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第60話 ファンロン、求婚されたアル。
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「はい、あーんしてください」
そう言って、よしゅあはファンロンにとろとろぱんを刺したフォークを近づけてきたアル。
もしかして、もしかしなくても、食べさせてくれるアルか?
え? え?? よ、よしゅあ、それ……なにをしているか分かっているアルか?
よしゅあの行っていることに、ファンロン珍しく驚いたアル。ドキドキアル。
だってその行為は、ファンロン達――龍への求愛の行為アルよ?
分かっているアルか?
龍は、家族からしか手ずからご飯を食べさせて貰えないアル。
だから、家族じゃない者がすると、求愛行為アルよ?
……そ、それとも、よしゅあファンロンのこと好きアル……?
ちょ、ちょっと聞いてみるアル……。
すーはー、すーはー、……よし。
「よ、よしゅあ……、よしゅあは、ファンロン好き……アルか?」
「え? ファンロンさんのこと? はい、好きですよ。旅する仲間ですから、仲良くなりたいですし、ウィスドムさんとも仲良く……」
「よ、良かったアルっ。だったら食べても問題ないアルねっ!?」
ファンロン、笑顔でそう答えるアル。
……ん? 何か今何処かで「絶対違う、違うのじゃ……」って声が聞こえたけど、気のせいアルね。
まあ、兎に角……食べてみるアル。
……吐いたらゴメンアル。
「はい、あーん」
「あーん、アル。あむ……、あむ……」
よしゅあの手から食べたトロトロパン、それは本当にトロッとしていて……口の中でジュワーって溶けていったアル。
それをモグモグ、モグモグ……とゆっくりと咀嚼するアル。
……あ、そういえば……、ゆっくりと食べるのは、久しぶりだったアル……。
何時からか、ファンロン……味わってはいたけど、バクバク食べてたアル。
だけど、久しぶりにゆっくりと食べると……味わいがより深く感じることが出来たアル。
甘い、味が……口の中に広がっていくアル。
その味を感じながら、口の中でトロトロになったパンを……呑み込んだアル。
…………ごくん、と呑み込むと、甘みがお腹の中へと落ちて行って……全身に満たされていくアル……。
……ああ、食べるって……こんなにも素晴らしいことだったアル…………。
そう思っていると、一度だけお腹の中が込み上げてくる黒い何かにグルッとなったアル。
……でも、よしゅあの食べさせてくれたトロトロパンがグルッとなった黒い何かを溶かしていくように、ファンロンのお腹の中を綺麗にしていったアル。
すると、さっきまで気持ち悪いと思っていた感覚が少しずつ消えて行ったアル。
もしかすると、その黒い何かは……良い人だと思った人にイヤになるほど食べさせられた料理だったのかも知れないアル。
「あ、あの、ファンロンさん……大丈夫、ですか?」
ファンロン何も言わなかったからか、よしゅあが心配そうにファンロン見るアル。
だからファンロン、よしゅあに笑いかけるアル。
「だいじょうぶ、アル……。よしゅあ、おいしい……美味しい、アルよ……っ」
「えっ!? ファ、ファンロンさん? ど、どうして泣いてるんですか!?」
「あ、あれ……? 美味しいアル。なのに、なんで……なんで泣いちゃってるアルか?」
泣くのは、悲しいからだって知ってるアル。なのに、ファンロン悲しくないアル。
それどころか、嬉しいアル。ファンロン、凄く嬉しいアル。
「嬉しいアル。ファンロン、嬉しいのに……何で泣くアルか? わからないアル……」
「え、えと、あの、その……っ。の、残りも食べますかっ!?」
嬉しくて、ドキドキしてる。なのに、理由が分からなくて泣いてるからモヤモヤするアル。
そんなファンロンによしゅあは困った様子だったけど、トロトロパンをすすめるアル。
だからファンロン、食べる言うアル。
「じゃ、じゃあ、どうぞ……」
「どうしてフォークを渡すアル?」
「え、いや、だって……それがないと食べれないですし」
きょとん、という顔をしながら、よしゅあファンロンを見るアル。
駄目アルよ? 一度取った責任はちゃんと取らないといけないアルよ?
「食べさせて欲しいアル」
「え?」
「最後まで食べさせて欲しいアル」
そう言って、ファンロンよしゅあに向けて目を閉じてあーんって口を開けるアル。
少し困った様子のよしゅあの声が聞こえたけど、暫くしてよしゅあはファンロンにトロトロパンを差し出してきたアル。
「あ、あーーん……」
「あーん……っ、もぐもぐ、もぐもぐもぐ……ふぁ~~……美味しいアルぅ~~♪」
差し出されたトロトロパンを口に入れて、ゆっくり噛んでから呑み込む。
少し前のファンロンだったら、味気無いとか食感が無いって言ってただろうけど、よしゅあの想いが詰まってるから凄く美味しいアル。
何と言うか、お腹の中が満たされていくアル。
もぐもぐ、もぐもぐ……。美味しいアル、美味しいアル~♪
幸せアル~~♪
よしゅあ~、もっと食べさせて欲しいアル~~。
一口一口、噛み締めて呑み込むたびに、ファンロン気持ち悪いのなくなっていくアル。
それ以上に幸せって気持ちが溢れてくるアル。
……でも、楽しい時間は終わりを向かえるアル。
何故ならよしゅあが作ってくれたトロトロパンはこれが最後だからアル……。
「うぅ……、残念アル。残念アルよぉ……」
「えっと、そんなに落ち込まないでください。その……、また機会があったら作りますから」
「本当アルかっ!?」
「は、はい……」
「約束アルっ! 絶対にまた食べさせて欲しいアルっ」
ファンロンの言葉にちょっと困った顔でよしゅあは頷いてくれたアル。
ああ、幸せな時間はまだ始まったばかりアル。
心を昂らせながら、ファンロンよしゅあのトロトロパンを期待しながら、ご馳走様をしたアル。
―――――
トロトロパン=フレンチトーストと思ってください。
そう言って、よしゅあはファンロンにとろとろぱんを刺したフォークを近づけてきたアル。
もしかして、もしかしなくても、食べさせてくれるアルか?
え? え?? よ、よしゅあ、それ……なにをしているか分かっているアルか?
よしゅあの行っていることに、ファンロン珍しく驚いたアル。ドキドキアル。
だってその行為は、ファンロン達――龍への求愛の行為アルよ?
分かっているアルか?
龍は、家族からしか手ずからご飯を食べさせて貰えないアル。
だから、家族じゃない者がすると、求愛行為アルよ?
……そ、それとも、よしゅあファンロンのこと好きアル……?
ちょ、ちょっと聞いてみるアル……。
すーはー、すーはー、……よし。
「よ、よしゅあ……、よしゅあは、ファンロン好き……アルか?」
「え? ファンロンさんのこと? はい、好きですよ。旅する仲間ですから、仲良くなりたいですし、ウィスドムさんとも仲良く……」
「よ、良かったアルっ。だったら食べても問題ないアルねっ!?」
ファンロン、笑顔でそう答えるアル。
……ん? 何か今何処かで「絶対違う、違うのじゃ……」って声が聞こえたけど、気のせいアルね。
まあ、兎に角……食べてみるアル。
……吐いたらゴメンアル。
「はい、あーん」
「あーん、アル。あむ……、あむ……」
よしゅあの手から食べたトロトロパン、それは本当にトロッとしていて……口の中でジュワーって溶けていったアル。
それをモグモグ、モグモグ……とゆっくりと咀嚼するアル。
……あ、そういえば……、ゆっくりと食べるのは、久しぶりだったアル……。
何時からか、ファンロン……味わってはいたけど、バクバク食べてたアル。
だけど、久しぶりにゆっくりと食べると……味わいがより深く感じることが出来たアル。
甘い、味が……口の中に広がっていくアル。
その味を感じながら、口の中でトロトロになったパンを……呑み込んだアル。
…………ごくん、と呑み込むと、甘みがお腹の中へと落ちて行って……全身に満たされていくアル……。
……ああ、食べるって……こんなにも素晴らしいことだったアル…………。
そう思っていると、一度だけお腹の中が込み上げてくる黒い何かにグルッとなったアル。
……でも、よしゅあの食べさせてくれたトロトロパンがグルッとなった黒い何かを溶かしていくように、ファンロンのお腹の中を綺麗にしていったアル。
すると、さっきまで気持ち悪いと思っていた感覚が少しずつ消えて行ったアル。
もしかすると、その黒い何かは……良い人だと思った人にイヤになるほど食べさせられた料理だったのかも知れないアル。
「あ、あの、ファンロンさん……大丈夫、ですか?」
ファンロン何も言わなかったからか、よしゅあが心配そうにファンロン見るアル。
だからファンロン、よしゅあに笑いかけるアル。
「だいじょうぶ、アル……。よしゅあ、おいしい……美味しい、アルよ……っ」
「えっ!? ファ、ファンロンさん? ど、どうして泣いてるんですか!?」
「あ、あれ……? 美味しいアル。なのに、なんで……なんで泣いちゃってるアルか?」
泣くのは、悲しいからだって知ってるアル。なのに、ファンロン悲しくないアル。
それどころか、嬉しいアル。ファンロン、凄く嬉しいアル。
「嬉しいアル。ファンロン、嬉しいのに……何で泣くアルか? わからないアル……」
「え、えと、あの、その……っ。の、残りも食べますかっ!?」
嬉しくて、ドキドキしてる。なのに、理由が分からなくて泣いてるからモヤモヤするアル。
そんなファンロンによしゅあは困った様子だったけど、トロトロパンをすすめるアル。
だからファンロン、食べる言うアル。
「じゃ、じゃあ、どうぞ……」
「どうしてフォークを渡すアル?」
「え、いや、だって……それがないと食べれないですし」
きょとん、という顔をしながら、よしゅあファンロンを見るアル。
駄目アルよ? 一度取った責任はちゃんと取らないといけないアルよ?
「食べさせて欲しいアル」
「え?」
「最後まで食べさせて欲しいアル」
そう言って、ファンロンよしゅあに向けて目を閉じてあーんって口を開けるアル。
少し困った様子のよしゅあの声が聞こえたけど、暫くしてよしゅあはファンロンにトロトロパンを差し出してきたアル。
「あ、あーーん……」
「あーん……っ、もぐもぐ、もぐもぐもぐ……ふぁ~~……美味しいアルぅ~~♪」
差し出されたトロトロパンを口に入れて、ゆっくり噛んでから呑み込む。
少し前のファンロンだったら、味気無いとか食感が無いって言ってただろうけど、よしゅあの想いが詰まってるから凄く美味しいアル。
何と言うか、お腹の中が満たされていくアル。
もぐもぐ、もぐもぐ……。美味しいアル、美味しいアル~♪
幸せアル~~♪
よしゅあ~、もっと食べさせて欲しいアル~~。
一口一口、噛み締めて呑み込むたびに、ファンロン気持ち悪いのなくなっていくアル。
それ以上に幸せって気持ちが溢れてくるアル。
……でも、楽しい時間は終わりを向かえるアル。
何故ならよしゅあが作ってくれたトロトロパンはこれが最後だからアル……。
「うぅ……、残念アル。残念アルよぉ……」
「えっと、そんなに落ち込まないでください。その……、また機会があったら作りますから」
「本当アルかっ!?」
「は、はい……」
「約束アルっ! 絶対にまた食べさせて欲しいアルっ」
ファンロンの言葉にちょっと困った顔でよしゅあは頷いてくれたアル。
ああ、幸せな時間はまだ始まったばかりアル。
心を昂らせながら、ファンロンよしゅあのトロトロパンを期待しながら、ご馳走様をしたアル。
―――――
トロトロパン=フレンチトーストと思ってください。
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