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第76話 ヨシュア、吠える。
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「な、何だこの力はっ!?」
僕を見ながら、魔族は驚いた顔をする。
だけどそんなことはどうでも良い。今は目の前の魔族を倒すことに集中しているから!
「うぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーっ!!」
「速いっ!? だが、この剣と競り合うなんて無駄なことだ! 絶望しながら死ねぇ!!」
持ち上げると重かったはずの剣が軽い。そう思いながら、魔族が振り下ろす剣を見つつ……僕も握り締めた剣を振り上げた!
直後、下から上へと振り上げられる僕の剣と上から下へと振り下ろされる魔族の剣がぶつかり合った。
――――キィィィィィンッ!!
激しい金属音が周囲に響き、魔族は驚いた顔を僕に向ける。
「ば、馬鹿な!? 何故受け止められるっ! 何で剣が溶けないんだよ?!」
「そんなの――知るかぁ!!」
キャリキャリと剣と剣の刃がぶつかり合い、少しだけ耳障りな音を立てる中で僕は叫びながら……一気に魔族の剣ごと僕は剣を振り上げる。
そして剣を振り上げられてがら空きになった魔族のお腹へと振り上げた剣を一気に振り下ろした!!
「くっ!! ぎ――――あ、ああああぁぁぁぁぁっっ!! は、腹が、腹がぁ!?」
けれど咄嗟に後ろに跳んだのか魔族を倒すことは出来なかった。
だけど、刃は薄くだけれど通っていたようで、後ろに跳んだ魔族が着ている服がハラリと切れて、そこから更に薄っすらと赤い筋が走って行き……血が流れて行く。
その痛みに魔族は悲鳴を上げる。……だけど、そんな物、ママが受けた痛みよりもずっとずっと酷くないに違いない。
ううん、酷くないに決まっている。
「まだだ……、まだ、死んだママを安らかに眠らせなかった怒りは収まらない……!!」
「舐めたこと、言ってるんじゃない!! お前ら、私を護れぇ!!」
『『グオオオオオオオッ!!』』
僕を睨み付けながら魔族は近くに居たモンスターに命令を下した。すると、モンスターは僕に向かって襲いかかって来る。
ブタさんと大きな犬さん、それと四足で走る犬さん達だ。
その数は、色々と混ざって50匹ほど居た。
「ヨシュア! 手を貸すから、待って!!」
「邪魔させるかよ! お前ら、ドンドン来い!!」
『『『ブヒィィィィィ!!』』』
『『ゴブァァァァァァァァァッァッ!!』』
「くっ! ファンロン! あんただけでもヨシュアの手助けに向かって――」
「無理アル! 雑魚いっぱいだけど、多すぎてよしゅあの所いけないアル!!」
「くそっ!! ヨシュア――!!」
ファンロンさんとウィスドムさんがこっちに向かおうとしているけれど、モンスターに邪魔をされているのか来れないようだった。
心配だと思う。だけど、今の僕にはそれを考える余裕はなかった。
あるのはただ……、向こうで僕を見て笑う魔族だけだ。
「勇者っ! これで終わりだーーっ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!! じゃ――――まだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
僕は、吠えた。怖い、と思う気持ちを吹き飛ばすためだったのか、それとも僕の怒りを表すためだったのかは判らない。
だけど、吠えた。吠えて吼えて、吠えた。
そして吠える度に僕の体に力が漲っていき、一気に剣を振るった!
その瞬間、光が放たれた。
――ブォォォォォォォォォンッッ!!
光りが風を切り裂く音が周囲に響き、襲い掛かって来ていたモンスターを呑み込んでいった。
その光景に、周囲が静まり返る……。
「な、なんだ……なんだそれはぁ!?」
「はぁ……はぁ……、わ、わかるわけ……ないっ!」
慌てる魔族に僕はそう返し、魔族を睨み付けながら歩き出す。
――だけど、一歩歩いた瞬間、全身を激痛が走った。
「う――――!? な、に、こ……れ…………? ぐああああああああああああああああああっっ!!?」
激しい痛みに耐え切れず、僕は悲鳴を上げる。
いったい、なにが起きてるの……?!
「ヨ、ヨシュア!? まさか……モンスターを倒した急激な成長の副作用?!」
「まずいアル! よしゅあ、助けないとマズいアル!!」
「ええ。早く助けないと!!」
2人の声が聞こえる。同時に僕の体が痛い上に重くなるのを感じてしまう。
立ち上がらないといけないのに……。目の前の魔族を、倒さないと……!
ママの剣で、悪さなんて……されたくない……のに。
「ククッ、チャンスだ。このままだと危ないと思ったが……チャンスじゃないか!」
「く、そぅ…………」
ゆっくりと近付いてくる魔族を見ると、ムカムカするぐらいに笑っていた。
このままだと、僕は……殺される。
「うご、けぇ……! うご、いてよぉ……!」
「さあ、見ていてください邪神様! 私が今、勇者を殺すところを!! そして、この世界に現れ出でくださいませっ!!」
「ヨシュア!」「よしゅあ!」
魔族が、ママの剣を掲げながら叫び……、僕へと振り下ろした。
――――ママッ!!
そう心で叫びながら、僕は目をギュッと瞑った。
―――――
勇者、ピンチ。
僕を見ながら、魔族は驚いた顔をする。
だけどそんなことはどうでも良い。今は目の前の魔族を倒すことに集中しているから!
「うぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーっ!!」
「速いっ!? だが、この剣と競り合うなんて無駄なことだ! 絶望しながら死ねぇ!!」
持ち上げると重かったはずの剣が軽い。そう思いながら、魔族が振り下ろす剣を見つつ……僕も握り締めた剣を振り上げた!
直後、下から上へと振り上げられる僕の剣と上から下へと振り下ろされる魔族の剣がぶつかり合った。
――――キィィィィィンッ!!
激しい金属音が周囲に響き、魔族は驚いた顔を僕に向ける。
「ば、馬鹿な!? 何故受け止められるっ! 何で剣が溶けないんだよ?!」
「そんなの――知るかぁ!!」
キャリキャリと剣と剣の刃がぶつかり合い、少しだけ耳障りな音を立てる中で僕は叫びながら……一気に魔族の剣ごと僕は剣を振り上げる。
そして剣を振り上げられてがら空きになった魔族のお腹へと振り上げた剣を一気に振り下ろした!!
「くっ!! ぎ――――あ、ああああぁぁぁぁぁっっ!! は、腹が、腹がぁ!?」
けれど咄嗟に後ろに跳んだのか魔族を倒すことは出来なかった。
だけど、刃は薄くだけれど通っていたようで、後ろに跳んだ魔族が着ている服がハラリと切れて、そこから更に薄っすらと赤い筋が走って行き……血が流れて行く。
その痛みに魔族は悲鳴を上げる。……だけど、そんな物、ママが受けた痛みよりもずっとずっと酷くないに違いない。
ううん、酷くないに決まっている。
「まだだ……、まだ、死んだママを安らかに眠らせなかった怒りは収まらない……!!」
「舐めたこと、言ってるんじゃない!! お前ら、私を護れぇ!!」
『『グオオオオオオオッ!!』』
僕を睨み付けながら魔族は近くに居たモンスターに命令を下した。すると、モンスターは僕に向かって襲いかかって来る。
ブタさんと大きな犬さん、それと四足で走る犬さん達だ。
その数は、色々と混ざって50匹ほど居た。
「ヨシュア! 手を貸すから、待って!!」
「邪魔させるかよ! お前ら、ドンドン来い!!」
『『『ブヒィィィィィ!!』』』
『『ゴブァァァァァァァァァッァッ!!』』
「くっ! ファンロン! あんただけでもヨシュアの手助けに向かって――」
「無理アル! 雑魚いっぱいだけど、多すぎてよしゅあの所いけないアル!!」
「くそっ!! ヨシュア――!!」
ファンロンさんとウィスドムさんがこっちに向かおうとしているけれど、モンスターに邪魔をされているのか来れないようだった。
心配だと思う。だけど、今の僕にはそれを考える余裕はなかった。
あるのはただ……、向こうで僕を見て笑う魔族だけだ。
「勇者っ! これで終わりだーーっ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!! じゃ――――まだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
僕は、吠えた。怖い、と思う気持ちを吹き飛ばすためだったのか、それとも僕の怒りを表すためだったのかは判らない。
だけど、吠えた。吠えて吼えて、吠えた。
そして吠える度に僕の体に力が漲っていき、一気に剣を振るった!
その瞬間、光が放たれた。
――ブォォォォォォォォォンッッ!!
光りが風を切り裂く音が周囲に響き、襲い掛かって来ていたモンスターを呑み込んでいった。
その光景に、周囲が静まり返る……。
「な、なんだ……なんだそれはぁ!?」
「はぁ……はぁ……、わ、わかるわけ……ないっ!」
慌てる魔族に僕はそう返し、魔族を睨み付けながら歩き出す。
――だけど、一歩歩いた瞬間、全身を激痛が走った。
「う――――!? な、に、こ……れ…………? ぐああああああああああああああああああっっ!!?」
激しい痛みに耐え切れず、僕は悲鳴を上げる。
いったい、なにが起きてるの……?!
「ヨ、ヨシュア!? まさか……モンスターを倒した急激な成長の副作用?!」
「まずいアル! よしゅあ、助けないとマズいアル!!」
「ええ。早く助けないと!!」
2人の声が聞こえる。同時に僕の体が痛い上に重くなるのを感じてしまう。
立ち上がらないといけないのに……。目の前の魔族を、倒さないと……!
ママの剣で、悪さなんて……されたくない……のに。
「ククッ、チャンスだ。このままだと危ないと思ったが……チャンスじゃないか!」
「く、そぅ…………」
ゆっくりと近付いてくる魔族を見ると、ムカムカするぐらいに笑っていた。
このままだと、僕は……殺される。
「うご、けぇ……! うご、いてよぉ……!」
「さあ、見ていてください邪神様! 私が今、勇者を殺すところを!! そして、この世界に現れ出でくださいませっ!!」
「ヨシュア!」「よしゅあ!」
魔族が、ママの剣を掲げながら叫び……、僕へと振り下ろした。
――――ママッ!!
そう心で叫びながら、僕は目をギュッと瞑った。
―――――
勇者、ピンチ。
応援ありがとうございます!
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