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第45話 ヨシュア、結局さらわれる。
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ぱあーー、って光り輝きながら白い翼を生やした白色のいぬさんは、ふわーって地面に降り立った。
そのいぬさんの様子に僕は怖いのを忘れるほどにキラキラと魅入っていた。
そして、いぬさんは前脚を男の人たちに攻撃しようとしていた黒色のねこさんに向けると……。
「もう一度言うワン! この悪魔め! 勇者様を痛めつけるつもりワンね!?」
「ニャニャ!? ニャンでこの様子から見て、そんな結論に辿り着くニャ!? わにゃくしはご主人様の子供を助けようとしていただけニャ!!」
「問答無用だワン! 正義の鉄槌を喰らうワンーー!!」
「ニャーー!? だから、ちゃんと話を聞くニャーー!!」
「悪魔の言葉なんて聞くわけないワンーー!! ワンワンワンワンワンワンワンワンッ!!」
黒色のねこさんは僕を助けてくれようとしていたみたいだけど、白色のいぬさんはそれを信じていないようで黒色のねこさんを倒そうと襲い掛かって来ていた。
え? え? ど、どういうこと??
いぬさんも、ねこさんも、僕を助けに来たって言ってるのに、何で喧嘩し始めてるの?!
「ふ、2人ともやめてよぉ! 何でケンカなんてするのー?!」
「こいつが悪魔だからだワン!」
「わにゃくしはケンカなんてしたくないニャ! この天使が話を聞かないだけニャーー!!」
「黙るワン! 勇者様をたぶらかすつもりワンね!?」
「誤解だニャーー!!」
あわわ、ど……どうしよう、本当どうしよう……!!
追いかけ回されるねこさんと、追いかけ続けるいぬさんを見ながら僕は如何するべきか悩んでいた。
だけど、そんな事をするなら早くこの場から逃げるべきだったんだと思う……。
何故なら……。
「「今だっ!!」」
「え? う――うわぁ!?」
声がした瞬間、僕に何かが被されて……直後、体が浮き上がるのを感じた。
もしかして抱えられた? それに気づいた時には既に僕は男の人達によって連れ去られてしまっていた。
「ゆ、勇者が何だってんだ! こんな上玉売ったら良い金になるんだよ!!」
「それに邪魔されそうになってたってのに、こんなチャンスが出来たらこうするだろ普通に考えてよ!!」
「うわーーーーっ!? た、助けてぇ!!」
「ニャ!? し、しまったニャーーーーッ!!」
男の人達の声が下から聞こえる中、僕は精一杯の声を上げる。
すると、僕の様子に気づいたのかいぬさんから逃げているねこさんが雄叫びを上げた。
多分だけど男の人達に連れて行かれる僕の姿が見えているんだろうな。
「おい、犬っころ! ちゃんとわにゃくしの話を聞くニャ!」
「五月蝿いワン、悪魔の言葉は聞くつもりはないワン!!」
「ニャーー! この頭でっかちがーー!! あそこ見るニャあそこをーー!!」
「余所見をしているところを攻撃するワンね!? なんて卑怯なやつだワン!!」
「ちげーニャ! ご主人様の子供が攫われちゃってるんだニャ!! もっと具体的に言うと、十中八九お前のご主人様の子供でもあるニャーー!!」
「ワンッ!? ま、まさかご主人様は悪魔を飼っていたですワン!?」
「わにゃくしは元は猫だニャ! というか、お前も犬だったニャろーが!?」
空の上からワンワンニャーニャーと声が聞こえるけれど、その声が少しずつ遠ざかっていく。
もしかして、助からない? 助からないの?
そう思ってしまうと、ねこさんといぬさんが出てきて湧き上がっていたドキドキとした感情が冷えていき……、ガクガクと体が震え始めてしまっていた。
たた、たすけて……! たすけてっ!!
「ワウウ……、まだ疑わしいワン……だけど、助けてって心の叫びが勇者様から聞こえてくるから助けるワン!!」
「それで良いニャ! というか、一時休戦でも良いから早く勇者を助けるニャ!!」
「ワオーーンッ!!」「ニャーーンッ!!」
「「ひ、ひぃっ!? も、もう来やがった!?」」
「勇者様を解放するワン、この下郎!!」
「お前らのせいで、街が滅ぶところだったニャーー!!」
「「うごぁ!?」」
ドゴッ!! という音が耳に響いた瞬間、抱えられていた僕の体はフワッと浮き上がるのを感じ……すぐに落下を始めた。
「う、うわあああああっ!? ――――あ、あれ……?」
「キャッチですワン!」
だけど、地面に当たる事がなく、不思議に思っていると上からさっきのいぬさんの声がし、ゆっくりと地面に下ろされるのを感じた。
そして……閉じられていた袋の口が解かれ、暗くて臭くて息苦しかったところに光が差し込んだ。
「ふう、これで何とかなったニャー……。大丈夫かニャ、ご主人様の息子」
「え、あ……う、うん……」
腕を組んで頷くねこさんが僕に尋ねてきたから、僕は助かったという実感がまだ湧かずに変な感じに返事を返してしまう。
それでもねこさんは嬉しかったみたいで、にんまりと目を細めて笑った。
そんなねこさんの隣に、いぬさんがゆっくりと下りてきた。
「大丈夫でしたかワン、勇者様?」
「うん、助けてくれてありがとう。……えっと、きみたちは?」
首を傾げながらいぬさんが訊ねてきたので返事を返しつつ、僕はこの子達がいったい何者なのか分からない事に気がついた。
すると、ねこさんが「待っていましたニャ!」って言って、二本足で立ち上がると前足を顔の前で×な感じに組み合わせた。
そんなねこさんにムッとしたいぬさんは同じようにすっくと立ち上がると、前脚を組み始めた。
「わにゃくしは、サタニャエルですニャ! ちょっと今は悪魔をやっていますけど、少し前まではご主人様に飼われていましたニャ! ほら、お前も紹介するニャ!!」
「馴れ馴れしいワン! けど、勇者様には紹介させて頂きますワン! ワンが輩はワンエルですワン!! 神格を与えられた犬ですワン! 勇者様を助けるためにご主人様から送られて来ましたワン!!」
「んーっと……、君がサタニャエルで……、君がワンエル?」
「はいニャ!」
「はいですワン!」
黒色のねこさん、サタニャエルが頷き……。白色のいぬさん、ワンエルが頷いた。
その子達を見ながら、僕は気になった事を訊ねる。
「それで……、さっきから言ってるご主人様って……誰のことなの?」
そのいぬさんの様子に僕は怖いのを忘れるほどにキラキラと魅入っていた。
そして、いぬさんは前脚を男の人たちに攻撃しようとしていた黒色のねこさんに向けると……。
「もう一度言うワン! この悪魔め! 勇者様を痛めつけるつもりワンね!?」
「ニャニャ!? ニャンでこの様子から見て、そんな結論に辿り着くニャ!? わにゃくしはご主人様の子供を助けようとしていただけニャ!!」
「問答無用だワン! 正義の鉄槌を喰らうワンーー!!」
「ニャーー!? だから、ちゃんと話を聞くニャーー!!」
「悪魔の言葉なんて聞くわけないワンーー!! ワンワンワンワンワンワンワンワンッ!!」
黒色のねこさんは僕を助けてくれようとしていたみたいだけど、白色のいぬさんはそれを信じていないようで黒色のねこさんを倒そうと襲い掛かって来ていた。
え? え? ど、どういうこと??
いぬさんも、ねこさんも、僕を助けに来たって言ってるのに、何で喧嘩し始めてるの?!
「ふ、2人ともやめてよぉ! 何でケンカなんてするのー?!」
「こいつが悪魔だからだワン!」
「わにゃくしはケンカなんてしたくないニャ! この天使が話を聞かないだけニャーー!!」
「黙るワン! 勇者様をたぶらかすつもりワンね!?」
「誤解だニャーー!!」
あわわ、ど……どうしよう、本当どうしよう……!!
追いかけ回されるねこさんと、追いかけ続けるいぬさんを見ながら僕は如何するべきか悩んでいた。
だけど、そんな事をするなら早くこの場から逃げるべきだったんだと思う……。
何故なら……。
「「今だっ!!」」
「え? う――うわぁ!?」
声がした瞬間、僕に何かが被されて……直後、体が浮き上がるのを感じた。
もしかして抱えられた? それに気づいた時には既に僕は男の人達によって連れ去られてしまっていた。
「ゆ、勇者が何だってんだ! こんな上玉売ったら良い金になるんだよ!!」
「それに邪魔されそうになってたってのに、こんなチャンスが出来たらこうするだろ普通に考えてよ!!」
「うわーーーーっ!? た、助けてぇ!!」
「ニャ!? し、しまったニャーーーーッ!!」
男の人達の声が下から聞こえる中、僕は精一杯の声を上げる。
すると、僕の様子に気づいたのかいぬさんから逃げているねこさんが雄叫びを上げた。
多分だけど男の人達に連れて行かれる僕の姿が見えているんだろうな。
「おい、犬っころ! ちゃんとわにゃくしの話を聞くニャ!」
「五月蝿いワン、悪魔の言葉は聞くつもりはないワン!!」
「ニャーー! この頭でっかちがーー!! あそこ見るニャあそこをーー!!」
「余所見をしているところを攻撃するワンね!? なんて卑怯なやつだワン!!」
「ちげーニャ! ご主人様の子供が攫われちゃってるんだニャ!! もっと具体的に言うと、十中八九お前のご主人様の子供でもあるニャーー!!」
「ワンッ!? ま、まさかご主人様は悪魔を飼っていたですワン!?」
「わにゃくしは元は猫だニャ! というか、お前も犬だったニャろーが!?」
空の上からワンワンニャーニャーと声が聞こえるけれど、その声が少しずつ遠ざかっていく。
もしかして、助からない? 助からないの?
そう思ってしまうと、ねこさんといぬさんが出てきて湧き上がっていたドキドキとした感情が冷えていき……、ガクガクと体が震え始めてしまっていた。
たた、たすけて……! たすけてっ!!
「ワウウ……、まだ疑わしいワン……だけど、助けてって心の叫びが勇者様から聞こえてくるから助けるワン!!」
「それで良いニャ! というか、一時休戦でも良いから早く勇者を助けるニャ!!」
「ワオーーンッ!!」「ニャーーンッ!!」
「「ひ、ひぃっ!? も、もう来やがった!?」」
「勇者様を解放するワン、この下郎!!」
「お前らのせいで、街が滅ぶところだったニャーー!!」
「「うごぁ!?」」
ドゴッ!! という音が耳に響いた瞬間、抱えられていた僕の体はフワッと浮き上がるのを感じ……すぐに落下を始めた。
「う、うわあああああっ!? ――――あ、あれ……?」
「キャッチですワン!」
だけど、地面に当たる事がなく、不思議に思っていると上からさっきのいぬさんの声がし、ゆっくりと地面に下ろされるのを感じた。
そして……閉じられていた袋の口が解かれ、暗くて臭くて息苦しかったところに光が差し込んだ。
「ふう、これで何とかなったニャー……。大丈夫かニャ、ご主人様の息子」
「え、あ……う、うん……」
腕を組んで頷くねこさんが僕に尋ねてきたから、僕は助かったという実感がまだ湧かずに変な感じに返事を返してしまう。
それでもねこさんは嬉しかったみたいで、にんまりと目を細めて笑った。
そんなねこさんの隣に、いぬさんがゆっくりと下りてきた。
「大丈夫でしたかワン、勇者様?」
「うん、助けてくれてありがとう。……えっと、きみたちは?」
首を傾げながらいぬさんが訊ねてきたので返事を返しつつ、僕はこの子達がいったい何者なのか分からない事に気がついた。
すると、ねこさんが「待っていましたニャ!」って言って、二本足で立ち上がると前足を顔の前で×な感じに組み合わせた。
そんなねこさんにムッとしたいぬさんは同じようにすっくと立ち上がると、前脚を組み始めた。
「わにゃくしは、サタニャエルですニャ! ちょっと今は悪魔をやっていますけど、少し前まではご主人様に飼われていましたニャ! ほら、お前も紹介するニャ!!」
「馴れ馴れしいワン! けど、勇者様には紹介させて頂きますワン! ワンが輩はワンエルですワン!! 神格を与えられた犬ですワン! 勇者様を助けるためにご主人様から送られて来ましたワン!!」
「んーっと……、君がサタニャエルで……、君がワンエル?」
「はいニャ!」
「はいですワン!」
黒色のねこさん、サタニャエルが頷き……。白色のいぬさん、ワンエルが頷いた。
その子達を見ながら、僕は気になった事を訊ねる。
「それで……、さっきから言ってるご主人様って……誰のことなの?」
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