駄々甘ママは、魔マ王さま。

清水裕

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第38話 ファンロン、挑戦するアル。

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 ※ただただ食べるだけの話です。

 ―――――

 らーめんアル! 久しぶりにらーめん食べたアル!!

 金属の箸を使って食べたらーめんは凄く美味しかったアル!
 だけど、まだ全然足りなかったことを仲間に伝えたアル。
 そうしたら仲間が、意気揚々と覇王・らーめんという物を出してくれるって言ってくれたアル!!
 楽しみアル、すっごく楽しみアル!!
 どんな味がするらーめんアルか? 量はどれぐらいあるアル? 期待がワクワクするアルよ~~!!

「…………そういえば、何か忘れてる気がするアル。まあ、大丈夫アル!」

 というよりも、食べるのが一番大事アル!
 そう思っていると、ついさっきよりも香ばしいらーめんの香りがしてきたアル!
 じゅるり、凄く楽しみアル。楽しみアル~~!

「お待たせネ! 覇王・龍龍麺お待たせヨ!!」
「待っていたアル~~!」

 仲間が手押し車で念願の凄いらーめんを持ってきたアル!
 ドシンと、テーブルを軋ませながら凄いらーめんが置かれたアル!!

「こ、これは……、お腹に入らないのでは……」

 ファンロンに付いて来ていたキシの人が、呟くのが聞こえたアル。
 何が入らないアル? 聞こえた言葉に、ファンロンキョトンとするアル。
 けれどそれは一瞬の事で、ファンロンすぐにらーめんに意識持ってかれたアル。

「ふぉおおおお~~~~、これは美味しそうアル~~~~~~!!」

 澄んだ琥珀色のスープ、その中に沈む黄色く縮れた麺、そしてどっさりの野菜とこれでもかと言うぐらいに乗せられたお肉!!
 お腹一杯になれそうな量に瞳をキラキラ輝かせながら、ファンロン箸をらーめんに入れたアル!
 縮れた麺が箸で掴まれて、ポタリポタリと琥珀色のスープが下に垂れていくのを見ながら、ファンロン麺を口に入れたアル!

「いただきま~~すアル~~~~!! あむ、ちゅる……ちゅるちゅる~~~~。んふぅぅ~~~~~~~~~~!!」

 麺を口に入れて、一気に啜ると縮れた麺はちゅるちゅると音を立てながらファンロンの口の中へと入っていったアル。
 しかも、ファンロン途中で噛み千切ること無く、麺の最初から最後まで啜ったから口一杯になったアル!
 それを口の中で噛み締めると、程好く麺に絡んだスープの旨味が口の中に広がって、コシの強い麺は噛み締める度に口の中でプチプチと千切れていくアル。
 もむもむ、もむもむとらーめんの食感を味わい、ゴクンと呑み込むとあまりの美味しさにファンロン、椅子に座ったまま両手両足を喜びのあまり振ったアル。

「これを使うと良いネ!」
「ありがとうアル~~! ずす~~っ…………う~ん、ほんのりと塩の味がして、取った出汁の味がしっかりと感じられるアル~~♪」

 次にスープを味わおう、そう思い始めると仲間がわかっていたようでファンロンにレンゲ渡してくれたアル。
 お礼を言って、レンゲで掬ったスープを飲むと……口の中に龍が舞い踊ったアル!
 この出汁の味は……300年物の地龍の骨あるね!?
 地龍の味はくどくなくて、それでいてどっしりとした味わいがあるアル。
 その出汁の味を損なわないようにする為に、地龍の骨と大地の旨味をタップリと詰め込んだ野菜でじっくりと煮込んだに違いないアル。
 仄かに舌にピリリと来る塩辛さ、きっと岩塩アルね?

「美味しいアル~~!」
「ありがとネ! だけど、まだまだ序の口ヨ! さあ、覇王の力を思い知るネ!」
「わかったアル~! ずずっ、ちゅるちゅる、ぽりぽり、はぐはぐ……」

 ホッペタ落ちそうになる味わいを心行くまで味わいながら、ファンロンらーめんの上に盛られた野菜を食べるアル。
 野菜は野菜の味が損なわないようにするためなのか、生で食べたらツ~ンとする物以外はサッと炒められているようでしゃきしゃきアル!
 ほんの少し振られただけの塩味が最高アルね。その野菜をモグモグ食べてから、今度はお肉を食べるアル。
 はぐはぐと食べたお肉は、オークだけどじっくりと煮込まれていたのかファンロンの口に入るとトロ~~っと溶けてきたアル。
 どっしりとしたオークが地龍に跨っているアル! 武器は野菜アルね!!

「ん~~、美味しいアル美味しいアル~~!」
「いい食べぷりヨ。けど、ちょっと伸びてきたネ! 少し急ぐヨロシ!!」
「んっ!? 本当アルか? それじゃあ、ファンロン急ぐアル~~~~!!」

 仲間の言葉を聞き、ファンロン食べるスピードを上げるアル。
 両手に箸を持って、右を食べたら左を食べての同時喰いをするアル。
 右手の箸で麺を取ると、左手の箸で野菜を取るアル。
 右手の箸で肉を取ると、左手のレンゲでスープを飲むアル。
 ずずっ、ちゅるちゅる、モグモグ、シャクシャク……。

「……う、うわぁ…………」

 何だかキシの人が変な声を上げていたけど、どんな顔か見れないアル。
 まあ、らーめんが美味しいからどうでも良いアル!
 だけど気がつくと、麺も野菜もほとんど食べ終えていてスープだけの中身にファンロンがっかりアル。

「う~、ファンロン物足りないアル~~……。けど、これで終わりにするアル~~!!」

 最後まで食べたらーめんにお別れをすべく、ファンロン器を掴むアル。
 両手で抱えても持ち上げられなさそうな器はファンロンの手で持ち上がり、器の端に口を付けるアル。
 そして、ゆっくりと傾けてファンロンの眼前に近づくスープを見届け……それを口の中へとするすると飲み始めたアル。
 ごくごく、ごくごくごく……。ファンロンが喉を鳴らす度に、器が軽くなっていくアル。

「ごくごく……ごくごく……。…………ぷはぁ~~~~、美味しかったアル~~!」

 そう言って、ファンロン。コトンと、空になった器を置いたアル。
 おっとと、忘れてたアル。最後にこれをしないといけないアルね。

「ご馳走様でした! ……アル!!」

 両手を合わせて、ファンロン感謝を口にしたアル。
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