異世界転生を知らない幽閉王子は死にたがり。

転生

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数時間前………


部屋の準備ができたという知らせを聞いた僕は、陛下が用意した部屋に通された。

その部屋は一言で言うと“趣味が悪い部屋”だった。

部屋の大きさは16畳ほど(4人家族が不自由なく暮らせるほどの大きさ)で、その部屋のものは全てピンクと白で統一されていた。

それに加えて大きな窓に付いているカーテンや天蓋ベッドには大きなフリルまでつけられており、どう考えても僕のような年齢の男が住むような部屋ではなかったのだ。

そんな気色悪い部屋に通された数分後、ベッドに腰掛けていた僕はメイドに連れられ部屋の横に付いている浴室へ案内された。

そのメイドは「お身体を綺麗にするよう命じられました」と言いテキパキと僕の服を脱がせて浴槽へ移動させられた。

僕の背を見たメイドは一瞬驚いたような顔をしていたが、その瞬間何もなかったかのように作業を再開した。

僕のあの傷だらけな背中を見たのだろう。初めて見て声を出さなかったのは凄いと思い…少し感心してしまった。

身体を洗い終わった後は趣味の悪い部屋に戻され、その部屋と同色のランジェリーを着せられた。

服とも言えないほどスケスケな下着の胸元には大きなリボンが付けられており、その中心にはピンクサファイアが付けられていた。


◇ ◇ ◇


部屋に通されてから数時間、部屋に煙と共に甘いにおいが充満してきた。

嗅いだことがある匂いだ。

“香り草”

貴族達の間で流行っている裏で出回っている薬物だ。

その香りには催淫作用・幻覚作用あり、躾のなってない奴隷や娼婦・男娼などを躾ける道具として使われているものだ。

香り草はピンク色の葉を持ち、その葉を乾燥させて火にかけるだけで使える薬物だ。
大量に吸いすぎると脳の一部に大きな損傷を与えてしまい、狂った人間になってしまう恐ろしい薬物なのだ。

この喉に引っかかるような甘い匂いは……

僕(スノードロップ)の人生で一番忘れられない、悲しい記憶を呼び起こした。



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誤字脱字があったら報告してくれるとありがたいです。

投稿が頻度が低くてすみません…
スノードロップ幸せ回まで頑張ります。