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第80話 魔マ王、がったいを見届ける。
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「――――っていうことをしてただけよ~♪」
信じられない。そんな絶望しか感じられない表情を浮かべながらそれは私を見つめる。
そんな目で見られても、私はそれに何の感情も抱かないわよぉ?
……あ、何の感情も抱かないわけじゃないわね~。だって、可愛いヨシュアを殺そうとしていたんだからぁ。
「ば、化け物っ! 化け物めっ!!」
「貴方も魔族なんだから、同じようなものでしょ~?」
「そ、そう言う問題なんかじゃないっ! 貴様は、貴様は邪神様をも殺そうとしたと言うのかっ!? 何故、何故そんな化け物が魔王なのだっ!?」
「そうねぇ、一言で言うなら……趣味ね」
唾を飛ばすそれから軽く距離を取り、ついでに見えない障壁を張りながら私は答える。
他人から見たら信じられない趣味かも知れない。けれど、分かる人がいたらきっと私はその人と握手をするでしょうね~。
「しゅ、趣味で……趣味で私を……私を勇者のための生贄にしようとしたと言うのかっ!?」
「そうねぇ。でも、先に裏切ったのは貴方よ~? 裏切ったのだから、すぐに殺すよりも有効活用した方が良いじゃないのぉ」
くすくすと笑いながら、私はそれに告げる。
まあ趣味の中に混じって、綺麗だった魔王城を見るも無残にした怨みもあるわよぉ?
「さて、それじゃあ……すぐ殺すのと、ジワジワ時間かけて殺すのどっちが良いかしら~?」
「ひ――ひぃぃぃぃぃぃぃっ!! 嫌だ! 死にたくない! 私は死にたくないぃぃぃぃぃぃ!!」
悲鳴を上げて、それはクルリと方向転換すると一心不乱に逃げ出した。
けれど、精神的に錯乱状態にあったからか脚をもつらせて盛大にゴロゴロと転んだわ。
「ひぃぃぃぃぃっ!! じゃしんさま、じゃしんさまぁっ!! お助け! お助けぇぇぇぇぇぇ!!」
転んで起き上がる余裕が無いからかそれは地べたを這いずりながら、邪神に助けを求める。
助けを求めているようなので、それの前に頭の壊れた邪神の首を転移してあげた。
『あご、っげ、げぎがががががががが!! げぎゃがっ!!』
「ぎひぃぃぃぃぃいいいいいいっ!!?」
邪神は自分が呼ばれているのが分かっているように、転移させられたそれの前で鳴き声をあげた。
突如現れた邪神の首にそれは怯えているのかそれとも、精神の限界だったのか悲鳴を上げたわぁ。
正直醜い悲鳴だったから耳障り。だから、そろそろ消し飛ばそうかしら~?
そう思っていると……。
「ぎひっ! そ、そうだ……!! 邪神様、私は邪神様を尊敬しております、崇拝しております。ですから……」
――私の力になってくださいっ!
狂ったように目を見開き、それはそう言うと……邪神の首を両手で恭しく持ち上げたわ。
……あ、そうきたかぁ。
そう思いながら、それを処分しようとしていた手を止めて、見ていると……口を開けて、持ち上げた邪神の首を食べ始めた。
ガリ、ゴリ、グチャ、グシャ、クチャ、コキリ、メキリ、ジュルルルル……と狂ったように肉を齧り、骨を噛み砕き、脳を啜る。
『ゴギギギギギギッギイギ!! ギヒィィィィィィ!! あぎゃ、がぎゃ、げ――ごっ』
食べられている邪神は呪詛とも言うべきそれを口にしながら、それに食べられて行く。
それが邪神を食べて行くに連れて、それの体にも変化が訪れ始めたわぁ。
程好い体格だった体が色を黒く染め上げながら段々と膨れ上がり……、髪も頭皮ごと地面に落下し始め……というよりもボコボコって感じに頭が膨れ始めているわね~。
そして腕のほうも、片方の腕はパンパンに膨れ上がったのに対して、もう片方の腕はひょろひょろと長くなって行く。
足はドロドロと溶けたと思えば、スライムの様な粘性となり始めているようだったわ~。
「クヒッ! ワカル、ワカるぞぉ! 力が! チカラが、湧いテクるノがぁ!!」
金切り声に近いような雄叫びが周囲に響き渡る中で、それは邪神を最後まで食べるべく……メキャッと口を大きく広げる。
既に口も普通の人間のようなサイズではなく、大きく裂けてしまっていた。
その大きな口が、パクリと邪神を呑み込むとそれと邪神との混ざり合いは完了した。
「……まあ、適正がない存在が神なんて食べたら、崩れ去るのがオチなんだけどねぇ……」
『漲ル! ちカらガ漲るZOおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!』
「一時の力だけ漲ってもなんともならないわよ~?」
『DAMARE! ダガ、これだけノ力ナラば、魔王などにハ負けン!! ――死ねェェェェェェ!!』
私の言葉にツッコミを入れるように、叫んでいたそれだったけれど不意打ちと言わんばかりに、私に向けて太い腕を振り回してきた。
巨大な丸太を振り回す様なその一撃を、私はなんなく回避する。
『BAKAめ! モラッタああああぁぁあぁぁぁっ!!』
「――――え、あ――ごふっ」
回避した場所目掛けて、鋭い槍が飛んできて……私の腹に突き刺さった。
いったい何が起きたのか、それが分からないまま、私の口からは血が噴出した。
―――――
スグニーケ「ぶひゃああぁっ、うんまいっ!!(てーれってれー)」
信じられない。そんな絶望しか感じられない表情を浮かべながらそれは私を見つめる。
そんな目で見られても、私はそれに何の感情も抱かないわよぉ?
……あ、何の感情も抱かないわけじゃないわね~。だって、可愛いヨシュアを殺そうとしていたんだからぁ。
「ば、化け物っ! 化け物めっ!!」
「貴方も魔族なんだから、同じようなものでしょ~?」
「そ、そう言う問題なんかじゃないっ! 貴様は、貴様は邪神様をも殺そうとしたと言うのかっ!? 何故、何故そんな化け物が魔王なのだっ!?」
「そうねぇ、一言で言うなら……趣味ね」
唾を飛ばすそれから軽く距離を取り、ついでに見えない障壁を張りながら私は答える。
他人から見たら信じられない趣味かも知れない。けれど、分かる人がいたらきっと私はその人と握手をするでしょうね~。
「しゅ、趣味で……趣味で私を……私を勇者のための生贄にしようとしたと言うのかっ!?」
「そうねぇ。でも、先に裏切ったのは貴方よ~? 裏切ったのだから、すぐに殺すよりも有効活用した方が良いじゃないのぉ」
くすくすと笑いながら、私はそれに告げる。
まあ趣味の中に混じって、綺麗だった魔王城を見るも無残にした怨みもあるわよぉ?
「さて、それじゃあ……すぐ殺すのと、ジワジワ時間かけて殺すのどっちが良いかしら~?」
「ひ――ひぃぃぃぃぃぃぃっ!! 嫌だ! 死にたくない! 私は死にたくないぃぃぃぃぃぃ!!」
悲鳴を上げて、それはクルリと方向転換すると一心不乱に逃げ出した。
けれど、精神的に錯乱状態にあったからか脚をもつらせて盛大にゴロゴロと転んだわ。
「ひぃぃぃぃぃっ!! じゃしんさま、じゃしんさまぁっ!! お助け! お助けぇぇぇぇぇぇ!!」
転んで起き上がる余裕が無いからかそれは地べたを這いずりながら、邪神に助けを求める。
助けを求めているようなので、それの前に頭の壊れた邪神の首を転移してあげた。
『あご、っげ、げぎがががががががが!! げぎゃがっ!!』
「ぎひぃぃぃぃぃいいいいいいっ!!?」
邪神は自分が呼ばれているのが分かっているように、転移させられたそれの前で鳴き声をあげた。
突如現れた邪神の首にそれは怯えているのかそれとも、精神の限界だったのか悲鳴を上げたわぁ。
正直醜い悲鳴だったから耳障り。だから、そろそろ消し飛ばそうかしら~?
そう思っていると……。
「ぎひっ! そ、そうだ……!! 邪神様、私は邪神様を尊敬しております、崇拝しております。ですから……」
――私の力になってくださいっ!
狂ったように目を見開き、それはそう言うと……邪神の首を両手で恭しく持ち上げたわ。
……あ、そうきたかぁ。
そう思いながら、それを処分しようとしていた手を止めて、見ていると……口を開けて、持ち上げた邪神の首を食べ始めた。
ガリ、ゴリ、グチャ、グシャ、クチャ、コキリ、メキリ、ジュルルルル……と狂ったように肉を齧り、骨を噛み砕き、脳を啜る。
『ゴギギギギギギッギイギ!! ギヒィィィィィィ!! あぎゃ、がぎゃ、げ――ごっ』
食べられている邪神は呪詛とも言うべきそれを口にしながら、それに食べられて行く。
それが邪神を食べて行くに連れて、それの体にも変化が訪れ始めたわぁ。
程好い体格だった体が色を黒く染め上げながら段々と膨れ上がり……、髪も頭皮ごと地面に落下し始め……というよりもボコボコって感じに頭が膨れ始めているわね~。
そして腕のほうも、片方の腕はパンパンに膨れ上がったのに対して、もう片方の腕はひょろひょろと長くなって行く。
足はドロドロと溶けたと思えば、スライムの様な粘性となり始めているようだったわ~。
「クヒッ! ワカル、ワカるぞぉ! 力が! チカラが、湧いテクるノがぁ!!」
金切り声に近いような雄叫びが周囲に響き渡る中で、それは邪神を最後まで食べるべく……メキャッと口を大きく広げる。
既に口も普通の人間のようなサイズではなく、大きく裂けてしまっていた。
その大きな口が、パクリと邪神を呑み込むとそれと邪神との混ざり合いは完了した。
「……まあ、適正がない存在が神なんて食べたら、崩れ去るのがオチなんだけどねぇ……」
『漲ル! ちカらガ漲るZOおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!』
「一時の力だけ漲ってもなんともならないわよ~?」
『DAMARE! ダガ、これだけノ力ナラば、魔王などにハ負けン!! ――死ねェェェェェェ!!』
私の言葉にツッコミを入れるように、叫んでいたそれだったけれど不意打ちと言わんばかりに、私に向けて太い腕を振り回してきた。
巨大な丸太を振り回す様なその一撃を、私はなんなく回避する。
『BAKAめ! モラッタああああぁぁあぁぁぁっ!!』
「――――え、あ――ごふっ」
回避した場所目掛けて、鋭い槍が飛んできて……私の腹に突き刺さった。
いったい何が起きたのか、それが分からないまま、私の口からは血が噴出した。
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スグニーケ「ぶひゃああぁっ、うんまいっ!!(てーれってれー)」
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