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転生
9 ユリアス②
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9 ユリアス②
※軽い嘔吐表現があります。
ーーーーーーーーーーーーーーー
激しい頭痛の中目が覚めると、全く見覚えのない天井だった。
「あ…れ? 僕車に轢かれたよね。うっ…おえっ……うぅ……… 」
思い出すと吐き気がした。
あんな痛み二度と味わいたくない。
吐き気を抑えていると、唐突にドアが開いた。
ーガチャッ
「あぁ!! ユリアス…目が覚めたのね、よかった……よかったわ!」
その人物は僕を力一杯腕に抱いた。
「お…お母さん……。」
見たことがない女性だった。
服も麻で作ったようなもので着心地も悪そうだ。…でもこの人が母親だと言うことはわかる。
他にも…物が置いている場所もわかるし、お医者さんの顔も“僕”は知らないはずなのに何故か分かった。
僕には僕ではない誰かが暮らしてきた記憶があった。
とても不思議な気分だ。
その後、母に何があって寝込んでいたのかなどを聞いた。
母の話によると、僕は数日前から高熱で寝込んでいたそうだ。あと数日熱が引かなかったら危なかったらしい。
そういえば……
お母さん僕を”ユリアス“って言ってた?!
慌てて母のドレッサーの鏡を覗くと、そこに映ったのは黒髪に髪と同色の黒い瞳の可愛らしい男の子だった。
年齢は10歳くらいだ。
「ユリアスってあの「無垢な天使に花束を」の主人公のユリアス?!
異世界転生って本当にあったんだ!!
やった、僕が主人公なんだ。
みんなに愛されて、誰でも僕の名前を知っている。
あの頃の空気だった僕はもういない!」
でも、ユリアスって白に近い銀髪に銀の瞳じゃなかったっけ?今の髪は、昔と同じ黒目黒髪だ…。
顔は本で見たユリアスと同じ顔だし、僕がユリアスで間違いないと思うけど。
それから僕は、両親に愛されながら平民とした。
初めてすることばかりで不安もあったが、昔の僕の記憶があったので手伝いも難なくこなせた。
そんな生活を送っていたある日。
物語通り予知夢が見えるようになり、神殿で保護されることになった。
そこで僕は初めて王子と出会った。
美しい金髪に晴天のように曇りのない綺麗な碧眼、その顔立ちもとても美しい。
あぁ、これは主人公が好きになってしまうわけだ…。
小説の挿絵にあった通りの顔だ。
でも、絵で見ていたよりも断然かっこいい!
僕は彼に愛されるためにいるんだ。
お互いに一目惚れだった。
目があった瞬間、王子はこちらへ来た。
「おま…いや、君の名前を聞いてもいいかな?」
「ぼ、僕はユリアスと言います!
王子様…ですよね。僕は平民なので言葉遣いがわからなくて…失礼があったらすみません。」
王子が頬をピンク色に染めて話しかけてくれた。僕も同じだろう、耳まで赤くなってる自信がある!!
勢いよく自己紹介をすると、クスクスと笑い頭を撫でてくれた。
「大丈夫だ、可愛らしいな君は……僕の婚約者と大違いだな。…私はヴォールク王国第一王子、シシエノーク・ヴォールクだ。」
「よろしくお願いします!!婚約者…ですか、スノードロップ様でしたっけ?公爵家の方ですよね。」
「あぁ、よく知ってたな。
あいつはダメだ、私に相応しくない。
私に相応しいのは…そうだな、神の力を持ち頭が良くて可愛らしい子かな、君みたいな…ね。
僕たちお似合いだと思わない?」
「僕も……そう思います///」
その言葉で肯定したと伝わったのだろう。腕を引かれて口づけをされた。
抵抗はしなかった…いや、できなかった。
1回目の人生でもできなかった…本当の本当に初めてのキスだ。
「や、柔らかいっ/// 」
そう思わず呟いて首まで真っ赤になった僕を見て、王子は笑いながら神殿を後にした。
その2日後、王城へ向かう馬車が到着し、王子が僕を婚約者として連れて行きたいと言ってくれた。
そうして、物語通り王城へと足を踏み入れた。
でも、物語と少し違ったことがあった。
スノードロップのことだ…
スノードロップは、小説のイラストで顔が公開されていない“悪役”だったが小説で書かれていた設定では髪が黒くその瞳も同じく真っ黒だった。
悪役好きな絵描きさんが妄想して描いてたりはしてたけど本当の顔は知らない。
王城に行って初めて見たスノードロップは、主人公の僕が見ても目が奪われるくらい…とても美しかった。
腰まで長い白に近い銀髪を頭の高い位置で結んでいて、歩くたびにゆらゆらと動くそのは絹のようにキラキラと光を反射していて綺麗だった。
小説には細くて無愛想だと書かれていたが、体は細くて抱き心地は悪そうだが…顔はとても整っており瞳は髪と同じ銀色だった。
なんで…主人公の僕よりも美しいんだ。
そんなの許されるわけないだろ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字・脱字があったらすみません。
思ったより書きたいことが多かったので次回もユリアス視点が続きます…。
※軽い嘔吐表現があります。
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激しい頭痛の中目が覚めると、全く見覚えのない天井だった。
「あ…れ? 僕車に轢かれたよね。うっ…おえっ……うぅ……… 」
思い出すと吐き気がした。
あんな痛み二度と味わいたくない。
吐き気を抑えていると、唐突にドアが開いた。
ーガチャッ
「あぁ!! ユリアス…目が覚めたのね、よかった……よかったわ!」
その人物は僕を力一杯腕に抱いた。
「お…お母さん……。」
見たことがない女性だった。
服も麻で作ったようなもので着心地も悪そうだ。…でもこの人が母親だと言うことはわかる。
他にも…物が置いている場所もわかるし、お医者さんの顔も“僕”は知らないはずなのに何故か分かった。
僕には僕ではない誰かが暮らしてきた記憶があった。
とても不思議な気分だ。
その後、母に何があって寝込んでいたのかなどを聞いた。
母の話によると、僕は数日前から高熱で寝込んでいたそうだ。あと数日熱が引かなかったら危なかったらしい。
そういえば……
お母さん僕を”ユリアス“って言ってた?!
慌てて母のドレッサーの鏡を覗くと、そこに映ったのは黒髪に髪と同色の黒い瞳の可愛らしい男の子だった。
年齢は10歳くらいだ。
「ユリアスってあの「無垢な天使に花束を」の主人公のユリアス?!
異世界転生って本当にあったんだ!!
やった、僕が主人公なんだ。
みんなに愛されて、誰でも僕の名前を知っている。
あの頃の空気だった僕はもういない!」
でも、ユリアスって白に近い銀髪に銀の瞳じゃなかったっけ?今の髪は、昔と同じ黒目黒髪だ…。
顔は本で見たユリアスと同じ顔だし、僕がユリアスで間違いないと思うけど。
それから僕は、両親に愛されながら平民とした。
初めてすることばかりで不安もあったが、昔の僕の記憶があったので手伝いも難なくこなせた。
そんな生活を送っていたある日。
物語通り予知夢が見えるようになり、神殿で保護されることになった。
そこで僕は初めて王子と出会った。
美しい金髪に晴天のように曇りのない綺麗な碧眼、その顔立ちもとても美しい。
あぁ、これは主人公が好きになってしまうわけだ…。
小説の挿絵にあった通りの顔だ。
でも、絵で見ていたよりも断然かっこいい!
僕は彼に愛されるためにいるんだ。
お互いに一目惚れだった。
目があった瞬間、王子はこちらへ来た。
「おま…いや、君の名前を聞いてもいいかな?」
「ぼ、僕はユリアスと言います!
王子様…ですよね。僕は平民なので言葉遣いがわからなくて…失礼があったらすみません。」
王子が頬をピンク色に染めて話しかけてくれた。僕も同じだろう、耳まで赤くなってる自信がある!!
勢いよく自己紹介をすると、クスクスと笑い頭を撫でてくれた。
「大丈夫だ、可愛らしいな君は……僕の婚約者と大違いだな。…私はヴォールク王国第一王子、シシエノーク・ヴォールクだ。」
「よろしくお願いします!!婚約者…ですか、スノードロップ様でしたっけ?公爵家の方ですよね。」
「あぁ、よく知ってたな。
あいつはダメだ、私に相応しくない。
私に相応しいのは…そうだな、神の力を持ち頭が良くて可愛らしい子かな、君みたいな…ね。
僕たちお似合いだと思わない?」
「僕も……そう思います///」
その言葉で肯定したと伝わったのだろう。腕を引かれて口づけをされた。
抵抗はしなかった…いや、できなかった。
1回目の人生でもできなかった…本当の本当に初めてのキスだ。
「や、柔らかいっ/// 」
そう思わず呟いて首まで真っ赤になった僕を見て、王子は笑いながら神殿を後にした。
その2日後、王城へ向かう馬車が到着し、王子が僕を婚約者として連れて行きたいと言ってくれた。
そうして、物語通り王城へと足を踏み入れた。
でも、物語と少し違ったことがあった。
スノードロップのことだ…
スノードロップは、小説のイラストで顔が公開されていない“悪役”だったが小説で書かれていた設定では髪が黒くその瞳も同じく真っ黒だった。
悪役好きな絵描きさんが妄想して描いてたりはしてたけど本当の顔は知らない。
王城に行って初めて見たスノードロップは、主人公の僕が見ても目が奪われるくらい…とても美しかった。
腰まで長い白に近い銀髪を頭の高い位置で結んでいて、歩くたびにゆらゆらと動くそのは絹のようにキラキラと光を反射していて綺麗だった。
小説には細くて無愛想だと書かれていたが、体は細くて抱き心地は悪そうだが…顔はとても整っており瞳は髪と同じ銀色だった。
なんで…主人公の僕よりも美しいんだ。
そんなの許されるわけないだろ!!
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誤字・脱字があったらすみません。
思ったより書きたいことが多かったので次回もユリアス視点が続きます…。
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