出すか?」
そんなことを言われても自分で使った記憶は一切ない。
そもそも、5歳でそんなことおもいつくと思ったのか?
そう疑問に思ったがここではそんな子がいるのかもしれない、ここは人の命も虫のように躊躇いなく奪うことが常だから…
そんなことを考えていたが、体が辛すぎてそんな考えすらまともにできなくなってきた。
本当に息が苦しい。
はぁっ、、はぁはぁ…はぁっ……
苦し気に息をする僕を見て王様と使用人達は笑っていた…
あぁ、本当になんなんだ。
息は一向に整わず、胸部は激しく上下して痛みすら感じる。
痛い、苦しい、気持ちが悪い…
痛い…苦しい、、気持ち、わるぃ?
痛い……苦しい、、、あれ。
痛くない、苦しくも…感じない、、
揺らいでいた視界からは自然と涙が流れていた。
痛い、苦しい、気持ち悪い……感じていたことがどんどん薄れてきた。
視界もせまくなり、どんどんと暗くなる。
楽になりたい。
でも苦しいもの痛いのも嫌だった…
感情がなくなっても体が訴える痛みは感じる。
今までになく体が楽な気がする。
体は重くて動かないが…痛みも苦しさもない、そう感じるのは久しぶりだった。
やっと解放された。
お母さんに水に沈められたとき…死んじゃった時と同じ感じがする。
あの時は息ができなくて苦しかったけど、今回は苦しさは感じない。
視界が暗闇に包まれて、意識がどんどん沈んでいく。
しかし、耳からはクリアに情報が入ってきた。
王様と使用人が焦っている声だ、
「おい、少量だったら体に影響が出ないんじゃないのか!
話が違うではないか。これでは使えんではないか、もったいない!!こんな上物めったに手に入らないんだぞ!!」
「申し訳ありません、使用方法に間違いはないはずなn『黙りなさい!』」
「申し訳ありません、こちらのミスでございます。必ずや代わりになる上物を探してまいりますので!少々お待ちくださいませ。」
「…ッフ」
こらえくれず口から笑いが漏れた…
代わりなんていくらでもいるんだなぁ。
どんなに地位が高くても僕が必要だと思われることは…ないんだな。
周りが騒がしくて聞こえてないみたいでよかった。
笑い声が聞こえてたらこんなに穏やかに意識を手放せなかったかもしれない。
意識が完全に沈むころ、僕は死んだ……
◇◇◇
と思った。
『あれ、、?」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字脱字があったらすみません。
昔を思い出しているとあっという間に室内にあの香りが充満した。
喉にかかるように甘い香。
気持ち悪い……
できる限り匂いを嗅がないように手で口を覆っていると正面の扉があいた。
王様と使用人たちだ。
薄着でベッドに腰かけている僕を見てニヤリと笑みを浮かべた姿に少し鳥肌がたった。
ーギィッ…カチャ
扉の閉じる音とともに鍵が閉まった音がした。
内側からは逃げられないのかもしれない…
そう思った瞬間体が震えた。
部屋には王様と使用人二人、そして僕だ。
使用人2人は僕の両脇に立ち、仰向けにするように僕をベッドへ押した。
「…ッ」
勢いよく倒されたためその衝撃で大きく息を吸い込んでしまった。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
あ…れ?
一瞬意識が飛んだと思った瞬間、僕はベッドの柵に手錠を繋がれていた。
まだ視界が揺らいでいる…多分、香の効能だろう。
急いで口元を手で押さえようと腕を顔に持ってこようとしたが、手錠が引っ掛かり手を顔へもっていけない。
ガチャガチャと手錠が鳴り、部屋中に金属音が鳴り響く。
どうにかできないかと体を動かしていると突然近くにいた使用人たちに口と鼻をふさがれた。
息ができない…っ
「…ん゛ー!! っぐぅ、、ん゛ん!!」
苦しさに手足をばたつかせたが、足は抑えられて身じろぐこともできなくなった…
顔に熱が昇っていくのを感じ、意識が飛びそうになった瞬間口と鼻から手がどけられた。
「…っはぁ、はぁっ……はぁはぁ!!」
整わない息を整えようするが、息をするたび肺に甘ったるい香りが入ってきて肺が熱くなるのを感じた。
苦しい、
はっ、、はぁっ……はっ、 ぁ
昔は気を失うだけだったが、今はなぜか息を吸うたびに肺にどんどん熱がこもっていくようで気持ちが悪い。
呼吸もし辛くて苦しい。
息苦しさに耐えていると、正面に立っていた王様が口を開いた。
「どうだ、懐かしい香りだろう。
お前が昔使っていたと聞いて仕入れてきたんだ、昔を思い出すか?」
そんなことを言われても自分で使った記憶は一切ない。
そもそも、5歳でそんなことおもいつくと思ったのか?
そう疑問に思ったがここではそんな子がいるのかもしれない、ここは人の命も虫のように躊躇いなく奪うことが常だから…
そんなことを考えていたが、体が辛すぎてそんな考えすらまともにできなくなってきた。
本当に息が苦しい。
はぁっ、、はぁはぁ…はぁっ……
苦し気に息をする僕を見て王様と使用人達は笑っていた…
あぁ、本当になんなんだ。
息は一向に整わず、胸部は激しく上下して痛みすら感じる。
痛い、苦しい、気持ちが悪い…
痛い…苦しい、、気持ち、わるぃ?
痛い……苦しい、、、あれ。
痛くない、苦しくも…感じない、、
揺らいでいた視界からは自然と涙が流れていた。
痛い、苦しい、気持ち悪い……感じていたことがどんどん薄れてきた。
視界もせまくなり、どんどんと暗くなる。
楽になりたい。
でも苦しいもの痛いのも嫌だった…
感情がなくなっても体が訴える痛みは感じる。
今までになく体が楽な気がする。
体は重くて動かないが…痛みも苦しさもない、そう感じるのは久しぶりだった。
やっと解放された。
お母さんに水に沈められたとき…死んじゃった時と同じ感じがする。
あの時は息ができなくて苦しかったけど、今回は苦しさは感じない。
視界が暗闇に包まれて、意識がどんどん沈んでいく。
しかし、耳からはクリアに情報が入ってきた。
王様と使用人が焦っている声だ、
「おい、少量だったら体に影響が出ないんじゃないのか!
話が違うではないか。これでは使えんではないか、もったいない!!こんな上物めったに手に入らないんだぞ!!」
「申し訳ありません、使用方法に間違いはないはずなn『黙りなさい!』」
「申し訳ありません、こちらのミスでございます。必ずや代わりになる上物を探してまいりますので!少々お待ちくださいませ。」
「…ッフ」
こらえくれず口から笑いが漏れた…
代わりなんていくらでもいるんだなぁ。
どんなに地位が高くても僕が必要だと思われることは…ないんだな。
周りが騒がしくて聞こえてないみたいでよかった。
笑い声が聞こえてたらこんなに穏やかに意識を手放せなかったかもしれない。
意識が完全に沈むころ、僕は死んだ……
◇◇◇
と思った。
『あれ、、?」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字脱字があったらすみません。
1
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

○○に求婚されたおっさん、逃げる・・
相沢京
BL
小さな町でギルドに所属していた30過ぎのおっさんのオレに王都のギルマスから招集命令が下される。
といっても、何か罪を犯したからとかではなくてオレに会いたい人がいるらしい。そいつは事情があって王都から出れないとか、特に何の用事もなかったオレは承諾して王都へと向かうのだった。
しかし、そこに待ち受けていたのは―――・・

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。


主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる